ある海外駐在員の回顧録 #1
⭐ここでは…私、ひすいが創作いたしました
小説をお届けしたいと思います。⭐
第一話 海外赴任への道のり
学生時代、女友達から『男』だとは思われていなかった。
身長もそれほど高くなく、体型と顔のつくりは、まるで
『クマのぬいぐるみ』のようだったから、モテるオーラなど微塵もなかった。
俺のアパートに女友達は夜中だろうが駆け込んできて、男に関する様々な悩みを吐露し、スッキリして帰って行く。
もしくは俺のベッドを一人で占領して、朝ご飯までせしめていく日もあった。
姉2人がいたせいもあるんだろうか?
女というものに、俺は全く幻想を抱いていない。
大学を卒業し、上場企業に入社した頃から俺の人生は激変した。担当した営業先の受付にいた美佐子は、会って二度目で、俺に電話番号を手渡してきた。いつも自分から誘う人生だったのに、俺は浮足立っていた。一年も経たずに美佐子は妊娠し、流れのまま結婚する。
しかし、そこからが本当の楽園の始まりだった。
社外合コン、取引先の可愛い女子社員たち、接待先のクラブのホステスや、時にママまでもが俺に手を出してくる。断る事を知らない俺は、誘われるがまま甘い沼に浸りきっていた。ハニートラップなどありそうなものだったが、俺の魅力のせいかそれは起こらない。
四月。隣の部署に新人社員が配属された。
俺はなぜか彼女の冷たい綺麗な顔を、目で追うようになってしまう。
俺は絶対に、社内遊びだけはしない。
六月。就業時間をとうに超え、社内がまばらになった頃、イランイランの香りが微かに香り立つ。顔を上げると、彼女が俺を見透かしたように笑って、誘うように白い細い手を差し出してきた。
俺は、…落ちた。
彼女は若いながらに、あらゆる手を持っていた。俺の二度目の童貞も彼女の導きによって喜びと共に喪失する。
これまで知らなかった性に対する喜び、金色に彩られた有名絵画のような抱擁、絡み合い溶け合っていく、恍惚とはこういうものなのか?
そんな風だったから、社内ではすぐに噂になった。
挙句の果て、彼女と密会していたバーで同僚と鉢合わせをし、言い逃れができなくなった。
上長に呼ばれた時、初めて彼女が役員の血縁であるという事を知らされる。ただの不倫の成敗ではすまない。
俺は海外にあるグループ会社に飛ばされる事になった。
彼女は少しの間、本社の目立たない部署に流されるだけで終わった。
続く
photo & writing by ひすい
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「毎回、同じ飯は食わねぇじぇい!」という贅沢な猫、『ジャック』にご飯を食べさせるのに苦労する毎日です。ご支援いただけたら、ありがたいです。