踏切オーディション|#毎週ショートショートnote 参加作品
劇団の新人オーディション会場。
演技審査を終えた受験者は、座長と個人面談を行う。
「さっきの演技、よかったですね」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「セリフも走らず尺もちょうどで。時間感覚は大事ですからね」
「よかったです!」
受験者は安堵し、座長はその様子をにこやかに見る。
「ところで今日この会場までは、■■駅から徒歩で?」
「はい、そうです」
「そう。途中にあった踏切、止められた?」
「え?たしか、はい」
「……何分くらい?」
「えっと……3分くらい、でした」
一瞬、座長が顔を顰める。
「そうですか」
「えっ」
「では本日はお疲れ様でした。結果は後日ご連絡しますね」
「はっ、はい……ありがとうございました!」
―――――
劇団幹部による会議。
「あれ、この子。ダメでしたか」
「上手かったんだけどね。踏切に3分も立ち止まったらしくて」
「ああ、それは……今回も出ましたか」
「なんなんだろうね、毎回」
座長は怯えた様子で苦笑する。
「駅からここまでの道に、踏切なんてないのに」
田原にかさんのこちらの企画を拝見して書いてみました。
