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原節子ものがたり💌「煙草とビールと本さえあれば・・・」

石井妙子著「原節子の真実」
他より、抜粋させて頂きました。

          〇

1949年 (昭和24)
節子は はじめて小津安二郎監督作品に出演。
『晩春』である。
公開されると 多くの批評家たちが絶賛。
その年のベスト・ワン作品に選ばれ

2年後には 再び小津の『麦秋』に出演。
こちらも 高い評価を得た。

小津は撮影中から
節子への賛辞を惜しまなかった。
「原君を一言にして批評してみると
 素晴らしく勘のいい人だということであり
 素直であるということだ」

小津が節子に満足していた ことは確かだろうが
しかし節子を讃える言葉の裏には
後輩監督たちへの批判と 対抗心があったのではないか。

黒澤明は『わが青春に悔いなし』
吉村公三郎は『安城家の舞踏会』
今井正は『青い山脈』で
それぞれ原節子をヒロインに得て 評判をとっていたが
彼女を褒めるのではなく
期待や不満も 公に語っていた。

「正直に言って 原君の演技力は
 持てはやすほどの立派なものではない。
 原君にはまだ 俳優の性根みたいなものが出来ていない」黒澤明

この中で、特に小津が意識していたのは 黒澤明だった。
理由は諸々あったと思うが
やはりここには 亡くなった山中貞雄監督が
影を落としているように思われる。

小津と山中貞雄は 深く心を許し合う友だった。

1937年・戦地の南京で会った 左) 小津と山中

黒澤と山中は ほぼ同年代であったが
山中は戦場に駆り出され 命を落とし
黒澤は一度も 戦地に送られていない。

戦場で地獄を 味わった小津は
兵役につかなかった人間を 冷ややかに見下すことがあった。
山中が生きていれば
間違いなく黒澤の ライバルになっていたはずだ。

小津は後に
はっきりと黒澤の名前を出して 公にも批判するようになった。

そして節子は
休む間もなく 東宝で成瀬巳喜男監督の『めし』に出演。
制作は 東宝の大物プロデューサー・藤本真澄で

藤本は いつの頃からか
「原節子に惚れている」「求婚したが、軽くいなされた」
と公言していたが 彼もまた生涯 独身を通し
節子への愛を貫いたと 噂された。

藤本は 黒澤とも小津とも違う役柄を
節子に振りあてた。
「生活にやつれ くたびれきった主婦」だ。

『めし』共演・上原謙

原作者の林芙美子は
「イメージが違いすぎる」と大反対したが
藤本は
「綺麗な人がわびしい生活を送っているからこそ
 わびしさが出るのだ」と
説得したという。 

結果、節子も 
ずずぅ~っと音を立てて お茶漬けをすするという
色気のない人妻を 見事に演じた。

この年の『キネマ旬報』ベストテンでは
一位『麦秋』、二位『めし』 
節子は この両作品の演技で
一昨年の 『お嬢さん乾杯』に続き
二度目の毎日コンクール女優演技賞を受賞した。

ところで 節子はたびたび友人たちに
「私には不幸が向こうからやって来る」
と話したという。

この言葉の裏には 何があったのだろうか。

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懐かしい映画の裏話など 頑張って頑張って書きました。

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