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【前編】まだ終わっていなかった戦い

高校に進学できたとき、私たちは小さな奇跡を感じていた。
でも、それはまだ「通過点」にすぎなかった。

次男は相変わらず、中高一貫コースの学年最下位グループ。
成績順に3クラスに分かれていて、彼はその中でいちばん下のクラスだった。
しかも、高校の進学実績は外部入学生と一括で集計される。現実には、「上には上がいる」世界だった。

そんな中、3年の秋になると、クラスの半数が総合型選抜や推薦で進学先を決めていった。
冬にはさらに多くの生徒が私立大学に合格し、浪人を含めた進路が次々と固まっていく。

――気づけば、息子だけが「国立一本」で戦っていた。
孤軍奮闘
まさにそんな状況だった。

他クラスはほぼ国公立大を目指していたものの、
息子のクラスに同じ境遇の仲間は誰もいなかった。
卒業式直前の2月。極寒の中、教室は合格の声で浮ついていた。

「○○大学、受かったー!」
「俺、推薦で△△行く!」

そんな声が飛び交う中で、息子はただ一人、黙々と塾の教材に向き合っていた。

塾でやってきたのは国立大学の個別試験対策。
共通テストでは点が足りなかった。けれど、私は信じていた。

「この子は、最後の逆転力を持っている」と。

それでも、卒業式の日はやはり辛かった。
晴れやかな顔の同級生たちの中で、うちの息子だけが“空白”のまま。

担任の先生は、私に囁くように言った。

「彼なりによくできたと思いますよ」

私は、どう答えていいかわからなかった。

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