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焼き菓子はカラスにくれてやる。人間はティラミスで勝つ

夫の有休奨励日だった昨日。鎌倉までお墓参りに行ってきた。

娘は朝から大学。久々2人だけのお出かけ。
今までは車で行っていたのだけれど、車を手放してからというもの、ちょっと足が遠のいていた。まぁ別で先祖の慰霊行事をやっているから、という甘えもあった。

夫はTimesカーシェアをずっと契約しているけど、ほぼ使っていない。
今回使えばよかったが、GW気分で散策も兼ねて、電車とバスでのんびり行ってみることにした。

夕方から雨という予報で、朝から肌寒い日。久しぶりの薄手のヒートテックの上に薄手の綿ニットを重ねた。そこにノーカラージャケットを羽織っても、まだうすら寒い。体が日々の気温変化についていけていない気がした。

お花を持って電車に乗るのも初めての経験。座れたけどエコバッグに入れたお花はけっこう邪魔。お花が傷まないようにそっと抱えるようにして持つと肩とか背中の変なところに力が入る。

鎌倉駅からバスで15分ちょっと。
初めて歩くバス停からの霊園の歩道。もちろん終わっている桜のトンネルの階段を登り、つつじの花を見ながらお墓に到着。

noter仲間のみちよさんが「庭との戦い投稿」で教えてくれた「ヤブカラシ」がまた、いつものように繁殖していた。
他には、入口に黄色い花を咲かせた「カタバミ」、お墓の裏でひっそりとピンク色のつぼみをつけた「ムラサキカタバミ」、そして可愛らしい紫色の小花をつけたひょろ長い「マツバウンラン」という花がお墓の脇を彩っていた。

3つぐらい隣のお墓には「セイタカアワダチソウ」のような葉や、細長い葉っぱがたくさん生い茂るイネ科の雑草が生い茂っていて「盛大に荒れてるなぁ…」と感じてしまう。
対して、夫の家のお墓は「ヤブカラシ」に守られていて、遠目に見るとそれがアイビーのようにも見えて、ちょっとオシャレにも見えてくるから不思議だ。お墓にも個性があるなぁと感じる。

とはいえ、雑草は雑草なので、遠慮なくぶっこ抜いていく。「マツバウンラン」だけは最後まで夫が残して可愛さを愛でていて、それがよかった。

お墓も磨いて、拭いて、お供えを並べて。
覚えていないのでカンペを見ながら般若心経を唱える。二人とも老眼が進み、ところどころフリガナが読めず、途中どっちかがモニョモニョとなりつつも、お参りを無事終えた。

他の方のお墓は、いつもじろじろ見たりはしないが、左の先の方に、お墓にしては少し高い木を植えられているお墓があって、遠目には認識していた。
昨日はその木がさらに高く生い茂っている気がしたので「なんかあの木、さらに成長してない?」と、ついに夫と二人で、何の木なのか確認しに行こうとしてしまった。

もうすぐ、というところで。
静かだった霊園に、「パサッ」と乾いた音がした。
ふと振り返ったところ、2段上の通路の柵にカラスが一羽止まっているのが目に入った。
「なんだ、カラスか…」
そう思った瞬間。
カラスは、夫の家のお墓をめがけて飛び立つ姿勢を取った。
私は理解した。

「お供え泥棒だ!」

夫が慌てて手を叩きながら「こら!!!やめろ!!あっちいけ!」と威嚇して走り寄る。
カラスは慌てて、でもお墓のお供えが置いてあったところをかすめて飛び、少し先のスピーカーの上に止まった。

「危なかった!ずっと俺らのスキを狙ってたんだな…」
「ていうか、怯まずにトライするねぇ。さすが野生。根性あるなぁ…」

そんな話をしながらお供えを確認をする。

果物はやられていなかった。
隣に並べていた焼き菓子は数個、地面に落ちていたが、パッケージは破れたり傷ついたりしていなかった。
スピーカーの上のカラスは、しばらくこっちの様子を窺っていたが、やがて諦めたように飛び去った。

焼き菓子を、除菌ティッシュで拭きながら回収し「被害がなくてよかったね」と言いながら箱に戻していったところ。

…あれ?
一個分、スペースが埋まらない。

お墓の周りを再度確認したが、どこにも落ちていない。

「やられてるじゃん!一個持ってったんだ… あいつ…」

カラスはしっかり、一番軽いお菓子をかっさらっていたのだ。

スピーカーの上から見下ろしていたあの視線は「くそぅ、もうちょっとだったのに…」という残念顔ではなかった。「へへ、いただいたぜ」という、勝ち誇った顔だったのだ。
そう思うと、なんとも腹立たしい気持ちになった。
人間が叫びながら走ってきても、動じずに最軽量の獲物をかっさらっていく野生の根性。完敗だった。

二人の人間は、悲しい気持ちを払拭すべく、鎌倉で美味しいパスタランチとティラミスを食べることにした。

カラスよ、お前はあの頑丈な個包装を破って、無事お菓子にありつけたかい?
お前が慣れないビニール相手に悪戦苦闘している間に、私たちは、それはそれは美味しいティラミスをいただいたぞ。
いいだろう?ざまあみろ。
この勝負、私たちの勝ちだからな。

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