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リサイクルの真実 『日本・欧州・米国・東南アジア、4つの現場から問い直す』~「リサイクル率72%」の数字の裏側と、循環型産業に転換するための実践論~【第5話】東南アジアのリサイクル

〜廃棄物大国から資源循環大国へ、変われるか〜


これまで第1話で「日本のリサイクル率72%」の中身を、第2話で欧州のサーキュラーエコノミー戦略を、第3話で米国の二重構造を、第4話で日本の強みと弱みを、それぞれ整理してきました。

今回は、舞台を東南アジアに移します。私自身、CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)の海外廃プラスチック資源循環ワーキンググループでチームリーダーを務めながら、AOTS(海外産業人材育成協会)の技術派遣プログラム、そしてDCTAとしての現地コンサルティング案件を通じて、インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシアの現場を、ここ何年も歩いてきました。

バリ島の海岸に打ち上げられたペットボトルの量を見たとき、ジャカルタ郊外のウェイストピッカー集積地を訪ねたとき、ハノイの市場で見た無分別の廃プラの山。これらは私の中で、忘れられない原風景になっています。同時に、現地の起業家、政府関係者、日系企業の駐在員の方々が真剣に取り組んでいる姿も、何度も目にしてきました。

「東南アジアは廃棄物の押し付け先」「リサイクルが進んでいない後進地域」という見方は、半分は事実、半分は誤解です。今回はその実情を、現場の解像度でお伝えしていきます。

1. 東南アジアの現状 数字と現場で見るリアル

1-1. 海洋プラごみ排出ワースト国群

東南アジアのリサイクルを語るときに、避けて通れない数字があります。それは、海洋プラスチックごみの排出量ランキングです。Ocean Conservancy等の調査によると、世界の海洋プラごみ排出量の上位10カ国のうち、6カ国が東南アジアです。インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、ミャンマーがその顔ぶれで、なかでもインドネシアは中国に次ぐ世界第2位とされてきました。

理由は複合的です。
第1に、河川や水路を通じた廃棄物の流出が多いこと。
第2に、廃棄物管理インフラ(回収・選別・処分)が人口増に追いついていないこと。
第3に、家庭から出るプラスチック廃棄物の分別意識が、まだ十分に浸透していないこと。第4に、シングルユースプラ(使い捨て袋、ストロー、容器)の依存度が高いことです。

私が初めてジャカルタを訪れたのは2010年代の前半でしたが、そのとき市場や住宅街で目にしたのは、無分別のプラごみが路上や水路にあふれる光景でした。それから10年余り経った今も、状況は地域差はあれど、改善が「劇的」とは言いがたいのが正直な印象です。

1-2. リサイクル率は10〜20%台

東南アジア各国の総合リサイクル率は、概ね10〜20%台にとどまっています。インドネシアで約10〜12%、ベトナムで約15%、タイで約23%、マレーシアで約24%、フィリピンで約28%という水準です(各国環境省・国際機関の最新公表値より、DCTA整理)。

ただし、これらの数字は「インフォーマルセクター」、つまりウェイストピッカーや家内制リサイクル業者による回収・処理を、十分には捕捉していない可能性があります。実態のリサイクル率はもう少し高いという見方もありますが、いずれにせよ、欧州の40%・日本の29%(EU基準)と比べると、依然として大きなギャップがあります。

1-3. それでも変化は確実に起きている

ただ、現地で実感するのは、変化が確実に起きているという事実です。インドネシア政府は2025年までに海洋プラごみを70%削減する目標を掲げ、ジャカルタ州、バリ州、東ジャワ州などで分別収集の試験運用が始まっています。タイは「Action Plan on Plastic Waste Management 2018-2030」を策定し、2027年までにシングルユースプラの全廃を打ち出しました。ベトナムも2021年に拡大生産者責任(EPR)制度を導入し、2024年から本格的な運用が始まっています。

また、現地の起業家や財閥が、リサイクル事業に本格参入するケースも増えています。インドネシアでは、Indorama社(石油化学・繊維大手)がPETボトルtoボトルのケミカルリサイクル投資を発表、Polytama社が再生プラ事業を拡大しています。タイでは、SCG(セメント・化学コングロマリット)、PTT Global Chemical、IRPCが循環経済戦略を公表。マレーシアではPETRONASとDialog Groupが廃プラ油化を計画しています。

