Photo by
sorasagano
SS|ねじまき地軸クロニクル~泥棒かささぎ編~
ねじまき地軸クロニクル ~泥棒かささぎ編~
(410字)
時は西暦3226年7月7日。
「橋がないな」と、彼は川岸で立ち尽くしていた。
通りかかった一羽の鵲が彼に告げる。
「今年から橋づくりはやめだ、と僕らの頭が言ってましたよ。ようやく屈辱的な仕打ちから脱せるとか何とか」
その頃、「遅すぎる」と呟いていた彼女のもとに、一人の男が訪れた。
「お久しぶりです、織姫様。ほら、三千年程前によく機織りの用具や糸を売りにきていた、あの織物商人の出捻夫ですよ」
「あら、あなた、どうして人間に戻っているの? 父上の逆鱗に触れて鳥の姿に変えられたはずでは」
「そんなこともありましたが、もう時代は変わりました。この銀の髪飾りをおつけになって、私と出かけませんか」
「そんな……困ります。父上もきっと許しませんわ」
「心配は無用ですよ。貴方のお父様は、北辰として天を支配してきましたが、その力は失われつつあります。星々の中心がずれてしまったんです」
こうして、夏の大三角関係の第一歩が踏み出されたのだった。
(了)
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはZINE作成等の諸経費に使いたいと考えています。