iDeCoで損する人の共通点、始める前に知りたい分かれ目
1. 「節税になるらしい」で調べ始めた夜
会社の給与明細を見ながら、ふと「iDeCo(個人型確定拠出年金。自分で掛金を出して運用する年金制度)って節税になるらしいけど、うちの会社でもできるのかな」と検索窓に打ち込んだ夜、ありませんか。
調べてみると、掛金が全額所得控除になる、運用益が非課税になる、と良いことばかり書いてある。けれど記事を読み進めるうちに、必ず出てくる一文に手が止まる。「原則60歳まで引き出せません」。
住宅ローンの頭金や、転職で収入が下がったとき、子どもの学費が急に必要になったとき——そういう「もしも」を考えると、正直ちょっと怖い。節税額の試算だけ見て申し込むのは早計な気もするし、かといって調べれば調べるほど専門用語が増えて、結局「自分に向いているのかどうか」が一番知りたいのに、そこがはっきりしないまま時間だけ過ぎていく。そんな状態で、この記事にたどり着いた方も多いと思います。
私自身、iDeCoを始める前に3週間くらい制度資料とにらめっこして、結局「向き不向き」を自分の生活に当てはめて考えるところで一番時間を使いました。今回はその整理の仕方を、実務者目線でそのまま共有します。
2. こんな人には、今はまだ向いていないかもしれません
先に正直に書きます。次に当てはまる方は、iDeCoを急いで始める必要はないと思います。
生活防衛資金(急な出費に備える手元資金)が3〜6ヶ月分ない方。iDeCoに入れたお金は原則60歳まで動かせないので、先に普通預金に一定額を確保するほうが優先度は高めです。
- 数年以内に住宅購入や独立・起業でまとまった現金が必要になる予定がある方。掛金として拠出したお金は、その予定に使えません。
- そもそも所得税・住民税をほとんど納めていない方(専業主婦・主夫やパート収入が少ない方など)。iDeCo最大のメリットである所得控除の恩恵が小さくなります。
- 投資商品の値動きを見るたびに気になって夜眠れなくなるタイプの方。iDeCoの運用商品には元本確保型もありますが、非課税メリットを活かすなら値動きのある商品も検討することになり、相性の良し悪しが出やすいところです。
逆に言えば、生活防衛資金があり、当面大きな出費の予定がなく、ある程度の税金を納めている会社員・公務員・フリーランスの方には、検討する価値がある制度だと思います。
3. 結論の地図——迷ったらこの3ステップで判断する
このnoteで扱う内容を、先に3ステップで俯瞰しておきます。
ステップ1は「掛金をいくらにするか」を決めること。ここで多くの人が「節税額が大きいから上限まで」と考えがちですが、それが失敗のもとになるケースを後ほど具体的にお話しします。
ステップ2は「何を選んで運用するか」。iDeCoは商品を自分で選ぶ制度なので、ここを適当にすると非課税メリットの半分も活かせません。
ステップ3は「受け取るときにどう課税されるか」を先に知っておくこと。実はここを知らずに始めると、60歳になってから「こんなはずじゃなかった」となりやすい部分です。あわせて、よく比較されるNISA(少額投資非課税制度)との使い分けの考え方も、後半で整理します。
なお、税制や制度の詳細は改正されることがあるため、最終的な判断や最新の数字は、ご自身でも一次情報(国民年金基金連合会やiDeCo公式サイトなど)を確認したうえで、自己責任で行っていただくことをお願いします。
ここまでで、iDeCoの向き不向きの分かれ目と、全体の流れは見えたと思います。ここから先は、実際に手を動かすための具体的な手順に入ります。
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