「東南アジアは遅れている」と一括りにする見方は、もう古いと、私は感じています。国別、地域別、企業別に、急速に動き始めている部分と、まだ動いていない部分が、入り混じっている時代に入っています。

2. 国別の事情 4カ国の現場から

2-1. インドネシア 巨大廃棄物市場と分散インフラの矛盾

インドネシアは、人口約2.7億人を抱えるASEAN最大の国であり、廃棄物発生量も最大です。年間プラスチック廃棄物発生量は約650万トンと推計され、うちリサイクルされているのは約65万トン(10%)、残りは埋立、不法投棄、河川流出となっています。

私が現在進めているインドネシア企業との循環経済プロジェクトでは、リサイクルタウン構想という考え方を提案しています。これは、地域の廃棄物処理場を起点に、選別、再生、加工、再販を一体化した「ミニ循環経済特区」を作る発想です。インドネシアでは、自治体ごとに廃棄物管理が異なるため、地域単位での仕組み設計が現実解になります。

インドネシア政府も、廃棄物管理に関する大統領令(Perpres 97/2017)以降、各州にリサイクル施設整備を促しています。中央政府の予算は限定的で、民間投資、外資、ODA、地方財源の組み合わせで動いている案件が多いのが特徴です。日本企業にとっては、技術提供、設備供給、運営ノウハウ移転で参入できる余地が大きい市場です。

2-2. タイ ASEAN最先端の規制環境

タイは、東南アジアの中で最も規制環境が整いつつある国の一つです。前述の「Action Plan on Plastic Waste Management 2018-2030」に加え、2024年には化学物質規制法(チェミカル管理法)が改訂され、欧州REACH類似の規制が導入されました。私は2026年4月の化学工業日報セミナー(東京)で、タイ・ベトナム・インドネシアの化学物質規制比較を講演する予定で、現地ヒアリングを重ねてきました。

タイの強みは、SCG(Siam Cement Group)、PTT Global Chemical、IRPCといった、化学産業の中核企業が、自ら循環経済戦略を打ち出し、設備投資に踏み切っていることです。SCGは「SCG Green Choice」というサステナブル製品ライン、PTT GCは廃プラ油化(年6万トン規模)、IRPCはPP/PE再生材事業、というように、産業界主導の動きが顕著です。

タイは中所得国の上位に位置し、消費財ブランドオーナーの再生プラ要求にも、相応に対応できる産業基盤を持っています。日本企業にとっては、欧米メジャーや韓国LGに先行されないためにも、早期の現地パートナー確保が重要な市場です。

2-3. ベトナム EPRの本格運用が始まった国

ベトナムは、東南アジアで初めて欧州型EPR制度を本格的に立ち上げた国の一つです。2021年に環境保護法が改正され、2024年からEPR本格運用、2027年までに全製品カテゴリへの拡大が決まっています。

私が2025年に訪れたハノイ郊外の中間処理工場では、ヨーロッパから中古の選別ラインが導入され、PE/PP/PETの自動選別が動き始めていました。日本では当たり前の光学選別ラインが、ベトナムでは「最新導入設備」として位置づけられている、というのが現実です。

ベトナムは、繊維・縫製・電子機器・自動車部品など、対欧米輸出産業の集積地です。輸出企業はEUのPPWRや米国主要BOの再生プラ要求に対応する必要があり、その対応が国内のリサイクル産業を引っ張る、という構造になっています。私のお客様の中にも、ベトナム拠点で再生プラ調達ルートを構築している日系企業が複数あります。

2-4. マレーシア 規制と産業の中間層

マレーシアは、中国禁輸後の廃プラ流入で2018年以降に大きな問題を抱えた国です。当時、政府が「もう廃プラのゴミ箱にはならない」と表明し、輸入規制を強化しました。それ以降、自国内の廃棄物処理体制の整備に力を入れています。

マレーシアの強みは、英語圏で外資参入のハードルが低く、PETRONAS(国営石油・ガス会社)を中心とした化学産業集積があることです。Dialog Group、Petronas Chemicalsが廃プラ油化や再生プラ事業を進めており、欧米企業との合弁・技術提携も活発です。

