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【ゆっくり今昔旅行】1コンセプトで、きっちり面白い

ゆっくり今昔旅行こんじゃくりょこうさんというYouTubeチャンネルがある。

このチャンネル、コンセプトはいたってシンプル。

40年前の『るるぶ』を片手に、下調べなしで現地を旅する。現地のスマホも禁止!なのである。

ただそれだけ。なのに、これがすこぶる面白いのだ!

私は元々、旅そのものも、旅を記録するYouTubeチャンネルも大好物なのだけれど、その中でも「近年稀に見る傑作」と胸を張って言える作品だと思っている。




幻の名作コーナー

思えば、昔伊集院光さんの昼ワイド『伊集院光とらじおと』の中に「俺の五つ星」という名コーナーがあった。

おいしさの星の数ではなく、あなたの”思い出の度数”でお店を特集するコーナーです。

皆さんにもありませんか?
忘れられない思い出の味が・・・
初任給で食べたあのレストランのあの味。
初デートでちょっと背伸びして予約したあのレストランのスープのひとくち。
今はなくなってしまったけど、昔住んでいた場所にあってよく通ったあの店。
そんな思い出に残る「店」や「メニュー」を、あなたのエピソードと共に募集します!伊集院光がナビゲーターとなり、“人の記憶を、人の記憶で繋ぎ集め”その店とメニューを明らかにしていきます。
今そのお店はどうなっているのか?そのメニューは今食べられるのか?

公式サイトより引用


誰にでもある「忘れられない思い出の店」を探す、というコンセプト。
投書をもとにスタッフが全国を駆け回り、時には国会図書館まで足を運び、幻のラーメン屋や洋食店の痕跡を追いかけた。

多くはすでに閉店・廃業していて、味も看板も記憶の中でしか生きていなかったけれど、たまに奇跡のように現存していて「これだ!」と出会える瞬間があった。
そのときリスナーの声が震え、青春の光景や亡き家族を想う場面には、ただラジオのこちら側で聴いているだけでも落涙を禁じえなかた。

残念ながら番組は終了し、アーカイブも残っていない。
だが今昔さんの動画はそれと同じように地味で骨太な作りなのに、単純に楽しめるという共通点があると思う。

伊集院光さん




今昔さんの旅の魅力

今昔さんの旅は、“制約があるからこそドラマが生まれる”タイプのエンタメだ。

るるぶに載っている店でしか食事できない。
観光先も基本的に誌面に載っているスポットのみ。
だから、ページをめくるたびに運命が決まっていく。

  • ノスタルジー:「ああ、ここにこんな店があったのか!」と驚く。

  • ギャップ:実際に現地へ行くと、閉店して更地になっていたり、ビルが建っていたり。時間の残酷さと街の発展を同時に感じる。

  • 演出:ゆっくり実況キャラ(霊夢や魔理沙)がツッコミを入れつつ、軽快に進行する。テンションの高低差が絶妙で、つい最後まで見てしまう。


ネット上でも「郷愁を掻き立てられる」「昔の雑誌の熱気を感じられる」「制約があるから面白い」と絶賛の声が多い。ときに「情報が古すぎてほぼ拷問」と笑われることもあるけれど、それすら含めてコンテンツの個性だ。

3話の東京編で、大昔友人におすすめされて整髪料を買った『ピンクドラゴン』が出てきた時は私も「おおお!これまだあるぞ!」とテンションが爆上がりしたものだ。

視聴者はコメント欄で、自分の記憶や思い出を共有する。

「ここ昔よく行ったなぁ」「親父に連れて行ってもらった」といったような声が並ぶたび、このチャンネルがただの旅行Vlogではなく、人々の“記憶の共有空間”になっているのを実感する。




今は昔

動画はまだ3本しかない。
けれど、そのわずか3本で登録者10万人を突破しているのだから恐れ入る。

もちろん制作にはものすごく手間がかかる。
古い雑誌を探し出し、ルールを設定し、現地を歩き、撮影し、編集し、ゆっくりボイスを乗せる。
どれを取っても簡単ではない。だから本数が少なくても当然なのだ。

逆に言えば、それだけの労力をかけてでもやりたいことを“ただ一つのアイディア”に込めているからこそ、爆発的な面白さが生まれているのだと思う。

良いコンテンツは、やはり必ず伸びる。今昔さんの成功はその証明であり、見ているこちらまで誇らしい気分になる。

動画を見ていると、自然と気づかされる。

「今ある風景は永遠じゃない」ということに。

今日も普通に営業しているコンビニ、駅前の喫茶店、子どものころに遊んだ公園。
それらは数十年後にはもう残っていないかもしれない。
記憶の中でしか存在しなくなるかもしれない。

だからこそ、今を味わうこと。
目の前の風景を大切に目に焼き付けておくこと。

そして思い出を人と分かち合うことの大切さを、このチャンネルは楽しくも明確に教えてくれているのかもしれない。



記事:まるのすけ


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