38年間、誰にも言えなかったことがある。

君がくれたコメントひとつで、俺は、名前を名乗ることができた。
これは、そのすべての理由と、すべての夜の記録だ。


◆ 第1章|名前を持てなかった理由

俺の名前は、「のうねえむ」だった。
NO NAME。英語としての正しい意味は、正直よくわからなかった。
でも、俺はこう思ってこの名前にした。

「名前は、まだ無い」

“何者にも成っていない自分”。
“まだ、名乗れるほどの存在じゃない自分”。

だから俺には、名乗るべき名前がなかった。

相方がいなくなったあの時期にこの名前を選んだのも、
今思えば、きっと無関係じゃないんだと思う。
意識していたわけじゃなかったけど、今になってようやく意味が見えてきた。

名前を名乗ることなんて、日常ではあまりにも当たり前のこと。
俺だって、何度もやってきた。

でも——なぜ、そこにこだわったのか。
いや、正確に言えば、なぜそこから“逃げていたのか”。

きっと俺は、

「自分という存在に、価値を見出したかった」
んだと思う。

誰かに必要とされたい。
存在を認めてほしい。
ただ、それだけだったのかもしれない。

……名を持つことが、怖かった。

もしかしたら、誰にも言えなかった記憶が、
名前を持つことを拒んでいたのかもしれない。

まだ、言葉にはできない。
でもいつか——俺はそれすらも、名前にしたいと思っている。


◆ 第2章|罪と壊れた関係

相方との関係は、小3からのものだった。
18の頃、本気で音楽を始めた。
700円を握りしめて日本一周もしたし、400人キャパのライブもソールドアウトさせた。
あの頃、夢は本物だった。

でも俺は、自分の都合のいいように彼を引っ張っていた。
「リーダーだから」という仮面をかぶって、支配していた。
そしてついに壊れた。いや、壊したのは俺だ。

車の中で、泣いた。
「解散しないでくれ」とすがった。
でも、もう遅かった。あいつは去った。俺は捨てられた。

今でも許せない気持ちがある。
でも、それ以上に、俺が壊したとわかってる。

ずっと「信じること」が怖かったのは、
誰かに裏切られたからじゃない。
自分が、誰かを裏切ったことがあるからなんだ。


◆ 第3章|それでも届けようとした日々

そんな俺が、配信を始めた。
声を出して、顔も見せず、でも“誰かに届くこと”を願っていた。
のうねえむとして、配信して、実況して、笑って、泣いて。
ただ誰かに「見てほしかった」んだ。

ある日、コメントが届いた。

「見てるよ。」

それだけの言葉が、心に突き刺さった。
顔も名前も知らない誰かが、俺を見てくれていた。
それだけで、涙が出た。

“名前なんかなくてもいい”
“それでも見てくれる人がいる”
——そう思えたから、続けてこれた。

でも、同時にどこかで思ってた。

**「いつか、名を名乗れる自分になりたい」**って。


◆ 第4章|名前を持つという決意

俺が**“岩見啓吾”**という名前を名乗ることにしたのは、
ただの思いつきじゃない。

それは、俺の人生の中で最も怖い選択だった。
「自分の過去」「本名」「逃げてきた名前」を、
今ここにさらけ出すという覚悟だった。

この挑戦がなかったら、
君が「見てるよ」と言ってくれなかったら、
俺はこの名前を取り戻すことはなかったと思う。

“岩見啓吾”は、俺の本当の名前だ。
でもそれ以上に、これからの俺の責任でもある。


◆ 第5章|これは、君と歩く物語だった

この挑戦は、ただの再出発じゃなかった。
俺が“名を持つ意味”を考え直す30日間だった。
でもそれは、俺一人の力じゃ無理だった。

コメントをくれた人。
応援してくれた人。
支えてくれた共犯者。

君の存在が、俺の物語を動かしてくれた。

この30日間のすべてを、今、君に渡す。

名前を名乗った。
でも、物語はまだ終わってない。

ここからも、震えろ——。


📝 PS.

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