一方で、消費者レベルの分別意識はインドネシアやベトナムと同様に発展途上で、回収率の向上が課題です。日本企業にとっては、設備供給と技術提供だけでなく、地域住民への分別教育プログラムなど、ソフト面でのソリューションも需要があります。

3. CLOMA・AOTS・現地コンサルから見えてきたもの

3-1. CLOMA WGリーダーとして見てきた景色

私はCLOMAの廃プラスチック資源循環ワーキンググループでチームリーダーを務めています。CLOMAは2019年に経済産業省主導で設立された業界団体で、現在500社超が参加し、海洋プラごみ削減と国内外の資源循環ビジネス開発を推進しています。

ワーキンググループの中では、東南アジア向けの「マッチングプロジェクト」が継続的に動いており、日本企業の技術と、現地の廃棄物処理事業者・自治体・消費財メーカーをつなぐ場になっています。私自身、このマッチング案件の何件かに、テクニカルアドバイザーとして関わってきました。

見えてきたのは、「日本企業の技術を現地に持ち込めば自動的に売れる」というシナリオは成立しない、ということです。現地の廃棄物の組成、回収方式、消費者行動、規制環境、競合(中国、韓国、欧米企業)の動きを、丁寧に見極めたうえで、現地パートナーとの「共創モデル」を作らないと、事業は立ち上がりません。

3-2. AOTS技術派遣プログラムでの体験

AOTS(海外産業人材育成協会)の技術派遣プログラムでは、現地の技術者を日本に招聘して研修を行うとともに、日本の専門家を現地に派遣して指導するスキームが運用されています。

その経験で印象に残っているのは、現地の若い技術者の学びへの貪欲さです。日本企業のリサイクル設備や運用ノウハウを、本気で吸収しようとする姿勢は、20年前の日本の高度成長期のエンジニアを思い起こさせます。一方で、彼らが直面する制約(予算、設備、人材、市場)は、私たちが想像する以上に厳しい現実です。

現地に行ってわかったのは、「設備さえ売れればいい」「ノウハウだけ移転すればいい」という考えでは、東南アジアでは事業は続かないということです。現地の人と一緒に育てる、という覚悟を持った会社だけが、この地域で生き残ります。

3-3. インドネシア企業との協業

私が今、最も力を入れているプロジェクトの一つが、インドネシア企業との協業によるリサイクル構想です。

廃棄物処理から再生材製造、再販までを一気通貫で担う、地域密着型の循環経済オペレーターです。現地のリサイクル設備供給と運営を行うエンジニアリング企業で、私とはMOUも締結し、トライラテラルスマートリサイクルステーションの展開計画を進めています。これはアジア8地域(インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマー)を対象とした、多地域展開型の事業構想です。

地域密着型で、自治体・住民・産業界・流通業者を巻き込み、廃棄物の「資源化」を地域経済の柱にする。これが、私が東南アジアで提案している「次世代型リサイクルタウン」のコンセプトです。日本の経験を活かしつつ、現地の事情に最適化したモデルを作っています。

4. 東南アジア市場の機会と障壁 日本企業の現実解

4-1. 4つの大きな機会

東南アジア市場で、日本企業が活用できる機会領域は、大きく4つあると私は整理しています。

第1の機会は、廃棄物管理ソリューションの提供です。回収車両、選別ライン、コンパクター、計量システム、トレーサビリティ管理など、日本企業の技術がそのまま生きる領域が広く存在します。日本のリサイクル設備メーカー(タクマ、神戸製鋼、月島機械、ハリタ金属、富士産業など)が、現地展開を加速しています。

第2の機会は、消費財ブランドオーナーへの再生プラ供給です。Unilever、Nestlé、Coca-Cola、P&Gなどグローバルブランドオーナーは、東南アジア市場でも再生プラ含有率目標を設定しており、現地での再生プラ調達ルートを必死に探しています。日本のリサイクル技術と現地の廃棄物量を組み合わせたサプライチェーンが、新しいビジネスとして成立し始めています。

