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言葉|秋波

◆さっきFBのタイムラインを久しぶりに見ていたら,以前勤めていた個人塾のボスが,ネット記事の見出しで「秋波しゅうは」の語を見て,こんな言葉知らんかった,この言葉は常識なのか?と書いていた。

知らない人が多いと思う,とコメントしたら,ほぼ同時に,FBメッセンジャーでもご本人からダイレクトに同じ質問が飛んできて,シンクロニシティに驚いた。
言葉の問題なら fuff に訊いとけ,と思ってくれているのだとしたら,ちょっとうれしい。
いや,メッセンジャーでは,敢えて漢字表記を見せずに,
「シュウハってよく使われる言葉ですか?」
とだけ送ってきたので,もしかしたら,僕から
「いや,知りません」
という反応を引き出して,
「ほら,やっぱり fuff さんでも知らないような言葉なんだよ!」
と,自分の感覚の正しさを確かめたかったのかもしれない。
すでにFBタイムラインでコメントをつけた旨を伝えた上で,メッセンジャーでも
「それなりの読書人なら」
「昭和の新聞人の語彙の残滓かと」
と返した。
有り体に言えば,かつて語彙には「読書人の語彙レベル」と「それ以外の人の語彙レベル」がそれぞれあったが,「昔ながらの教養豊かな読書人」というのは,今や絶滅危惧種なので(note はその性質上,例外的に比較的その割合が高い場だろうと思うけど),この「読書人の語彙レベル」というイメージ自体が意味をなさなくなったのが,今の時代だと思う。
しばらくして,FBの記事にボスがこちらの画像をつけて,メッセンジャーでも送ってきてくれた。

……まあ,そうだよね。
僕は,「大人(50代以上)」の,「読書経験が豊富な層」というわけだ。
「chat GPT様の凄さよ、、、」
「言語感覚を踏まえるのね。」
と元ボス。
そう言えば確かに,「この言葉なら,このくらいの人なら,この程度知っている」なんていう高度な判断ができるのは,なかなかすごいことかもしれない。

◆高橋葉介「我楽多街奇譚」第1話「頭に咲く花」の単行本初出は,1979年「ヨウスケの奇妙な世界2 仮面少年」(朝日ソノラマ・サンコミックス)。雑誌初出は調べがつかなかった。
この作品中で,「土を食べる」研究をしている老教授が,花売り娘の「秋波」にデレつく姿に,学生である主人公が不安を覚えるシーンがあった(花売り娘が髪に挿してくれた花が元で,教授はこの後研究半ばにして,文字通り「身を滅ぼして」しまう。植物にとって,栄養豊富な土のみを食べてきた教授の肉体は,格好の肥料でしかなかったのだ)。
この「仮面少年」という作品集は,僕が生まれて初めて購入した思い出深い漫画本であり(この本との出会いが,漫画読みとしての僕の出発点だったと言ってよい),おそらく中2の夏のことだったかと思う。
僕はこの作品で「秋波」という言葉をおぼえたから,もしもタイムマシンで過去に戻って,中2の僕をつかまえて,いきなり
「ねえ,『シュウハ』ってどういう意味かわかる?」
と尋ねたとしても,たぶんちゃんと答えられると思う。
高校のときに一度だけ何かの折に使って,いろいろ教えを受けていた塾の先生から,
「よくそんな言葉を知ってるね」
とほめてもらった。
そんなことがあって,僕はたまたま記憶にとどめていたのだけれど,そんなことでもなければ,もしかしたらこの言葉は,僕の語彙には入っていなかったかもしれない。

◆ところで葉介先生,今でも現役である。
すごいと思う。

僕は彼の「初期作品限定の」ファンなのだが,あるイベントの入場待ち中に,ゲストで呼ばれていた葉介先生から,
「あの,菊地秀行先生ですか?」
と話しかけられたことがあるのが,ささやかな自慢(夢枕獏先生,だったかな? どちらにせよ年齢層が違うし,全然似てないと思う)。

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