雨のベッドルーム
窓の外で、雨が静かに降っている。
ワイングラスの水滴が、指先をすべっていく。
冷たさとあたたかさの境目で、思考がゆっくりほどけていった。
ひとりの部屋。
でも、今夜だけは誰かの気配がする。
ソファの端に置かれたシャツ。
鏡に残る曖昧な指の跡。
確かに、さっきまで誰かがここにいた気がする。
雨の音が、すべてを包み込む。
忘れたくないものほど、夜は静かに滲んでいく。
触れた記憶も、呼吸の残響も、
どこかでまだ続いているように。
――外では、まだ雨が降っていた。
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