第3の機会は、ケミカルリサイクル(CR)プロジェクトへの参入です。タイのPTT GC、マレーシアのPETRONAS、インドネシアのIndoramaなどが油化や解重合の検討を進めており、日本の触媒技術、分離精製技術、運転ノウハウへの需要があります。第3話でお伝えした米国市場と同じく、欧米メジャーが先取りする前に、参入余地のある領域です。

第4の機会は、認証・トレーサビリティ・教育サービスです。ISCC PLUSやEuCertPlast等の認証取得支援、サプライチェーンのデジタルトレーサビリティ、現地スタッフ育成プログラム。これらは設備販売とは異なるサービスビジネスとして、日本企業の経験が活きる領域です。

4-2. 4つの大きな障壁

一方で、東南アジア市場には独特の障壁があり、これらを甘く見ると失敗します。

第1の障壁は、廃棄物の組成と品質のばらつきです。日本では当然視されている「単一樹脂で集まる廃プラ」は、東南アジアではほとんど存在しません。混合廃プラ、汚染廃プラ、複合材が大半で、これを処理できる柔軟な設備設計が必要です。日本の高品質前提の設備をそのまま持ち込むと、現地で動きません。

第2の障壁は、価格競争です。中国、韓国、トルコ、インドの設備メーカーが、日本の半額〜3分の1の価格で類似設備を提供しています。日本企業が「品質と耐久性」だけで勝負しても、初期投資の制約が強い現地市場では、勝てません。総所有コスト(TCO)で説明できる、運用ノウハウとセットの提案が必要です。

第3の障壁は、現地パートナーの選定です。東南アジアでは、適切な現地パートナーを見つけることが、事業成否の8割を決めると言っても過言ではありません。財閥系、地場企業、外資系、いずれもメリット・デメリットがあり、相性も含めて慎重に選ぶ必要があります。私のお客様の中にも、パートナー選定で躓いた事例が、残念ながら何件もあります。

第4の障壁は、規制と現場の乖離です。法律は欧米並みに整備されつつあるけれど、現場の運用は追いついていない。これが東南アジアの典型的なパターンです。書類上の手続きが進んでいても、現場では届出が通らない、許可が出ない、運用が始まらない、という事態が頻発します。日本本社からは「規制が整ったから事業を始めよう」と判断しても、現場では半年〜1年遅れで動き出す、というギャップを織り込んだ計画が必要です。

5. 東南アジアの動きが、日本にもたらすもの

5-1. 「日本のEPR・分別文化」を学びに来る時代

東南アジアの動きを観察していて、私が強く感じるのは、「日本のEPRや分別文化を学びに来る」フェーズが、もうすぐ本格化するということです。前回の第4話でお伝えしたとおり、日本は1995年の容器包装リサイクル法から30年の運用実績を持っています。家電リサイクル法、自動車リサイクル法、食品リサイクル法、それぞれに地域の事情に合わせた運用知見が蓄積されています。

ベトナムが2024年からEPRを本格運用し、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシアもそれに続く動きを見せている今、日本の運用経験は「世界水準のリファレンス」として価値を持ちます。これを政策コンサルティング、人材育成、システム提供、現地パイロット運用支援、というパッケージで提供できれば、日本企業にとって新しい事業領域になります。

5-2. 日本企業の「アジア戦略」の再設計

東南アジアの動きは、日本企業のアジア戦略全体の見直しを迫る側面もあります。これまで、東南アジアは「製造拠点」「市場」として捉えられてきました。これからは、「資源循環の協業地域」「再生材調達のサプライチェーン」「リサイクル技術の輸出先」として、重層的に位置づけ直す必要があると、私は感じています。

単一の駐在拠点だけでは、こうした多層的な事業展開は難しいです。地域全体を見るアジア統括拠点、現地パートナーとのジョイントベンチャー、日本本社の技術部門と現地運用部門の連携、これらを組み合わせた「アジア循環経済戦略」を、早期に整理することをお勧めします。

5-3. 「逆輸入」される循環経済モデル

もう一つ興味深い動きは、東南アジアで生まれている循環経済モデルが、日本にも逆輸入される可能性があることです。バリ島のEcoBaliのような地域密着型循環システム、フィリピンのPlastic Bank的なポイントベース回収プログラム、ベトナムの繊維to繊維サプライチェーン。これらは、日本の都市型分別とは違うアプローチで、現地の事情に最適化された仕組みです。

