『サイコロジー・オブ・マネー』読書レビュー。結果が出る前に、続けられるか。
6月の最初の日曜。今日はあいにくの雨だ。
梅雨入りしたらしい。
この時期は低気圧の日は増え、日光を浴びれる時間が短くなり、心身のコンディション維持の難易度が少しだけ上がる季節だ。
僕ら人間は動物だ。
環境が万全でない時(そういう時はたくさんある)、無理せず、多くを求めず、あまり自分を責めないことが大事だ。
食事、睡眠、運動を整えたり、基本的なやれることをやっていけばよい。
読者の皆さんも、僕自身も健やかに過ごせる6月であることを願っている。
さて、今日は読書レビューだ。
サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット
モーガン・ハウセル著
英語タイトルの通り、お金にまつわる心理学の話だ。
本の主旨はすごく簡単に言えば、見栄を張らずに、倹約して貯蓄をしましょう。
そして不確実な世界で、何かネガティヴなことが起きても対応できるようにしておきましょうということだと思う。
特に印象に残った4つの内容を紹介したい。
1, テールイベントの力。
テールイベントとは起きる可能性は低いけど、起きたらインパクトや影響が大きい出来事のことだ。
本書ではディズニーの例が挙げられている。
ディズニーは1930年代半ばまでに400本以上のアニメ作品を作っていたが赤字続きだったらしい。
しかし「白雪姫と7人の小人たち」で運命が変わった。
これがヒットして、それまでに同社が稼いだすべての収益よりも桁違いに多い800万ドルもの収益を叩き出した。
それ以降の発展と栄光は皆が知るところだ。
現代的な例で言えば、何百曲と作ってきた楽曲が鳴かず飛ばずのアーティストが、たった一曲の大ヒットで人生を変えることがある。
YouTubeの1本のバズ動画が、それまで作っては見向きもされなかったチャンネルや投稿者の運命を変える、などがあるだろう。
これは何を意味するか。
結果が出ない時にもテールイベントでの回収を信じて、打席に立ち続けられるかが問われているということだと思う。
400本作って赤字続きであなたが経営者なら、そのプロジェクトを続けられるだろうか。
僕は言葉以上に相当厳しいと思う。
一生懸命YouTubeのコンテンツを作ってもほとんど再生されない中で、テールイベントを信じて続けられるだろうか。
僕は今まさにこの最中だ。
テールイベントの意義については身にしみて感じる内容だった。
2, 数学的な正しさではなく、自分が納得できる「合理的思考」が大事。
僕らは感情を持った人間だ。論理的には確実にこちらの方が正しいとわかっていても、感情が伴わないことが多々ある。
ビジネスの現場では冷徹に数字が出る方を選んだ方がいいかなと思いきや、意外にも著者は「納得できる内容で合理的」なことをすべきだという。
それは自分が納得していると、ネガティヴな出来事や逆境にぶつかっても、めげずに続けられるからだ。
例えば好きでもなんでもないけど儲かるだけを理由にある企業に投資していた場合、儲からなくなったらすぐに撤退したくなるだろう。
一方で企業の商品や文化、理念など含め好きでその企業に投資していたら、一時的に儲けが減っても投資を辞めずに続けられる可能性が高まる。
これにはハッとした。僕は今YouTubeを始めた。
数字を冷徹追うならば、コンテンツの設計、企画は正解を得やすいことがある。
ただそれで仮にある程度うまくいったとして、うまくいかない時期が来た時、果たしてめげずに頑張り続けられるか。
怪しいと思う。
これが自分がある程度納得できる範囲で、合理的にチャンネルを伸ばすアプローチであるならば、その納得感は愛着や粘りにつながり、逆境や伸び悩んだタイミングでも続けられるメンタリティを維持しやすいのではないかと思った。
3,日本語タイトルの美しさ。
僕はこの日本語タイトルに感動した。
サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット
英語はThe Psychology of money Timeless Lessons with on Wealth, Greed, and Happinessだ。
普通に訳せば「お金の心理学〜富、欲望、幸福についての普遍的な教え」などとなるだろう。
特に間違いはないが、これでは売れないなと感じた。
そこでこの商品版の日本語タイトルの美しさだ。
まず「サイコロジー・オブ・マネー」はあえて日本語に訳さず、英語のかっこいい響きを残す。
驚くべきは副題だ。「一生お金に困らない『富』のマインドセット」。
まず一生という強調語を置くことで、本書の教えの価値の高さを提示する。
一生お金に困らないなんて現実にはそんな素晴らしい教えはなかなかあるはずないが、「とても素晴らしい教えだ」と解釈するのが良いだろう。
読者がこの本を買って有益な知見を得るために背中を押すための強調語だ。
そして一生お金に困らないというのは人間の生存への不安の安心感に直結するメッセージだ。
本能に訴えかけてくる。
誰しもが一生お金に困りたくないはずだ。
そして最後にマインドセットというワードで、この本を読むような意識の高い読者層にフィットしたワードで締める。
この短いタイトルの中に行動経済学、進化心理学、マーケティングのノウハウがたっぷりと詰め込まれていることに感動したのだった。
気になったらぜひ読んでみてください。
比較的読みやすいです。
