社会課題から逃げない「1% for the Planet」とは?
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「1% for the Planet」とは?
社会課題と商品開発。その2つをどのように組み合わせていくか。
この問いは、今を生きるすべての事業者、クリエイターにとって無視できないテーマである。
今の時代、商品が売れるだけでは不十分であり、そこに“社会性”をどう設計するかが、今後の持続可能性を左右する。
今回は「1% for the Planet」という国際的な取り組みを紹介しながら、それをヒントに筆者がヨロン島で実践している「1% for the Coral」について詳しく触れていく。
売上と信頼。利益と共感。
それらを同時に成立させるための一つの視点として、“1%”という考え方を地方で、がんばっている事業者の皆さんに提案したい。
「1% for the Planet」とは何か
「1% for the Planet」は、企業が年間売上の1%を地球環境保護のために寄付するという仕組み、グローバルな寄付ネットワークである。
この活動は2002年、アウトドアブランド「パタゴニア」の創業者イヴォン・シュイナード氏と、その仲間によって提唱された。
「利益を上げることと、地球環境を守ることは両立できる」
このシンプルだが力強い思想のもとに、世界中で多くの企業がこの活動に参加してきた。
参加企業は、2025年5月時点で4,887社、衣料品メーカー、食品会社、文房具ブランドなど多岐にわたる。
また寄付の総額は7億2800万ドル、日本円で約1,000億円も集まっているのだ。
重要なのは、売上の一部を“費用”としてではなく、“未来への投資”として寄付するという姿勢である。
このモデルは、マーケティング戦略ではなく、経営哲学の一部として確立されてきた。

ヨロン島での実践:「1% for the Coral」
この考え方に感化され、私はヨロン島で独自の取り組み「1% for the Coral」を立ち上げた。
具体的には、自らが企画・販売する「ジャッキーキャンバスアート」という商品売上の1%を、ヨロン島のサンゴ保全団体「海の再生ネットワークよろん」に寄付している。
キャンバスアートは、麻の布地に私が撮影したヨロン島の海、夕日、星空等の絶景をプリントしたアート商品。
また、木の枠に布地を打ち付けていることで温かみがある。

この構想のきっかけは、地元ヨロン島に対する恩返しの気持ちから。
私は2019年3月から、鹿児島県最南端(奄美群島)の離島、ヨロン島の観光情報に関する発信活動をSNSを中心に行っている。
父がヨロン島で宿を営んでいることから、ずっと観光と一緒に歩んできたといっても、過言ではない。
「ヨロン島の観光業に恩返しがしたい」
そう思って、今日までいろいろな活動や事業を行っている。
その一方で、海の環境悪化、サンゴの白化や死滅の現実を見て、強い違和感と責任を覚えた。
このままでは、観光の象徴である“青い海”が失われるかもしれない。
ヨロン島に来てくださる観光客の方は口をそろえて「ヨロン島の海がきれいすぎます!」と言ってくださる。
美しい風景に感動してくれる人がいるからこそ、その風景を守る行動が必要になるのではないか。
いろいろ考え、試行錯誤していく中で「1% for the Planet」のことを知る。
その結果、「商品購入=保全参加」という構図を作ることで、誰もが自然に貢献できる仕組みを設計した。

寄付するのが難しい?
とある日、こんなDMが届いた。
「与論島のサンゴを守りたい気持ちはずっともっていたんです。ですが、そもそもどこに寄付をしたら良いか分からなかったし、手続きも分かりません。そんな中、ジャッキーさんの取り組みに知り、共感し、参加することにしました。ありがとうございます。」
私の思いが、ジャッキーキャンバスアートをご購入くださった、お客さま(フォロワーさん)に届いたことが素直に嬉しかった。
今振り返ってみたら、寄付する側、つまり逆の立場になって考えてみたことが、予想通りだったということ。
昔、アフリカの子どもたちに寄付をすることを考えたときがあり、その時私の思考は以下の通りだった
①アフリカの子どもたちに支援がしたい
②支援の仕方って何があるのか
③募金をしよう
④募金…、どこにしたら良いのか調べるか
⑤募金先がたくさんある…
⑥有名なところも悪いうわさ記事があるな…
⑦実際アフリカの子どもたちに届くのか不安…
⑧いったんやめとくか…
これ、リアルな流れ。
お金が絡むことだし「迷った時点」で、分からないことは怖くなる、これは人間心理として自然なこと。
今回立ち上げた寄付プロジェクト「1% for the Coral」では、その「迷い」を自分が断ち切りたかった。
もちろん、自分自身と寄付先の環境保護団体を信頼されることが前提ではあるが、そこは私ががんばるところ。
ちなみに環境保護団体に寄付するだけでなく、寄付の報告や保全活動の進捗も、SNSや商品ページを通じて可視化している。

みんなの共感が、行動になる。
その手応えを、日々実感している。

“社会性”を組み込んだ商品設計のメリット
1%という割合は決して大きな数字ではない。
だが、その1%があることで、商品は“モノ”から“ストーリー”へと変化する。
単なるキャンバスアートではなく「環境保全につながる選択肢」としてユーザーに認識されるようになった。
実際、購入者からは「寄付の仕組みに共感した」「この活動を応援したくて買った」という声が多く寄せられている。
KPIとして設定しているのは以下の3点である。
①累計寄付金額の推移
②SNS上の共感コメント数
③購入理由に“共感”を挙げたユーザーの割合
これらをモニタリングしながら、ブランドとしての信頼性と透明性を継続的に高めている。
この仕組みは、他地域・他分野にも応用可能である。
たとえば以下のような構想も考えられる。
①放置竹林問題と連携した「竹製品×1%寄付」
②森林再生と組み合わせた「木工クラフト×保全支援」
③伝統芸能の継承を促進する「工芸品×文化助成」
ポイントは、“社会課題”と“商品特性”の接点を丁寧に設計すること。
無理なく、無駄なく、伝わる仕組み。
これが、社会性を持つ商品の本質である。
未来へ向けて:「買うこと」が参加になる世界を
社会課題に向き合うとき、最も大きな壁は「無関心」である。
多くの人は、日々の暮らしの中で忙しすぎるがゆえに「地球環境」や「地域資源」について考える余裕を持てない。
自分自身、家族のことで精一杯。
だからこそ「買う」という日常行動に“参加”の意味を組み込むことが有効なのだ。
「1% for the Coral」のような仕組みが増えれば、商品購入がそのまま地球環境や地域課題への関与になる。
これは、経済と社会をつなぐ新しい橋渡しではないだろうか。
そして、地域の事業者にとっても、売上と同時に信頼を獲得できるモデルになり得る最高の手段であり、ユーザーにとっても無理のない選択肢が社会との接点になる。
本記事を執筆した中で、改めて思うことは共感経済の時代において、“思いを伝える設計”は最も強力なマーケティング手法ということ。
最後に
「1% for the Planet」とは、企業が売上の1%を環境保護に使う国際的な取り組み。
私はその考えを参考にし、ヨロン島で「1% for the Coral」を実践。
キャンバスアートの売上の1%を、サンゴ保全団体へ寄付する仕組みを構築、つまり商品に社会性を組み込むことで、共感・信頼・継続性のあるブランド設計が実現したということ。
今回の施策は、地域や業種を問わず、応用可能な設計思想である。
「モノを売る」だけではない。
「思いを届ける」商品開発。
それこそが、次代のクリエイターと事業者に求められる価値提案だと確信している。
▼ジャッキーキャンバスアートはこちら
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