日本国内でも、地方の高齢化、人手不足、自治体財政の制約という新しい現実の中で、こうした「アジア型循環モデル」のいくつかは、日本の地域課題のヒントになるかもしれません。一方通行の技術移転ではなく、双方向の学び合いの時代に入っています。

6. 現場で考えるべき3視点

6-1. 「市場」より先に「パートナー」を見る

東南アジア市場に参入を検討される方に、私が最初にお伝えするのは、「市場規模より先に、現地パートナーを見てください」ということです。市場が大きくても、信頼できるパートナーがいなければ、事業は立ち上がりません。逆に、市場がまだ小さくても、優秀なパートナーと組めれば、市場とともに成長できます。

CLOMAやJETRO、商社、現地日本人会、業界団体のネットワークを活用して、複数の候補とディスカッションを重ねるのが王道です。即決はせず、半年〜1年かけて、相性、価値観、長期視点を見極める。そのうえで、MOU→共同検討→JV設立という段階を踏むことをお勧めします。

6-2. 「日本品質」に固執しすぎない

もう一つ大切なのは、「日本品質に固執しすぎない」ことです。日本では当たり前の高品質設備、高い歩留まり、長寿命の前提を、東南アジアにそのまま持ち込むと、初期コストが高すぎて受注に至らないケースが多々あります。

「適度品質、適度価格、適度耐久」を、現地の事情に合わせて再設計する勇気が必要です。私の知る成功事例の多くは、日本本社の標準仕様を、現地仕様にアレンジしたものです。これは「品質を下げる」ことではなく、「現地で本当に必要な品質を見極める」ことです。

6-3. 「短期売上」より「長期信頼」を優先する

3つ目の視点は、東南アジアでは「短期売上」より「長期信頼」を優先する、という心構えです。一回限りの設備販売や技術契約で稼ごうとすると、現地ではすぐ見透かされます。「この日本企業は本気で長期で付き合うつもりか、短期で儲けて去るつもりか」を、現地パートナーは敏感に感じ取ります。

私のお客様で東南アジアで成功している企業は、例外なく10年単位の関係構築をされています。最初の3年は赤字でも、長期で信頼を築き、5年目以降に大きく事業を伸ばす、というパターンです。日本本社の四半期決算プレッシャーとは違う時間軸で動く覚悟が、必要になります。

おわりに 

次回予告
第5話では、東南アジアのリサイクルの現状と、日本企業の機会・障壁・現実解を、私自身のCLOMA WG、AOTS技術派遣、現地コンサルティング案件の実体験を交えながら、お伝えしました。「廃棄物大国」という見方は半分事実でも、すでに「資源循環大国へ向かう動き」が確実に生まれている、という姿が見えてきたのではないかと思います。

次回、第6話では、再びテーマを国別比較から技術深堀りに戻し、「ケミカルリサイクル最前線 日本企業は戦えるか」をお届けします。第2-3話で欧米のCR投資規模を見て、第4話で日本のCR投資の遅れを正直に棚卸ししましたが、第6話では、日本企業の技術内容、特定領域での強み、そして欧米に追いつくための条件を、一段深く整理していきます。

引き続き、お付き合いいただけますと幸いです。

【著者プロフィール】

畠山 達彦 株式会社DCTA 代表取締役。
2014年11月設立。湘南・横浜を拠点に、リサイクル/CO2削減/PFAS対策コンサルティング、IoT・AI・デジタルツインを活用したスマートファクトリー開発支援、環境改善・カーボンニュートラル支援の3本柱で、東南アジア・中東・インド・欧州・米国にて活動中。

前職は大手ケミカルHDにて、樹脂開発、工場設計、プラント運営、生産管理に従事し、30カ国以上の製造現場を歩いた。CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)廃プラスチック資源循環ワーキンググループでチームリーダーを務める。アフリカ資源循環に関する政府研究委託、NewsPicks EXPERT AWARDベストフラッシュオピニオン2年連続受賞(2024、2025)。DCTA Inc. ウェブサイト:https://www.dctainc.com/
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