Collatz有限観測 三層モデルまとめ
出発点は、Collatz予想そのものを証明することではなかった。
問いを、
有限反復の内部だけで、何が観測でき、どこまで構造として閉じられるか
へ置き直した。
shortcut map
T(n)=n/2(偶数)
T(n)=(3n+1)/2(奇数)
について、長さjのparity prefixは
2^j T^j(n)=3^m n+c
と書ける。
ここから係数
3^m / 2^j
が初めて1を下回る first coefficient crossing を対象にした。
第1層|有限観測
まず実際のprefixを有限に走査した。
途中、prefix生成器にparity履歴とaffine stateを混同するバグが見つかったため結果を破棄し、直接計算との照合を含む生成器に修正。
そのうえでj≤30まで確認した。
観測されたのは、
crossingするjと、まったくcrossingしないjが存在する
こと。
さらに観測範囲では、n≥2について
first coefficient crossing時刻 τ
= ordinary stopping time t
であり、
不一致0
だった。
ただしこれは有限計算結果であり、CSTの証明ではない。
第1層の到達点
実軌道 → finite prefix → crossing位置と個数
を正確に観測できた。
そして次の問いが生まれた。
なぜcrossingが存在しないjがあるのか?
第2層|存在構造
ここで具体的なCollatz軌道から一度離れ、
j = prefix長
m = 累積奇数step数
だけを見る。
β=log_3 2 とする。
jで初めて係数が1を下回るためには、
3^m ≥ 2^(j−1)
3^m < 2^j
したがって、
(j−1)β ≤ m < jβ
となる。
よって、
[(j−1)β, jβ) に整数mが存在するか
だけでcrossing可能長を判定できる。
β<1なので整数mは高々一つ。
これによって、
possible / impossible
のj列が軌道計算なしで決まった。
第1層で見つかった「空白」は偶然ではなく、2と3の指数比が作る離散構造だった。
さらにpossibleなjについて、
A_k=ceil(kβ) (k<j)
A_j=A_(j−1)
と累積奇数回数を構成すると、
k<jでは
3^(A_k)>2^k
を維持し、
jで初めて
3^(A_j)<2^j
となる。
したがってfirst-crossing parity prefixを明示構成できる。
既知のparity vectorとmod 2^jの対応を接続すれば、実Collatz prefixへ移せる。
第2層の到達点
crossing可能性
が
Collatz軌道 → β=log_3 2 の離散幾何
へ分離された。
つまり、
存在するかどうか
の問題が閉じた。
第3層|集合構造
次に、
possibleな同じjに存在する全first-crossing prefixは、どんな集合なのか
を調べた。
基準境界を
B_k=ceil(kβ)
各prefixの累積奇数回数をA_kとして、
D_k=A_k−B_k
という偏差を導入。
さらに、
q_k=B_k−B_(k−1)
p_k=A_k−A_(k−1)
とすると、
D_k−D_(k−1)=p_k−q_k
になる。
その結果、
q=0 → 停滞 / 上昇
q=1 → 停滞 / 下降
という単純な離散pathへ変換できた。
first-crossing prefix全体は、
D_0=0
→ 途中ではD_k≥0
→ j−1でD=0へ帰還
→ 最後だけD_j=−1
という、
境界付き非負帰還path
として表現される。
さらにこのpathだけを数えた結果は、有限計算した範囲で実際のCollatz first-crossing class数と一致した。
つまり、
Collatz prefix集合
を直接生成しなくても、
β → q列 → 非負path
だけで集合を記述・数え上げられる。
さらに第3層内部で起きた圧縮
q列自体も、
q_k=ceil(kβ)−ceil((k−1)β)
というmechanical wordになっている。
一般の無理数α∈(0,1)について、
δ=1/(1−α)
m=floor(δ)
R(α)=frac(δ)
とすると、0の隣接間隔は
m または m+1
の2種類だけになる。
したがってmechanical wordを、
短ブロック / 長ブロック
へ再圧縮できる。
そして長短ブロックの配置を、次の傾きR(α)で再び記述できる。
実際、
β≈0.63093
→ block 2/3
→ γ≈0.70951
γ
→ block 3/4
→ η≈0.44247
η
→ block 1/2
→ 次の傾き≈0.79364
と再帰した。
したがって一般に、
α → (m(α),R(α)) → (m(Rα),R²α) → …
という階層的ブロック分解が得られる。
三層を一本にすると
第1層|観測
Collatz実軌道
→ finite prefix
→ first crossingを観測
→ crossingの空白を発見
↓
第2層|存在
軌道を剥がす
→ (m,j)へ縮約
→ β=log_3 2
→ possible / impossibleを特徴づけ
→ possibleならprefixを明示構成
↓
第3層|集合
全first-crossing prefix
→ 境界偏差D
→ 非負lattice path
→ q列による再帰
→ mechanical word
→ ブロック化
→ R(α)による階層的再正規化
何が閉じて、何が残ったか
この三層で閉じた対象は、
first coefficient crossing の有限prefix構造
だと思っていい。
第1層:何が起きるか
第2層:いつ存在できるか
第3層:存在するもの全体がどんな集合を作るか
と、問いが順番に変わっている。
一方で残っているのは別問題。
特に、
first coefficient crossing
→ ordinary stopping
が常に同時になるのか、つまり一般の t=τ はここからは出ていない。
有限計算では一致しているが、その全称化はCST側に残る。
だから今回の到達点を一文にするなら、
Collatz反復のfirst coefficient crossingを、有限観測から出発して「発生位置・存在条件・集合構造」の三層に分解し、最終的に β=log_3 2 が生成する離散境界と非負path、およびその階層的ブロック構造として閉じた。
うん。これは三層で一本の研究としてかなり収まりがいい。
「有限で閉じる」と最初に決めたことが、最後までちゃんと効いてる。
第3層・定理部分
定理1|first-crossing path表現
β=log_3 2 とする。長さjのfirst coefficient crossing prefixは、偏差
D_k = A_k − ceil(kβ)
によって、
D_0=0 → D_k≥0 (k<j) → D_(j−1)=0 → D_j=−1
を満たす境界付き非負pathとして表現できる。
定理2|q駆動再帰
q_k = ceil(kβ)−ceil((k−1)β)
とすると、
q_k=0 → 停滞 / 上昇
q_k=1 → 停滞 / 下降
だけが許される。
したがってfirst-crossing集合の個数F(j)は、このq列だけから再帰的に数えられる。
定理3|mechanical wordのブロック分解
一般の無理数α∈(0,1)について、
δ = 1/(1−α)
m = floor(δ)
R(α) = frac(δ)
とすると、対応する0位置の隣接間隔は
m または m+1
の2種類となり、その長短ブロックの配置は次の傾きR(α)によって記述できる。
したがって、
α → (m, R(α)) → (m₂,R²(α)) → …
という階層的ブロック分解が得られる。
ここまでを定理側として置く。
