朝礼で5分、語源を話す——工場の空気が変わった理由
「仕事って、なんで『仕事』って言うか知ってる?」
ある朝礼でそう言った。
社員は7人。
みんな一瞬、止まった。
「仕事」の語源を調べたきっかけ
日本語の奥深さに気づいたのは、心筋梗塞で倒れたあとだ。
動けない時間が長かった。
本を読み、言葉を調べ続けた。
そのなかで「仕事」という言葉に引っかかった。
「仕」という字は、「仕える」と読む。
仕事とは、誰かに仕えること。
自分のためではなく、誰かのための行為だ。
これを知ったとき、妙に腑に落ちた。
工場の朝礼で話してみた
うちはダンボールを作っている工場だ。
毎日同じ作業の繰り返し。
「やりがいって何?」と聞かれたら、正直答えに詰まる部分もある。
だからこそ、試してみた。
語源の話を、朝礼の5分でする。
「仕事の"仕"は仕えるという字だ。
つまり仕事とは、誰かへの貢献そのものを指す言葉なんだ」
「俺たちが作ったダンボールは、誰かの荷物を守っている。
それが仕事の本質じゃないか」
社員の顔が変わった瞬間
言い終えたあと、ベテランの社員が言った。
「そういう意味だったんですね」
その一言だけだ。
特別なことは何も起きなかった。
でも、その日の作業中の雰囲気が少し違った。
うまく説明できないが、
なんとなく、丁寧だった。
語源を使うようになった背景
私は「正しさの押しつけ」をしたくない。
「やりがいを持て」と命令しても意味がない。
人は命令では動かない。
でも、言葉の意味を知ると、自分で考えはじめる。
「仕える」という言葉を知った社員は、
自分が何のために動いているかを、自分なりに解釈する。
それでいいと思っている。
コストゼロでできる組織活性化
朝礼の5分は、お金がかからない。
研修を外注する必要もない。
コンサルを呼ぶ必要もない。
必要なのは、経営者が少し勉強すること。
そして、教えるのではなく「一緒に考える」という姿勢だ。
語源は、そのツールとして使いやすい。
なぜなら、答えがひとつではないから。
「仕事とは仕えること、あなたはどう思う?」
この問いに、正解はない。
だから社員は考えざるを得ない。
考えた人間は、自分の言葉で仕事を定義しはじめる。
続けてわかったこと
この取り組みを数週間続けた。
毎回ではない。
週に一度、気が向いたときだけ話す。
気づいたことがある。
話した翌日のほうが、職場の声が多い。
「これってこういう意味ですか?」
「昨日の話、家で調べたんですよ」
そういう言葉が出てくるようになった。
語源は、人を動かす。
命令ではなく、好奇心を通して。
経営者こそ言葉を学ぶべき理由
私はエンジニアでも教育者でもない。
ダンボールを作る工場の経営者だ。
でも、言葉の力は、誰でも使える。
むしろ中小企業の経営者こそ、
社員と近い距離にいる分、言葉の影響力は大きい。
「仕事」の次は「働く」の語源を話した。
「働く」は「傍(はた)を楽(らく)にする」が語源という説がある。
周囲を楽にすることが、働くことだ。
これを聞いた社員のひとりが、
翌週から後輩のフォローを自然にやるようになった。
何も言っていない。
指示もしていない。
言葉が、行動を変えた。
5分の朝礼が、
これほど効くとは思っていなかった。
コストゼロで、今日からできる。
経営者の皆さんに、ぜひ試してほしい。
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