バックパックと小さな勇気#2
思いつきは、きっと正しかった。
数分前までは、
いつもの、
私を知っている人から見れば
またか、と思われるような、
ただの衝動的な思いつきだった。
スマホに届いた電子チケットを見つめながら、
心の奥がざわついた。

「本当に行くんだな」
ふわっとしていた旅が、急に現実になった気がした。
机の引き出しをあさって、パスポートを探す。
有効期限は……大丈夫そうだ。
バックパックに何を詰める?
何日分の服がいる?
現地の気温は?
ワクチンは?
SIMカードは?
頭の中に、いくつもの「?」が浮かんでは消えていった。
準備しなきゃいけないことは、思ったよりたくさんあった。
それでも、胸のどこかが軽くなっている気がした。
わからないことだらけでもいい。
何もかも完璧に整えなくてもいい。
等身大の、ありのままの自分でいい。
たったひとつ、“行きたい”って気持ちだけが、
私をここまで連れてきたのだから。
バックパックの横に、スマホを置いた。
そこには、光るチケットが、確かに存在していた。
