【僕らの機材】不人気で在れ!SONY ILME-FX2B
羽田で始まる“機材会議”
羽田空港の出発ロビー。釧路行きの搭乗口の近くのラウンジで、私は幼馴染で仕事仲間のカセキチに電話をかけた。
「FX2、どう思う?」
FX2とは、SONYの最近出たばかりの新顔ILME-FX2Bのことである。
早い話がビデオカメラの相談である。

私たちは写真や動画で飯を食っていて、主にSONYを愛してやまない部族である。
飛行機を待ちながら、つまり最高の暇つぶしとして、機材の話を延々やることにした。
「この間東京へ行った時に初めて実機見たけど、良いと思うんだよな。」
我々は先日、カセキチがテレビCMの撮影で上京したついでに、一緒にヨドバシで実機を触りに行っていた。
前提として、この記事執筆時点でのそれぞれの機材を紹介しておこう。
私が持っている機材はSony PXW-FS5、Sony α7 III、GoPro、GoPro MAX、DJI Osmo Pocket 3、あとはHandycamが2台だ。
Sony α6500はつい先日売却済み。
カセキチは、Sony PXW-FS5 II、Sony α7S III、Sony ILME-FX30、あとなんだっけ…だ。

フラッグシップは遠くなりにけり
世は値上げ時代である。
機材リニューアルは定期的に行っているが、SONYが新世代機を出し渋っている上に、ガンガン値上げしてくるので、なかなか買えない。
用途も時代も違うけど、私が買った当時フラッグシップ機だった初代Sony SLT-A99(コレも良いカメラだったなぁ)なんて25万で買えたのに、今のフラッグシップ機 α1(Sony ILCE-1)を買おうと思ったら、99万円もする。

消費税だけでも9万円も支払わなければならず、9万払うなら、iPadとApple Pencilでも買って、今日から絵描きにジョブチェンジだってできそうだ。
だからこそ、ILME-FX2Bの“立ち位置”が気になる。
万人受けの真ん中ではない、しかし我々に刺さる何かを持っている…そんな気配がするのだ。
FX2という選択
FX2を同じセンサーと噂の7C IIと並べてみる。
上から覗き込めるファインダーがある。
ハンドルグリップをリグなしでガチッと付けられる。
デュアルスロットになっている。
グリップを付けてもファインダーと干渉しない。
冷却ファンが回って、熱暴走にビクつかずに回し続けられる。
ズームのW/Tサーボレバーもある。
……現在値下がっている価格差5万円で、こういう“現場の身体感覚”に寄った装備がつけられると考えれば、結構お得感があると思う。

ノイズの記憶
批判の多くはSony ILME-FX3との比較だとカセキチは言う。
特に高感度ノイズ。
だが考えてみて欲しい、設計思想がそもそも違う。
FX3は高感度特化の代わりに解像度を捨てている。トレードオフの話であって、正誤じゃない。
ノイズに関しては、私が2009年に買ったPanasonic LUMIX DMC-GH1なんて凄かった。

ISO1600で夕方に撮ろうもんなら、暗部も明部もノイズだらけで、カラーノイズの見本市みたいな写真が撮れたもんだった。
でもじゃあ「最悪のカメラか?」と聞かれれば、そんなことはない。
最高の相棒だったし、今ではもう人手に渡っているが、あの時あのカメラがあったからそこ作れた作品はたくさんあったはずだ。
SDでいい。SDがいい。
SDカードがメインなのも、我々には都合が良い。
MacBook Proにスッと差して、その場で吸い上げる。外付けのカードリーダー・ライターを忘れてクライアントさんの前で大恥書くこともない。
シンプル・イズ・最強。

