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学研電子ブロックEX-150|科学少年垂涎のキット

子どもの頃、学研の『科学』と『学習』をとってもらっていた。

あさりよしとお先生や、カサハラテツロー先生という、のちの自分に影響を与えまくる漫画家の先生にも、そこで出会った。

もちろん漫画も楽しみだった。
しかし、学研の『科学』といえば、なんといっても付録である。

小学生だった私の机の上に、突然、小さな実験室が出現するようなものだった。

その中でも、特に憧れたものがある。
学研の電子ブロックである。

透明な緑色のブロックの中に、トランジスタや抵抗などの電子部品が収められている。それを本体に並べていくことで、電子回路ができあがる。

普通、回路というものは、基板に部品をはんだ付けして作る。
一度つけてしまえば、気軽には組み替えられない。間違えたら外す。作り直す。それも工作の醍醐味ではあるのだけれど、小学生が「ちょっとこの抵抗を入れ替えてみよう」と軽く試すのは大変だ。

ところが電子ブロックは違う。
電子部品が入ったブロックを、回路図通りに並べる。それだけで、ラジオや電子ブザーやワイヤレスマイクのようなものが作れる。

調べてみると、代表的なEX-150は1976年に発売されたものらしい。私が生まれるよりも前である。

四十数個のブロックを使って、150種類の電気実験ができる。

いやぁ、これはかっこいい。
今見てもかっこいいのだから、当時の子どもたちが見たら、そりゃあたまらなかったと思う。


しかも値段もすごい。発売当時で13,000円。
子どものおもちゃとしては、かなりの高級品である。デパートのおもちゃ売り場で、ショーケースに入っていたという話も見かけた。

百貨店のガラスのショーケースに、未来が飾られている。
きっと昭和の科学少年の目には、そう映ったことだろう。

実はこれが、のちに大人の科学シリーズで復刻していた。

子どもの頃、本当に憧れていたものだった。
何に使うというものでもない。これを買ったからといって、新しい何かを発明できるわけでもない。

買った。

そりゃそうだろう。
これは、あの日の科学少年だった私へのプレゼントである。



朧げなる出会い

私の生まれ育った小さな街に、同級生の家が営んでいたクリーニング店があった。その隣に、美容室か理容室があった気がする。

もう昔すぎて、全然覚えていない。
小学校低学年の頃だったとは思う。

その待合室に、古い古い学研の『科学』があった。
そのページに、電子ブロックが載っていた。


あまりのかっこよさに、私は衝撃を受けた。
小さな透明のブロックが並んでいて、組み換えると機能が変わる。

スマホアプリ全盛の現代では想像しにくいと思うが、昔の製品は、買った時から捨てる時まで、基本的に機能は変わらない。

それが拡張できる。変更できる。
これは本当に衝撃だった。


もう一つ、その美しさを加速させる記憶がある。
宮崎駿監督が手がけたテレビシリーズ『未来少年コナン』である。

主人公のコナンと、ラナという女の子。
そしてラナのおじいさんであるラオ博士。

© NIPPON ANIMATION CO., LTD.
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ラオ博士は、インダストリアという工業都市へ向かう。荒廃した未来の世界に残った、巨大な都市のような場所である。
ラオ博士は、かつて自分が作ったフライングマシンという乗り物を持っている。これが、もう夢のあるデザインだった。

いかにも宮崎駿が描くメカで、シンプルで、シルエットが美しい。

© NIPPON ANIMATION CO., LTD.

そのフライングマシンは、最初から完全に動くわけではない。壊れかけている。修理しなければならない。そのために、敵陣のようなインダストリアへ乗り込む。

この「壊れかけの機械を修理するために進む」という物語が、子どもの私にはたまらなかった。

© NIPPON ANIMATION CO., LTD.
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砂漠の上を走っていくフライングマシン。
その上に小さなデッキのような場所があって、コナンとラナが乗っている。ただ移動しているだけなのに、冒険心がものすごく刺激される。

© NIPPON ANIMATION CO., LTD.
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そして、フライングマシンを修理するための部品が、インダストリアの地下深くに眠っている。

© NIPPON ANIMATION CO., LTD.
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そこで出てくる部品が、まさしく電子ブロックのようなのだ。


© NIPPON ANIMATION CO., LTD.
© NIPPON ANIMATION CO., LTD.
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直方体というか、ガラスのように透明で、きらりと光るブロック。その中に回路のようなものが収まっている。それを組み合わせることで、機械が動く。

© NIPPON ANIMATION CO., LTD.
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子どもの私は、そこでまた衝撃を受けた。

物語の中に出てきた、あの美しい部品。
あれと同じようなものが、現実にもあるのだ。


それこそが、この電子ブロックである。



ブレッドボード

今、その電子ブロックは私の書斎に飾ってある。
ほとんどオブジェである。

正直に言えば、今これで何かを作っているわけではない。これから電子工作に関係する作品を一つ作ろうとしているのだけれど、その場合はもっと複雑な回路になる。

そうなると、電子ブロックではもちろん足りない。
試作するならブレッドボードを使う。むしろ、ブレッドボードでなければできない。


それでも、学研の電子ブロックEX-150には夢が詰まっている。
見た目にしても、仕組みにしても、本当に美しいものだと思う。

復刻版も、ただ昔のものをそのまま出せばよかったわけではなかったらしい。昔と同じ電子部品が手に入らず、トランジスタや仕様の違いで、実験がうまく動かなかったりしたという。

現在、電子ブロックは公式には販売終了している。フリマサイトや中古ショップでは見かけるが、状態のよいものは高額になっていることもある。


それを見ると、少し悲しい。


本当は、子どもたちがこれをお小遣いで少しずつ貯めて、あるいはお年玉を集めて、ようやく手に入れられるようなものとして、また再復刻してほしいと思う。

ただ「かっこいい」と思ったものを買う。
触って、並べて、動かしてみる。
見えないはずの電気が、少しだけ自分の手元に近づいてくる。


科学の入り口というのは、たぶんそういうところにある。


令和の科学少年にも、そんな体験をしてほしい。
緑色に輝く宝石のような宝物を、机の上に置いてあげたいと思うのだ。


記事:まるのすけ


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