見出し画像

episode:039(Iyu side)✴︎イノリノカタチ〜杉の神様〜

✴︎
この物語は、フィクションです。
不完全で矛盾だらけな毎日を、
愛とユーモアでそっと抱きしめながら
誰かの “わかる” に寄り添えたら嬉しいです。

書くことで自分と向き合い、
書くことで赦し、
書くことで、少しずつ自分のことを好きになっていく。

作品のあらすじとプロローグはこちら


____Iyu side story*____

✴︎
お部屋を出てから
まだ、離れたくなくて

初詣に誘った

「”穢れ”を祓いに行きましょう」
なんて冗談を言ってしまった自分に
ものすごく違和感があったけれど

「ひど…」なんて笑いながら
壮ちゃんは着いてきてくれた

✴︎
しめ縄で模した大きな雄龍と雌龍が
祀られている神社
小さな橋を渡って
大きな大きな杉の道の奥に
古くびたお寺へもお参りできる穴場スポット

池があって
四季折々のお花も楽しめる
ずっと行ってみたかった場所

先に行く壮ちゃんの背中を眺めながら
ゆったり歩く

さっきみたいに
甘えられたらいいのに
触れられたらいいのに
人の目が気になって
距離を縮められない

✴︎
小さな橋を渡る大きな壮ちゃんが
きゅっと結んだ握り拳を
後ろ手に組んでいる。
その後ろ姿を
気づかれないように
そっと写真に収めた

壮ちゃんが境内の端っこに
かがみ込んで
何やら真剣に拝んでいる

そんなに信心深い人だったかしら
それなら
ど真ん中でお祈りしたらいいのに、
そう思いながら

私はちょっと
神様仏様には、お願いしにくくって

山道にある大きな杉の中でも
飛び抜けて大きな杉を選んで
そっと抱きついて、お願いをした。

「また、壮ちゃんに会えますように」


✴︎
そろそろ壮ちゃんが
仕事に行く時間が迫ってきてる

車に乗り込んでから
もう一度だけ、触れたくて。
どうしても
____もうひとつだけ、伝えたくて。
助手席の壮ちゃんの手を握った。


「さっきは、ごめんなさい。」


壮ちゃんが、首を傾げる。
「なにが?」


「〝穢れた”なんて、思ってないよ。

今日は、ありがとう」

「なんだ、そんなことか」

壮ちゃんの顔は、
恥ずかしくて見られなかったけれど
きゅっと握り返してくれた手を感じて
私はハンドルに手を戻した。

✴︎
壮ちゃんの去り際は
いつもあっけない

「またね」と歩いていく
壮ちゃんを見送った後

まっすぐ帰る気になれなくて
いつもの屋上駐車場に夕陽を見に行った

さっきまで一緒にいたのが
もう手のひらから溢れて落ちていく感覚が
たまらなくて
スマホを手に取る

〝秘密”にしておいたらいいのに
私はいつも
全てをさらけてしまう
さっき撮った壮ちゃんの後ろ手の写真を添えて
メッセージを送った

「ありがとうです。
こんなに幸せでいいのかな。
杉の神様にね
『また会えますように』ってお願いした」

「ありがとう。
俺もまた会えることを
お祈りしておきました!」

小さく隅っこで祈っていた壮ちゃんの姿が
目に浮かんだ

あの時、〝おんなじこと”を、思っていた。
おんなじように、真正面からお願い出来なくて。


壮ちゃんは、神様の横顔に。
私は、杉の神様に。

✴︎

〝私たち”はどこまでも不器用で。
でも、思いだけはまっすぐで。
また、出会い直した。

20年の思いが繋がった今日に
まだふわふわしながら
暗くなるまで、駐車場から外を眺めてた。

私の家出は終わった。
〝大切な想い”を洗い流すために
温泉に入ってから、家に帰る。


✴︎
💌このお話は ”壮視点” episode:040とリンクしている 
”いゆ視点”のお話です
”壮視点”のepisodeも併せてお楽しみください♡

✴︎
不器用でワガママで
感情に振り回されっぱなしの私
I.Y.U.(アイ・アンド・ユー)──

私と、あなた。

愛と選択の物語。

── Written by I.Y.U.

✴︎
読んでくれて、ありがとう
もしどこかに共鳴するものがあったら、
“スキ”や“コメント”、“サポート”という形で
あなたの気持ちを届けてもらえたら嬉しいです



いいなと思ったら応援しよう!

いゆ|ちゃんとをやめたら整った人 読んでくれて、ありがとう。もしどこかに共鳴するものがあったら、 “スキ”や“コメント”、“サポート”という形で あなたの気持ちを届けてもらえたら嬉しいです。