ニッツ・アイランドへの支度 DayZという半現実

本記事は筆者の実体験に基づく
来週、11月30日から『ニッツ・アイランド 非人間のレポート』がシアター・イメージ・フォーラムで公開される。今作は2013年からSteamなどで販売されているサバイバルゲーム"Day Z"の世界で生存を続ける生存者(プレイヤー)たちにフランスの撮影クルーがインタビューを行うドキュメンタリー映画になっている。Day Zの認知度が日本でどれだけ大きいかはわからないが、1人のプレイヤーとして今作の公開を楽しみにしている。コロナ禍を経て人々がオンラインに居場所を求める光景は以前より増えた世界になりつつある。
オンラインは、出来ないことを出来る世界でありニッツ・アイランドで舞台となったDayZもその一つである。今回は現時点で390時間ほど今作をプレイしてきた自分からDayZの魅力とプレイ中に起こったいくつかの出来事、そしてニッツ・アイランドへの期待を書いていこと思う。

DayZとは?
目的は至ってシンプル。
ゾンビが蔓延るオープンワールドで生き延びる。
生き延びる為なら他の生存者を倒し物資と生存者自身の”肉”を奪う。
その通り。今作は生き延びる為なら人肉を食べることもできるゲームだ。もちろん動物を狩り肉を手に入れ、道中の家屋やゾンビから缶詰や野菜を手に入れ畑を耕し野菜を作り続けるなどの人間的な方法で腹を満たすことだって可能だ。しかし腹を満たすだけでなく水分を取りのどの渇きを満たし続けることも必要となる。川の水を飲む?それはお勧めしない。川の水を飲めば病気になるし飲むためには薬を使い川の水を洗浄する必要がある。安全な水と言ったら井戸水だ。運よく井戸を見つけ運よく水筒やペットボトルやガラス瓶(最近のアップデートで追加された)で水を入れて長距離移動に備えて保存して持ち歩き、使う道具や武器そして銃を趣旨選択しながら無限に広がるマップを歩み続ける・・・
それがこのゲームのルーティーンだ。

PVPの世界で

この写真を見て違和感を覚えないだろうか?
写真真ん中あたりをよく見てもらいたい。
気づいた人は生き残れるだろう。しかし気づけなかった人は爆死する運命が待っている。
拡大してみよう。

このポツンとおいてあるのは地雷だ。踏めば即死の恐ろしい武器だ。このゲームは基本的に爆発を食らえば一発で死ぬ。現実通りに死ぬ。おまけにクレイモアにプラスチック爆弾も稀に置いてあるし手りゅう弾も閃光に煙幕そして炸裂まであるし、グレネードランチャーの弾(肝心のランチャーが見つからないので撃ったことはないが)多種多様な弾がある。
また、家屋で時々見つける青いガス缶を撃っても同じ運命が待っているだろ。
話は地雷に戻るが、こんなわかりにくい場所に地雷を置くとするならきっと意地の悪い別の生存者だろう。このゲームは自分がどれだけ長く生き延びるかが重要なので、我々生存者はライバルになりえる者たちを葬り去らなければならない。だからこんな方法で一人でも多く倒していくのも生存方法の一つではある。実際、プレイしてしばらくの内は軍の基地でうっかりこいつを踏んだりブービートラップにしょっちゅう引っかかては爆死していたが、最近はもっとひどい爆死を経験した。
その日は運よく武器に食料やらが充実していた時だった。こんなに物資も潤っているんだ誰かと交流するのもありだな、とゾンビを撃ちながら考えていた。自分のプレイスタイルはPVPメインではなくゾンビ狩りをメインにしている。

