見出し画像

世界のホテルから -香港- HOTERES 5月号

2025年1月に訪れた香港で取材したザ・ペニンシュラ香港ローズウッド香港についてまとめています。こちらの記事のベースは雑誌 月間HOTERES 5月号に掲載されていますが、noteのために少し情報を足したりしています。


今、再び注目の街  香港

高層ビルがひしめきあい、決して大きいとはいえないエリアに 800 万人もの人口が暮らす活気ある街、香港 ー  以前より貿易が盛んで、中国の伝統文化にイギリス植民地時代の影響が呼応し、東洋と西洋が出会う場所として発展した。

香港といえば、美しい夜景、高層ビルが立ち並ぶ中環 (セントラル)、ナイトマーケットなどはおそらくお馴染だろう。一方でトレイルコース (100km 超えのものも! ) やビーチにもタクシーで気軽にアクセスできる。近年は、オープンし た 美 術 館 「 M + 」( 2021 年オープン )「香港故宮文化博物館」(2022 年オープン)や、アートフェアである Art Basel Hong Kong ( 2013 年より開催 ) も話題を呼んでおり、さまざまな魅力があることも触れておきたい。 香港には、年間約4500万人の人々が訪れる。1 日にすると 12 万人以上が香港を訪れていることになり、またその大半は中国本土からの観光客である。香港に訪れる日本人観光客についても触れたい。2018 年には 95万人程度の日本人観光客が訪れていたが、2019 年に民主化運動、2020 年以降のコロナの影響もあり、2023 年に は約35万人が訪れている。( 参考までに、香港から来日する 2024 年速報ベースで268万人。人口の4人に1人が日本に訪れていることを鑑みると、いかに親日的かということがよくわかる。)

(左)最近建築されたHenderson HK建築デザインはZaha Hadid Architects 
M+ 地下二階のFound SpaceではDahn Vo in Situ: Akari by Noguchiが開催されていた
街から少しタクシーで行ったところにあるWILSON TRAIL
Sai Kungからスピードボートに乗って向かったビーチ


今回は、そんな香港の中でも九龍側にある2つのホテルにスポットをあてレポートしたい。いずれもビクトリア湾に面し、香港の代表的な観光名所からも徒歩圏内にある尖沙咀(チムサアチョイ)に位置すること、ブランドにとって旗艦ホテルとして君臨するホテルである。

1. ザ・ペニンシュラ香港

The Peninsula Hong Kong

エントランス  ー  外観

1928 年に「スエズ運河以東で最高のホテル」を目指し、長距離列車が到着する列車駅の目の前にオープンし てから 96 年間香港の歴史と共に様々なゲストを迎えてきたザ・ペニンシュラ香港。香港上海ホテルズ社によって所有・運営されているホテルで、カドゥーリー家によって20 世紀初頭より過半数の株式が所有されており、長期にわたり経営を担っている「一族経営」であることが特徴だ。

The Lobby

エントランス前に広がる、ペニンシュラの象徴である「ザ・ロビー」は、華麗なコロニアルスタイルで装飾されており、そのインテリアはオープン当初から変わらないそうだ。それにしても綺麗にメンテナンスがされていて、 滞在しているだけで嬉しくなる。ホテルは、「ザ・ロビー」のある、1928 年の開業当初から存在する6 階建てのエリア、北側に位置する 1994 年建設のビクトリア湾と九龍(カオルーン)の街並みや香港島を一望する、香港のランドマークとして知られているモダンなタワー棟があり、いずれも 2013 年にリニューアルされた。

The Lobby 1950
The Lobby 1960

開業当時から内装を一度も変えていないそう。当時はダンスホールとして機能して おり、なんと左右で「既婚者」「独身者」に別れて座って、ダンスを楽しんでいたんだとか。

歴代総支配人の名を冠するレストラン・バー

ホテル内には、ミシュラン1つ星を獲得したフランス料理「ガディス」、中国料理「スプリングムーン(嘉麟楼)」を含む9軒のバー・レストランがあり、バラエティも豊かだ。印象的だったのは「ガディス」。初めいくつかのレストラン名は、なんとホテルを統括した総支配人の名に由来しているそうで、オーナー一家と従業員の素晴らしい関係性を垣間見れる気がした。

Gaddi's
スプリングムーン(嘉麟楼)

The Peninsula Hotel の「ヌン活」

オールデイダイニング「ザ・ロビー」は「世界が香港と出会い 、香港が世界と出 会う場所」ザ・ペニンシュラ香港にとって象徴である。こちらではアフタヌーンティーを楽しむのが「定番」とのことだが、ゆったりと楽しんでいる といつの間にかクラシックとジャズの生演奏が始まり、夕刻が訪れたことを知らせてくれ、様々なオケージョンで利用されている場所であることがわかる。

また、今年3月まではスターフェリー(120 年以上にわたって九龍半島の南端と香港島との間を結ぶフェリー船) とのコラボレーション「The Peninsula Afternoon Tea on the Harbour」を週末のみ、期間限定で運行しており、2 時間弱かけてクルージング、その間はたっぷりと生演奏を楽しむことができた 。

こちらのフェリーに乗り込みます
The Peninsula Afternoon Tea on the Harbour

私も体験させていただいたが 、私の会は女性(しかもすごく元気な)が多く、誕生日や、長年の友情をお祝いしている方が多かったため、船上全体が幸せムードに包まれており、クルージング後半は踊ったり歌ったり、素晴らしく楽しかった。

