「助けてください」を封印する。41歳・世帯収入ゼロの私が、最初に変えた「口癖」の話
41歳のとき、世帯収入が突然ゼロになりました。
夫の事業がうまくいかなくなったとか、まあ、いろいろな事情が重なって。
今から25年前の話です。
通帳の残高が減っていく恐怖というのは、体験した人にしか分からない独特の冷たさがあります。
当時の私には、何もありませんでした。
専業主婦で、ビジネスの経験も、コネも、若さもない。
ホームページを作れたけれど、営業に行くあてもない。
「詰んだ」
と思いました。
溺れかけた人間がどうするか。
必死に、近くにいる誰かの足を掴もうとするんです。
当時の私もそうでした。
知人や、昔の同僚に連絡をとっては、心の中で、あるいは言葉に出して叫んでいました。
「仕事がないんです」
「なんでもします」
「助けてください」
でも。
誰も助けてはくれませんでした。
みんな、優しい人たちでした。
それでも、私の手を取らなかった。
今なら分かります。
彼らが冷たかったわけではありません。
私が「重かった」んです。
沈みかけている人間が、「助けてくれ」と必死の形相でしがみついてくる。
一緒に沈んでしまうかもしれない。
そう思わせる空気を、私が全身から出していたんだと思います。
今日は、そんな私がどうやってそこから這い上がったのか。
WEB制作を30年続けるきっかけになった、たった一つの「口癖の変化」についてお話しします。
「もらう側」から「渡す側」へ
仕事がまったく取れなかった頃、私は常に「奪う人」でした。
「仕事をください(仕事とお金を奪う)」
「話を聞いてください(時間を奪う)」
「心配してください(感情を奪う)」
相手にとって、私と会うメリットは一つもありません。
ただのボランティアです。
余裕がある時ならまだしも、忙しいビジネスマンが、そんな相手に時間を割くはずがありません。
ある日、ふと気づいたんです。
「私にお金を払う人は、何にお金を払うんだろう?」
私の生活を助けるため?
いいえ、違います。
彼ら自身の仕事が楽になるため、あるいは利益が出るためです。
当たり前のことですが、余裕がなくなると、この順序が逆転します。
「自分が助かりたい」が先に来てしまう。
だから、私は決めました。
「助けてください」を封印しよう、と。
その代わり、この言葉を口癖にしました。
「どうしたら、お役に立てますか?」
もっと具体的に言えば、
「あなたが面倒だと思っていること、私が持ち帰りましょうか?」
才能はいらない。「手土産」を持つ
それから私は、人に会いに行くとき、
必ず「手土産」を持っていくようにしました。
お菓子ではありません。
相手のメリットになる「準備」です。
実績もスキルもない私が用意できたのは、こんな地味なものばかりでした。
「御社のサイトを見て、気になった誤字をまとめておきました」
「いただいた資料、読みやすいように整理してデータ化しておきましょうか」
「その調べ物、時間がかかるなら私がやっておきます」
プログラミングができなくても、デザインができなくても、「面倒なこと」を引き受けることはできます。
相手が忙しくて手が回らない「隙間」を見つけて、勝手に埋めていく。
すると、相手の顔色が変わるんです。
「え、助かるよ。お願いできる?」
その瞬間、私は「助けてもらう人」から「助ける人(役に立つ人)」に変わりました。
仕事というのは、
「ください」と言う人ではなく、
「手伝います」と言う人に流れてくるものだと、
この時、骨身に沁みて知りました。
最初に小さな信頼を置く
この25年で、仕事はWEB制作からネットショップ運営、協会ビジネス運営と変わりましたが、実は、やっていることは今もあまり変わりません。
最新の技術は分かりません。
難しいマーケティング用語も苦手です。
でも、
「お客様が今、何に困っているか」
「私が肩代わりできる面倒ごとはないか」
それだけをずっと見ています。
もし今、あなたが行き詰まっていて、選択肢がないと感じているなら。
誰かに会いに行くとき、
自分の事情(困っていること)は、一旦カバンにしまってください。
その代わり、
相手のためにできる小さなことを一つだけ、手土産として持っていってください。
「助けてください」ではなく「お役に立てますか」
その一言が言えるようになった時、
あなたの人生の選択肢は、きっと一つ増えているはずです。
私がそうだったように。