日々のストレスを銃声と共に発散できるのもこのゲームの魅力である、と勝手に考えていたら誰かと撃ち合うのもいいが、負ける可能性が高い撃ち合いよりゾンビを撃っていたほうが楽しいし気分も張れる。スナイピングしてヘッドショットを決めた時なんて、さながらゾンビ映画の登場人物になった気分だ。なので、その日もゾンビを適当に撃ち続け人間との交流を考えていたわけだが、好機は銃声と共にやってきた。銃声は近い。さあ走れ。交流だ。人間的な活動だ。
「Hey. Friend ! Don't shoot me. I gonna help you!」
持ち前の雑魚英語力で交流を図る。オンラインでもオフラインでも話しかけることが交流への一歩だ。
相手からの返事が来た。
銃声で。こっちを撃ってきた。おまけに装備欲見たらぎっちぎちに武装してるしグラス付きの強襲用ヘルメット(めっちゃ硬いヘルメット)かぶってやがるし2人もいる。
「Hey! Don shoome! Don shoome!」
と片言の英語を言いながらリボルバーで応戦するも、相手の勢いに圧倒され家屋に逃げ込むしかなかった。相手はライフル、こっちは拳銃の絶体絶命の状況。「don kill me don kill me」と訴えながら窓からちらっと見えた生存者めがけてぶっ放す。相手のほうが手数も装備も上。おまけにベストまで身に着けているではないか。
コロンコロン
聞き覚えのある嫌な音が室内に響く。丸い物体が隅に落っこちてきた。部屋を出るべきだろうか。出たら間違いなくもう一人がハチの巣にするだろう。残された道は一つ。手りゅう弾が落っこちてきた反対側に伏せて爆発を回避するか賭けてみるしかなかった。急いで部屋の隅に駆け込み匍匐の姿勢を取る。足を向け爆発に備えた結果は目に見えていた。
見事爆死
ニッツ・アイランドの予告で観たような交流はできなかった。
自分が普段利用しているサーバーの民度もあるかも知れないが、現時点で基本出会ったら即撃ち合いか殴り合いになるのが日常茶飯事だ。出会う確率も2日に1回あるかないかだが、出会って友好的だったのは1度だけしかない。それくらいこの世界は荒れ果てている。
誰かを殺し誰かが生きる弱肉強食の世界。
それがDayZのPVPだ。
ゾンビ狩りというロールプレイ

この世界で生き延びる為に必要な武器は数多くある。このライフルも信頼できる存在だ。マガジンが入った状態の銃を見つけるのには運が必要だ。銃を手にすれば生存率はぐんと上がるだろう。弾もあればなお良し。たっぷりの弾丸を集めたらロールプレイの開始だ。
銃を撃つと何かとデメリットがある。銃声は広い範囲で響き渡り遠方に居る生存者や付近にいるゾンビも寄せてしまうが、それでいい。ゾンビは集まれば集まるほど倒し甲斐がある。

わざとおびき寄せ手りゅう弾にライフルにハンドガンでドンドン撃ちまくる。誰が来ようが関係ない。ひたすら撃って撃ち続ける。頭を撃ち抜かれ倒れていくゾンビたち。築かれていく死体の山からさらに弾を集めさらにゾンビを撃ち抜く。撃ち続ければ銃の耐久値も減っていくが関係ない。ただひたすら現実の鬱憤を晴らすために撃ち続ける。

アサルトライフルで倒し続けることもあれば運よくショットガンの弾(散弾とスラッグ、非殺傷のゴム弾の三種があるがこの時は散弾とスラッグ)が大量に手に入った際、行く先々でショットガンを撃ちまくったこともある。シンプルなポンプアクションのショットガンでゾンビを倒すさまもまた映画さながら。
満点の青空でゾンビ狩り。非常に愉快で非常に楽しい。気分はそう、ナイト・オブ・ザ・リビングッドの自警団だ。彼らももしかしたらこんなノリだったのだろうか。弾を込めた銃を担いで死者か生者か分からないヒトを狙い撃つあの感覚をこんな風に楽しんでたと考えていたら、不気味な気分になるが「ここは仮想世界だ」という認識がそれを忘れさせゾンビ狩りを再開させる。

暗くなろうが狩りは続く。弾が亡くならない限り撃ち続ける。どこかの生存者に撃ち殺されるまでこの狩りは続く。死んでやり直した時もきっとゾンビ狩りを続けるだろう。しかし、たまに平和を過ごしたいので今度は農民になりたい。このゲームでの過ごし方は数多くある。自分のようにゾンビを狩り続けることも、ゾンビではなく生存者を狩ることも、救急隊員になって他者を救ったり、農民として平和に過ごしたり、誰かのために命を懸けることもできる。工具さえあれば建築も車の修理もできるが、一度死んだらすべて失うヘビーな世界が本当に楽しくて仕方ないのだ。こんな世界で生きていると実感できるのが愛おしく思うことがある。
だがそれも無線ゆえに発生するかくかく処理落ち通信障害のストレスと共に歩み続けているので疲れる。だがそれもまた楽しい。(早く有線にしたい)
ニッツアイランドへの期待
前述のように今作はコミュニケーションを取れる機会が限られているので、撮影クルーらがどのような人々と交流を図りどんな光景を目撃してきたのかを見ていきたい。そして、これだ。

この異様な光景の真実を知りたいというのが一番の理由だ。
インターネットを舞台にしたドキュメンタリーは未だ数が少ない。今作を皮切りに日本にもオンラインを舞台にしたドキュメンタリーが来ることを願いたい。
ニッツ・アイランド 非人間のレポート来週11月30日よりシアター・イメージフォーラムにて公開。
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