生演奏とダンスする乗客たち。後半はずっとこんな感じ
ちなみにAR機能により、空にペニンシュラベアが現れる仕組

一族経営であることから、目の行き届く範囲内で、且つ長期的な視点を持って経営されていることがコアにあることを随所に感じた。そしてその姿勢は文化として根付いているように感じる。従業員の中には三世代に渡って働かれている人や、定年を迎えた後に、嘱託のような形式で働き続けることを選択する方もいらっしゃるそうで、ゲストも安心して戻ってきているのでは。これぞ香港で最も長い歴史をもつ格式あるホテルである。

ザ・ペニンシュラ香港
客室数:300室(内スイート54 室)
開業: 1928 年
住所: Salisbury Road, Kowloon, Hong Kong

公式ウェブサイト

2. ローズウッド香港

Rosewood Hong Kong

エントランス

2019 年にオープンし、2024 年「世界の50ベストホテル」ランキングでも3 位に輝いたローズウッド香港。ローズウッドブランド自体は 1979 年にテキサス州ダラスで開業した後、2011 年より香港に本社を置く Rosewood Hotel Group (CEO:ソニア・チェン氏)により所有されている。

ホテルは同じく 2019 年にオープンした大型複合施設であるK11と隣接して存在し、相互に行き来がしやすいように設計してある。これは、ローズウッド、K11 共に New World Development Company Limited の傘下であることから実現していることだろう。

トニーチーによるインテリアデザイン

エントランスエリア横のウェイティングエリア
Manor Club

インテリアデザインはNYをベースに多くのホテルを手がけるトニーチーが担当。「立体的な邸宅」として構想され、客室は落ち着きのあるトーンが印象的だ。

Spaエリアー Asaya は、日本の縁側からインスピレーションを得たそう
Asaya ー Pool

こだわり抜かれた材でまとめられたインテリア、グリーンや屋外スペースが随所に取り入れられ、開放感をハーバー ビューと共に感じられる。特に、2 フロアをまたいで存在するスパ施設「Asaya」は、そこが高層ビルであることを忘れてしまうような、11 部屋のトリートメントルームのある静かなエリアと、ハーバーの壮観な景色を楽しめる屋外プールの対照的な雰囲気が素晴らしい。

Asaya ー Aroma Atelier
Asaya ー Double Treatment Room

古代中国から伝わる易から生まれたと言われる八卦(バグア)と呼ばれるモチーフが繰り返し登場するのも、 ローズウッドブランドが大切にするその土地特有のアイ デンティティの要素が織り込まれた「センス オブ プレイス ®」哲学が反映されているからだろう。

八卦(バグア)モチーフが使われているサイネージ。
このほか、スイッチや洗面、コップ(!)まで、ありとあらゆるものが八卦(バグア)モチーフ。
William Lowのアートが飾られた客室

客室のインテリアも見逃せない。室内にはロロ・ピアーナの壁紙やゴージャスな大理石が使用され、窓から望む港の景色に負けない力強さを感じる。ニューヨークがベースのアーティストWilliam Low 氏によって香港の日常が描かれた絵画もインテリアに華を添える。

「インスタグラマーが写真を撮りまくる」らしいバスタブ

バラエティ豊かなF&B

ホテル内には 11 軒のバーとレストランがあり、ミシュラン 1 つ星を獲得したレストランが 2 軒:ローズウッドホテルグループのオーナー家族のルーツがある広東省 で供される料理を提供する「The Legacy House」は料理と共にグループの持つ歴史・ヘリテージが感じられることだろう。

また、インド料理をベースとした創作料理を提供する「CHAAT」は、レストランに入った瞬間スパイスの香りを感じ、活気ある雰囲気と共に良い食事になることを予感させるレストランだった。オープンから5年経った今でも予約困難店として知られている。

CHAAT
 メニューもモダンにエスニック感
カジュアルめなセレクトの食器類 
BAKED SAMOSA
え?サモサなの?サモサなんです。
「香港で手に入る最も辛い唐辛子が乗ってます」と言われたポークビンダルー
本当に辛い。ほろほろのポーク。夢に見そうな辛さと旨さ
ピスタチオクリームをふんだんに使ったデザート
全部!美味しかった。左手前に乗っているチリは「香港で手に入るチリのなかで一番辛い」そう
レストランも素晴らしいがやっぱり夜景も素晴らしい

オープン以来数ヶ月待ちの状態が長らく続いているだけあって、カジュアルながらも温かみとフレンドリーさのある接客、印象深いスパイスの香り、インスタ映えもバッチリな料理やドリンクなど、エンターテイメント性の高いレストランであった。(もちろん料金も香港の中のインド料理の中ではトップクラス)大学生時代にインドカレー屋でバイトを長くしていた私にとって、インドカレーは最も好きな料理の一つだが、本当に美味しかった。また絶対に行きたい。

その他、「アジアトップ50 ベストバー 2024」賞17 位 にランクインしているバー「Darkside」やアフタヌーンティーが体験できる「The Butterfly Room」などバリエーション豊かである。

DarkSide ー「アジアトップ50 ベストバー 2024」賞 17 位
The Butterfly Room ー ART by Damien Hirst

ホテル内にはアートも多数飾られており、圧倒されてしまう。計算されているのかどうなのか、どこを切り取ってもSNS で「バエそう」な雰囲気に私も例に漏れず、 写真をたくさん撮ってしまった。

ART by Nancy Lee

最後になるが、今回の取材にご協力くださった、The Peninsula Hong Kong ーKylieさん、Natalieさん。そしてRosewood Hong ー Kong Sylviaさん、Susanさん、ありがとうございました。素晴らしい時間を過ごすことができました。

ローズウッド香港
客室数:413室(内スイート91室)
開業: 2019 年
住所: 18 Salisbury Rd, Tsim Sha Tsui, Hong Kong

公式ウェブサイト

いいなと思ったら応援しよう!