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【サッカーW杯】ミリ知らワールドカップご飯:第23戦|セネガル料理編🇸🇳

次なる相手は、セネガルである。

セネガル。
セネガル…、セネガル…。

正直に言えば、私はセネガルが地図のどこにあるのかも、きちんと分かっていなかった。


そんな私が向かったのは、吉祥寺の『アフリカ大陸』である。

店名のストレートさに、ワクワクする。


複数のお店が集う小さなビルの階段を降りると、アフリカ大陸はあった。


店内は落ち着いた雰囲気で、大きなアフリカの地図や民具などが飾ってある。なんだかとっても異世界で楽しい。


席に着き、メニューを眺める。

ガーナ。タンザニア。ケニア。ナイジェリア。
知らない料理名が、小さなアルバム状のメニュー表に写真付きで並ぶ。

この手作りのメニュー表が実にいい。写真と物語が一緒になっていて大変に惹かれる。


私は迷った。

せっかく来たのだから、2つか3つくらい、少しずつ食べられたらいい。だが一人旅と同じで、胃袋には限界がある。

そんな話を店主にすると、以前、盛り合わせメニューを出そうかと考えたことがあるという。
一人で来るお客さんが多いからだ。

「でも、盛り合わせっていう文化はアフリカにないのよ」
そこで店主は、盛り合わせを出すのをやめたらしい。


なるほど。
観光客には便利でも、現地にないものを「アフリカ料理」として出すのは違う。

私は、まだ料理を食べていないのに、この店をすでに信用し始めていた。


私は決めた。

ヤッサ・ギナル。

セネガルの家庭料理
チキンをオニオンとレモンでマリネードした
さわやかなチキンソースとライス
セネガル料理は日本人の口にもとても合いますよ!

チキンonライス。
さっぱりとしてそうで、実にうまそう。


料理を作っていただきながら、いろいろなお話を聞けた。

このお店は、現地のアフリカの家庭で食べられている味を、できる限り再現することを大切にされているという。店主は子どもの頃からセネガルに縁があり、社会人になってからも同じ土地を何度も訪ねてきたそうだ。

さらに聞くと、アフリカ料理店を続けるのは、仕入れだけでも大変なのだという。

羊肉や内臓はハラル食材店などから手に入る。しかし問題は香辛料である。

「これがないと、この味にならない」

そういう決定的な材料が、日本ではなかなか見つからない。肉も現地とは肉質が違う。それでも、できる範囲で本来の味へ近づけていくそうだ。


料理を待ちながら、店主と一緒に壁の地図を眺めた。

セネガルは、アフリカ大陸の西側。サハラ砂漠の南にあり、大西洋へ少し突き出している。

そのまま海の向こうへ線を延ばしていけば、今回のワールドカップで話題になったカーボベルデがある。


店主によると、セネガルは海に面しているため魚も身近で、米もよく食べるという。

実際、魚と米を一つの鍋で調理する「チェブジェン」はセネガルを代表する料理で、食文化そのものがユネスコの無形文化遺産に登録されているようだ。

ニシン。イワシ。タイ。

魚の名前を聞くと、急に遠い国ではなくなる。

日本人も魚を食べる。米を食べる。
もしかするとセネガルは、私が思っているより暮らしやすい国なのかもしれない。


ヤッサ・ギナル



やがて、ヤッサ・ギナルがやってきた。

ライスの上にチキン。
そして、たっぷりの玉ねぎを使ったソース。

ヤッサは、玉ねぎとレモンで肉や魚をマリネし、焼いてから煮込むセネガルの家庭料理である。特に鶏肉を使ったものが親しまれ、玉ねぎの甘み、レモンの酸味、肉の旨みを一緒に味わう。




ひと口食べる。

おお。うまい!

そして、さわやかである。

レモンの酸味が来る。
そのあとを、火の入った玉ねぎの甘みと、鶏肉の旨みが追いかけてくる。

さっぱりしている。
だが、薄くはない。

知っている食材しか使っていないのに、食べたことのない国の味がする。

そしてソースを米に絡める。

うまい。
肉とソースの旨みを吸った米がうまい、という一点において、我々はかなり分かり合える。


私は以前、南アフリカ料理というで、ペリペリチキンを食べた。
あちらは唐辛子とトマトで熱く、こちらは玉ねぎとレモンで爽やかだ。


同じアフリカ。
同じ鶏肉。

それなのに、まるで違う。

当たり前である。

日本料理とインド料理を、まとめて「アジア料理」と呼ぶようなものなのだ。



食後、店主が言った。

「日本で全部食べられるよね。東京ってすごいわよね」

本当にそう思う。
東京には世界中の料理がある。
私は自転車で来られる吉祥寺の地下で、セネガルの家庭料理を食べている。

しかし、その一皿が東京に存在し続けるまでには、私の知らない探索と工夫があるのだ。


お礼を言って店を出る。
私の頭の中にあった、ぼんやりとした「アフリカ大陸」。

東京で楽しめるのは、きっと奇跡みたいなお店の人たちのファインプレーのおかげなのだと思う。


記事:まるのすけ

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