いい機材は長く持つ
FS5は10年。
考えてみればα7 IIIだってもう7年(2018年から)使っている。
カセキチだって2020年にα7S IIIを買ってからずっと使っている。
確かに高いことは高い。
FS5は本体が65万円、バッテリーが8万円、そしてその充電器が2万5,000円もした。レンズも当然別売りである。
でもそれだけ長い時間稼働に耐えて現役だ。
また二人とも、MacBook Pro M1 Maxを4〜5年使い続けている。(昔はあんなに買い替えていたのに)。
あれだって45万円くらいしたはずだ。
Macに関しては、”インテルからの離脱”が操作感を根こそぎ変えた。
物価高でM5が遠くに霞む昨今。まだまだ衰えを知らないのは頼もしい。
(そして、この記事もそのMacBook Proで書いている)
それぞれのメリット
我々それぞれのメリットを整理してみよう。
まず私。PXW-FS5(初代)とFX2の二本柱だ。
α7 III(ILCE-7M3)やα6500(ILCE-6500)は手放し、レンズも思い切って整理する。
APS-C用レンズは原則外すので、そのぶん装備はぐっと身軽になる。
さらに、長回しができない不満…(あのEUのくだらない時間制限でα7 IIIでは叶わなかった)…も、FX2なら解消できる。
現場のストレスがひとつ減る、それが大きい。
もしFX2を買ったなら、手元のラインナップは“カムコーダーだけ”の不思議は体制にはなるが、機材は整理され、不満は結構解消される。
それに写真の解像度まで上がるってんだから、穏やかじゃない。
つぎにカセキチ。
彼にとっては、これまで主力がα7S III(ILCE-7SM3)だったぶん、FX2導入で“高画素側”を獲得できるのがメリットだ。
暗所や高感度は引き続きα7S IIIに任せ、解像や画の精細さはFX2で受け持つ。
棲み分けがはっきりして、しかもパワーアップしている。
さらに動画メインの彼にとって、FS5II、FX30、そしてFX2という顔ぶれは、相当心強いに違いない。
“不人気”という甘い香り
どうやらFX2はあまりの不人気で価格が暴落しているようだ。
価格.comのコメントは荒れ、レビューも振るわず。
挙げ句の果てには掲示板に「SONYさん、ここ見てますよね?」と名指しでお叱りまで飛ぶ始末。
だが我々は違う。群馬の片田舎で、小学生の頃からSONYやビクターのビデオカメラを回していた連中だ。
面構えが違う。
ビクターのGR-DV1なんて、チューインガムみたいなバッテリーで10分ちょいしか持たなかった(それでも撮った)。
それに、すんごく高価だった。
あの時代を通ってきた私たちからすれば、今なんて最高に“いい時代”だ。
もっと言えば、43万が32万になっていたら、約25%引き。
クリスマスか、ブラックフライデーか。デフォルトでバーゲンセール価格みたいなもんだ。
SONYっぽさ、我々っぽさ
正直、ここ数年のSONYに「進化が薄い」と感じる瞬間はある。
センサーの更新が見えず、AIを積んだだけに見える瞬間もある。ローリングシャッターやノイズに不満がないわけでもない。
それでも、だ。
FX2のような“ど真ん中ではない球”を平然と投げ込んでくるあたりが、SONYっぽいっちゃ、SONYっぽい。
そして、万人受けしないニッチにガブッと噛みつくのは、我々のやり口でもある。
不人気で在れ。今だけでいい。
値が上がる前に、我々が買う。
ありがたく、こっそり、買わせてもらう。
その予定だ。
記事:まるのすけ
【売るレンズ】
Sony Vario-Tessar T E 16–70mm F4 ZA OSS(SEL1670Z)*
Sony E 30mm F3.5 Macro(SEL30M35)
Sony E 55–210mm F4.5–6.3 OSS(SEL55210)
Sony E PZ 18–105mm F4 G OSS(SELP18105G)
Sony FE 28–70mm F3.5–5.6 OSS(SEL2870)
【残すレンズ】
Sony E PZ 18–200mm F3.5–6.3 OSS(SELP18200)
ノーブランド 20mm F2.0 “スーパーマクロ”
SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art(ソニーEマウント)
Sony FE 50mm F1.8(SEL50F18F)
Olympus F.Zuiko Auto-S 50mm F1.8(OMマウント/フィルム一眼OM-2付属レンズ)
Sony E 10–18mm F4 OSS(SEL1018)
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