香港・カナダ・日本から集まった「おめでとう」|境界線を超えた息子の結婚式|花婿の母としての1日
今年のゴールデンウィークは忘れることができない日の連続となりました。
東京の真ん中にこんな場所があったのかと思うほど、緑が多く自然豊かな場所に、凛とした佇まいの洋館がありました。そこが、息子夫婦が人生の門出に選んだ場所。
私はこの日、朝から着付けにヘアセット、フルメイクと、花婿の母としての「正装」を整えるべく、主役の二人と変わらない時間に会場入りしていました。 「やっと、この日がやってきた」 昨年すでに入籍を済ませていた二人ですが、この会場の人気ぶりは凄まじく、予約が取れたのはなんと1年3ヶ月後。待ちに待った、大切な一日が始まろうとしていました。
カオスこそが、わが家の日常
わが家の背景は少し賑やかです。
香港人の父、日本人の母、そして多くの親戚に囲まれ、人に揉まれながら香港で育った息子。毎年長期の休み期間には日本に行っていたとはいえ、大学から日本へ移り、慣れない文化や言葉の壁に、当初は随分と苦戦したようです。日本人の母がいるとはいえ、彼なりの葛藤も多かったことでしょう。
そんな彼を祝うために集まったゲストは、まさに「規格外」とでもいうのでしょうか、 招待客の3分の2が海外からという、国際色豊かな顔ぶれです。香港からはもちろん、カナダから数日前に入り、日本観光を満喫して駆けつけてくれた方や、この日のためだけに当日飛行機で飛んできてくれた友人もいたほど。 一方で、日本各地から集まってくれた友人たちや、日本での父代わりとして息子を支えてくれた私の従兄弟、親戚たち。多様な背景を持つ人々が、一つの場所に集いました。

見えない境界線を越える瞬間
実は、私には密かな不安がありました。 香港の結婚式は、時にTシャツで参加する人がいるほどカジュアルな一面があります。ご祝儀の感覚も日本とは異なります。そんな「香港流」の賑やかさやカジュアルさが、格式を重んじる日本の親族やゲストにどう映るのか。「驚かせてしまわないだろうか」と、母としての葛藤がありました。「香港の人たちに日本式の結婚式のことについて話しておいた方がいいんじゃない?」
しかし息子は、そんな私の心配をよそに、こう言いました。 「日本式を押し付けるつもりはないよ。みんなが来てくれて、楽しんでくれたら、それでいい」
彼らは事前に、両家の参列者に「文化の違いがあること」を伝え、むしろその「ちがい」を楽しんでほしいとアナウンスしてくれていたようです。 当日は、そんな二人の想いが形になったような、とても温かな時間が流れていました。
自然光が降り注ぐガーデンでの挙式、洋館を丸ごと借り切った贅沢な空間。幸せそうに笑う二人の姿を見て、私の胸は熱くなりました。
着物と振袖、そして「黒衣(くろご)」としての母
この日の女性たちは大忙しです。夫はモーニングに着替えただけですが、わたしは留袖、娘は振袖を着ての参列。着付け、メイク、ヘアセット。花嫁の親族の方々も同様でした笑
そして、言葉の通じない香港の親戚をお迎えし、久しぶりに会う日本の親戚とも言葉を交わし、話もつきません。
印象深かったのは、花嫁のご家族のことです。お付き合いの最初の頃には聞いていたのですが、結婚式で彼女のご家族の顔を見て、まだ赤ん坊の時にお母様を亡くされた後、お父様とお祖母様がどれほどの愛情を注いで彼女を育ててこられたか。その歩みを想うと、そんな素敵なご家庭の娘さんと息子が縁を結べたことが、心から嬉しく、幸せに感じていました。
「これから先、何があっても、彼女を娘として大切にしていきたい」 そんな覚悟にも似た想いが、静かに込み上げてきました。そして、そんなわたしにお母様方のご家族もこの日をとても喜んでて、涙を浮かべて「彼女をよろしくお願いします」と伝えてくれたことに感動しました。「おせっかいにならないように彼女を愛します」と言った後で、これもまた日本ぽくないかも…と思った母でした。
式の進行は日本語と英語と広東語。香港にいた時には、こんな言語環境もよく経験していますが、日本ではあまりないでしょう笑。リアクションも海外から来てくれた方たちのものは大きく、式も賑やかに盛り上がっていました。
息子からもらった手紙を読む時間があったのですが、その時は泣かないと決めていたのに、涙が溢れてしまいました。せっかく綺麗にしてもらっていたメイクが崩れる、そう思ったわたしはそっと手紙を閉じました。
残りは、式の後で噛み締めながら読もうと。笑


「手放す」ことで始まる、私たちの新章
香港にいるときは、まだまだ子供だと思っていた息子でしたが、日本に来てからも自ら築いてきた、多様で深い絆の数々を目の当たりにして 「親が守るフェーズは、もう本当に終わったな」と思いました。これは、前から思っていたことでしたが寂しいことではありません。むしろ、一人の人間として彼を信頼し、送り出せたという「卒業」の証。うれしいじゃありませんか!
考えてみれば、わたしたちの世代もまた、人生の新しいステージに立っています。これからのキャリアや生き方も、この結婚式のように「こうあるべき」という枠にとらわれる必要はないと改めて思ったのです。
わたしには娘もいます。現在フィアンセとして相手がいますが、この方も海外の方。ますます、我が家の多文化化は進みます。「普通」という言葉がどんどん遠ざかっていく感覚は、不安よりも、どこかわくわくするものがありますし、お互い理解し合おうとする姿勢を貫くなら、異なる文化も、思いがけない変化も、自分たちの色として混ぜ合わせながら豊かになっていける、そんなふうに生きていける気がしています。
「花婿の母」を終えて、今は心地よい疲れの中で、静かに余韻を味わっています。
とはいえ、海外や遠方から来た親戚や友人と、結婚式前後は東京や近郊の観光など一緒に過ごし大忙しですが笑
後、もう少しゴールデンウィークを楽しみたいと思います。
では
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