限界母の1日を実況してみる
朝起きてから眠るまで、私の一日は案外ずっと小さく揺れている……いや、小さいどころか、荒波だ。時化た海だ。
朝6時。今日のアラーモの選曲はというと……マリオオデッセイの『キノコ王国でピーチ姫と話そう』。なかなか優雅な目覚め。
だがしかし、隣に寝ている小5男子は、起きたかと思えば完全にアラームをオフにして二度寝を決め込もうとする。一度クッパに怒られろ(アラームを無視しているとクッパが出てくる)。
させるかぁぁ!!
と二度寝を決め込みたい、なんなら仕事も休みたいくらいに疲れが取れない限界母、しかし心を鬼にして小5男子を起こす。
説明書を見ずに完全にアラームをオフにする操作を覚えるあたりが流石である。と母は感心してしまう。
そして、夫のお弁当に詰める冷食を探しに冷凍庫を探し回る。お弁当用冷凍パスタと和惣菜系は切らさない。これがあれば弁当作りの時間が半分で済むのである。余力がある日は完全自作をする。そして、ダイソーのレンチンだし巻き卵作り器は神である。約1分でだし巻き卵ができるのだ。
夫のお弁当を詰め終わり、居間のテーブルに置くと、息子の朝ごはんの支度だ。ついでに私もパンを齧る。
おにぎり3個に鮭フレークと彼の平日の朝食は決まっているらしい。
息子と私のカフェオレを作り、しばしカフェオレ片手に休憩。
7時。夫がのろのろと起きてくる。
夫の分のパンをトースターに入れ、衣類乾燥機の洗濯物を持ってきて畳む。
BGMはウェイキーだ。この20分の間にカタをつけなくてはならない。
その間に息子が着替えてなければ着替えるように言い、最終チェック。
夫が朝からごちゃごちゃ言ってくるが大抵右から左に受け流している。
「めざめの指令♪」
テレビから聞こえるこの言葉が、我が家では「ランドセルをからえ。靴を履け」の合図である。この声を合図に息子がトイレに行きだす日は「マジかよ、おい……!」と肩を落とす。
スクールバス乗り場は家から徒歩5分である。しかし、バスの出発は7時40分。息子を急かし(時に逆ギレを一身に受け)出発する。
外に出る時は、少しでも感じの良い奥様の仮面を被る。今日も空が澄んでいる。風が気持ちいい。隣にいる息子はマイペースである。独り言はできるだけ謹んでいただきたいが、彼の世界があるのだろう。中学に上がったらバスまでの付き添い登校がなくなるといいな、できるかな。と密かに思っている。
バスの添乗の先生に息子を引き渡し乗せた後は、減ったHPをキレートレモンで回復する。染み渡る酸味と炭酸。力がふっと抜けていく。
そして、半ばふらふらと家に戻ると、居間の壁にもたれかかりテレビでYouTubeをしている夫がいた。
キッチンの引き出しから薬を出し、服薬して、しばし布団で丸くなる。そうでないととてもではないが仕事どころではないのだ。
刺激を抑えた遮光カーテンの閉められた薄暗い寝室に横たわる、薄暗い静かな部屋の時間で休むひとときがないと仕事どころではない。じわり、じわりと体力を回復させ、時折飛ぶ夫の嫌味で削れ、また回復し……台所へ戻る。
台所に戻った私はコーヒーを淹れる。
コポコポコポとハンドドリップで淹れる。それが私のこだわりだ。静かな台所で淹れるコーヒーは、私を少しもどしてくれる。
コーヒーを持って書斎に入り、仕事前に執筆ができるかは毎日の体調にもよる。本当は安定した物書きでいたいのだ。
朝10時。仕事の朝礼が始まる。結果を出さねばと今日も気が重い。転職してよかったのか悪かったのか、ここで毎日揺れながら働く。仕事中は思考を巡らせる暇はない。ただひたすらタスクをこなすことに集中している、今日もうまくいかない。一件一件話し方を変えてみる。ここで泣き言なんて、言えるか。
終業時間になり、仕事用のソフトをログアウトし、一息つく。何も考えたくない。この後執筆できる日はする。できない日は、刺激を最小限に抑える。
創作大賞期間なのに、何も生み出せていないではないかと、ふっと黒い影がよぎる。創作している限り、影は私にまとわりつく。付き合っていくしかない。
そんなことを考えているうちに、時計の針は午後5時。息子が帰ってくる前にPCの電源を落とし、夕飯の支度をする。大抵今の余力で作れるものが夕食になる。作り置きをする体力気力が常々欲しいものだと思うが、なかなか実行に移せていない。HPはギリギリで生きていたいわけではないのに、常にギリギリである。
「ただいまー! 喉乾いたー!」
息子の声が玄関に響き渡る。もうそんな時間か。
彼のしゃべくりは常に止まらない。聞きつつ夕飯の支度をし、息子を浴室へ誘導する。
既にふらふらする。が夕飯を用意しておく。
仕事に家事育児、いつもの繰り返し。うわぁ、ランドセルから連絡帳を取り出さないと。連絡帳に目を通し、書く。
そういえばもうすぐ運動会だっけ、明日いるものは?と考えて最終チェック。学校のタスク、日常のタスク。気を抜くと忘れてしまう。
そうしている間に夫が帰宅し、夫の夕飯の用意をし、頭の中がいよいよ忙しなくなる。夫と息子の話を聞き、自分の思考を巡らせる時間はない。
ってか、頭の余白がなくなるんよ。
そんなこんなで就寝時間。夜は21時に寝ないと身が持たない体質ゆえ、夫のイビキにビキビキしつつ一日を終えるのです。
ほしいのは余白。書く時間。考える時間。
いつもそう思っている。
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