タイミーの本当の競合か。圧倒的な営業組織で密かにスキマバイト市場を狙うディップの決算を解説
ディップの2026年2月期第2四半期決算は、売上高288億50百万円で前年比+1.5%、営業利益54億41百万円ながら積極投資で前年比▲27.6%という攻めの内容でした。

アルバイトサイト「バイトル」に始まり、2024年10月にはスポットワーク専用の「スポットバイトル」を投入し、2025年4月には事業主都合のキャンセルを100%補償する規約改定を断行、6月には業界改善を促す意見広告も打ち出しています。

2,000人の直販営業が全国15万社を取材し、生成AI「dip AI」が対話で仕事選びを支援する現在、その進化が日常の求人体験を塗り替える次の一手として迫っています。

人材サービスとDXの融合による雇用インフラ構築戦略
ディップは、人材サービス事業で「バイトル」「バイトルNEXT」「はたらこねっと」「ナースではたらこ」など複数の求人プラットフォームを束ね、企業と求職者をマッチングさせています。

2026年2月期第2四半期は、アルバイト・パート、正社員、医療・介護まで幅広い案件を提供し、労働市場の課題を解決することを中期ビジョンに掲げています。
収益は掲載課金型の求人広告が中心で、人材サービス事業の売上高は254億40百万円と全体の約88%を占め、セグメント利益は84億80百万円でした。

一方、2019年から育ててきたDX事業は、面接日程を自動調整する「面接コボット」や営業支援の「HRコボット」、採用ページ構築の「採用ページコボット」などのSaaSを月額課金で提供し、売上高34億10百万円で構成比約12%、セグメント利益19億72百万円と高収益を維持しています。

スポットワーク領域では、2024年10月ローンチの「スポットバイトル」を既存のバイトル契約企業に手数料率10%で提供し、広告モデルと成果報酬モデルを組み合わせて顧客単価を押し上げる設計です。

バイトルトークで取得するシフト情報を基に求人ニーズを即時に把握し、営業がスポット案件提案へつなげるなど、リアルタイムな商談運用も強化しています。
これらを下支えするのが、全国で約2,000人の直販営業が15万社を訪問取材して蓄積する独自データと、動画やチャットを組み合わせたサービス開発力です。
求人原稿に載らない職場の雰囲気まで拾い上げる情報量を活かし、生成AI「dip AI」を介してユーザーと対話しながら条件提示を最適化する仕組みを磨き込み、顧客企業の採用効率を高めています。

広告モデルで培った集客力に、DXサービスのストック性とAIを組み合わせることで、競合が模倣しにくい広く深いリード獲得とアップセルの循環をつくっている点が大きな強みです。
また、AIを活用した業務改革で年間50万時間の商談時間を創出し、求人ページ制作の外注費を年間3億円削減するなど、社内生産性向上の成果が営業推進力を押し上げています。

同社は「Labor force solution company」を掲げ、人とデジタルの両輪で雇用インフラを提供する姿勢です。
売上微増も先行投資による大幅減益
2026年2月期第2四半期の売上高は288億円で前年同期比+1.5%と小幅増でした。
人材サービスが254億円、DXが34億円と両事業が伸長した一方で、営業利益は54億円と▲27.6%の大幅減益になりました。
背景には販売費及び一般管理費が201億円と前年より23億円増えたことがあります。
第2四半期だけでも、13億円増加しており、人件費、広告宣伝費、販売促進費などが前年と比べて増加しています。
さらに本社オフィス拡張などの費用も増加しており、その結果、先行投資が利益率を押し下げています。

その結果、販管費率は69.7%と前年から約6.9ポイント悪化し、親会社株主に帰属する中間純利益は37.15億円と▲26.4%の減少でしたが、成長ドライバーへの投資が損益計算書に先行して表れた形です。
成長戦略 - スポットバイトル、AI投資、営業強化による収益拡大とリスク対策
ディップは2026年2月期に売上成長率6%を掲げ、スポットバイトルとAIを核に投資を続けます。
スポットバイトルはバイトル契約企業向けに手数料率10%のキャンペーンを実施し、直前キャンセル時の賃金を100%補償する仕組みで信頼獲得を狙います。

2025年夏からはバイトルトークと連携し、店舗がワンクリックでスポット掲載できる機能を追加しました。

生成AIによる「dip AI」では、面接日程調整や履歴書作成支援などの追加機能を今期中に実装し、課金開始を目指す方針です。
営業組織では年間100人規模の中途採用と2026年入社の新卒拡大で2,000人超の直販網を増強し、AIを活用した業務改革で年間50万時間分の商談時間を創出した実績をさらに高めます。
代理店網の強化で郊外・地方のシェアを伸ばしつつ、医療・介護の人材紹介ではdip AI連携を進めて採用予算のシェア拡大を狙います。

こうした投資を通じ、2027年2月期には売上高650億円、営業利益170億円超を見込む中期計画を掲げており、先行投資が収益化に転じることで営業利益率を26%台まで戻す青写真です。

ただし、採用需要が失速すれば回収が遅れるリスクもあるため、AIによる需要予測や代理店販売の多様化で景気変動を吸収する構えを見せています。
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