有限/無限境界モデル|基礎補題まとめ
0|現在の研究対象
Collatz の valuation / 2-adic 構造を使って、
有限情報では決定できない性質が、どの地点で決定可能な対象へ変わるのか
を観測している。
現時点では Collatz 予想そのものの証明ではなく、限定された
「無限 valuation 列が表す2-adic点 x(K) が N+ に属するか」
という membership 問題を扱う。
基礎補題1|有限prefix両延長補題
有限 valuation prefix を
K_r=(k0,...,k_{r-1}), ki≥1
とする。
無限延長
K=(k0,k1,k2,...)
に対して、
S_0=0
S_j=k0+...+k_{j-1}
と置き、
x(K)=-Σ_{j≥0} 2^{S_j}/3^{j+1} ∈ Z_2
を対応させる。
補題1
任意の有限 valuation prefix K_r に対して、それを共有する無限延長には
x(K)∈N+
となるものと
x(K)∉N+
となるものの両方が存在する。
証明骨格
N+側
有限 K_r
→ residue cylinderを決定
→ そこから正整数 n を取る
→ n の実際のCollatz軌道を追う
→ K_r を共有する無限列を得る
→ 対応点は n∈N+
非N+側
K_r を共有する無限 continuation は非可算。
さらに、
3x(K)+1=2^{k0}x(shift K)
から k0 を復元でき、反復により全 ki を復元できるため、
K → x(K)
は単射。
したがって非可算個の異なる2-adic点が存在する。
一方 N+ は可算。
よって、そのすべてが N+ に属することはできない。
∴ 非N+延長も存在する。
補題1から得られるもの
任意の有限 r で、
K_r
↓
├→ N+ 延長
└→ 非N+ 延長が残る。
したがって、
有限 valuation prefix は N+ membership を決定しない。
これが最初の有限非閉包。
基礎補題2|有限prefix非識別補題
次に、有限prefixから何らかの観測量
G_r=G(K_r)
を作る。
G の具体形は問わない。
補題2
有限 valuation prefix K_r のみの関数である任意の G(K_r) は、そのprefixを共有する無限延長の N+ membership を一意に判定できない。
証明
補題1より、同じ K_r を共有する
K^(+) と K^(-)
を、
x(K^(+))∈N+
x(K^(-))∉N+
となるように取れる。
しかし両者の有限prefixは同じなので、
G(K_r)=G(K_r)
であり、観測値も同一。
したがって G(K_r) だけから両者を識別することはできない。
□
補題2が排除する探索領域
この結果は、個々の量だけに依存しない。
たとえば、
S_r = Σk_i
平均valuation
有限prefix上のdrift
最大・最小valuation
有限prefixから決まる合同情報
その他あらゆる G(K_r)
について、
どれだけ巧妙な量を設計しても、それが有限 K_r だけの関数である限り、membershipの完全判定器にはならない。
重要なのは「現在よい量を知らない」ではなく、このクラス全体が補題1によって排除されること。
二つの補題を接続する
【基礎補題1】
有限 K_r
↓
N+ / 非N+ の両延長が存在
↓
membership 未決定
【基礎補題2】
有限 K_r
↓
任意の G(K_r)
↓
両延長で同一
↓
G(K_r)でも識別不能
──────── 有限/無限境界 ────────
無限 K∞
↓
x(K∞) ∈ Z_2 が一点に決まる
↓
x(K∞) ∈ N+ ?
↓
membership 確定現在見えている「型変換」
ここが二つの補題を作った意味になる。
有限側で、
K_1 → K_2 → K_3 → ...
と情報量を増やしても、どの有限地点でも補題1・2が効く。
だから境界は、
r が巨大になること
ではない。
変化するのは、
一つの有限prefix K_r
から
全prefixを含む無限対象 K∞
へ移ったとき。
したがって現在の限定された membership 問題では、
有限→無限は「情報量を増やし続けた先」ではなく、有限対象から無限対象への型変換として現れる。
という最初の観測が、二つの補題によって具体化された。
次の研究地点
補題2によって、
単発の有限prefix関数
は一旦探索対象から外せる。
残っているのは、
G(K_1), G(K_2), G(K_3), ...
という有限観測量の無限系列そのもの。
したがって次の問いは、
各有限段階では識別不能な G(K_r) でも、その列全体 (G(K_r))_{r≥1} を一つの対象として扱えば N+ membership を識別できるのか。
になる。
ここでもし識別が生まれるなら、
有限点では決まらない
→ 有限観測列を無限対象化する
→ 初めて決まる
となる。
つまり次フェーズは、これまで見つけた**「有限→無限=型変換」そのものを、観測量の系列側からもう一度検査する段階**になる。
