ギター骨折事件
ライブ本番直前に、愛用していたギターのネックを折りました。
何やってんだ、オレ。
36歳の頃、僕はローリング・ストーンズのコピーバンドでギターを弾いていました。
ボーカルの先輩は、「エヴリバディ!」とシャウトした瞬間にステージの空気を変える、ハスキーで張りがある声。
他のメンバーもみんな演奏が上手くて、こういうバンドでギターを弾けることは、なかなかありません。
そんなある日、メンバーのギターの先輩が結婚することになりました。二次会でライブハウスを借りて、ストーンズの曲を演奏してお祝いしよう、という話になります。
選んだ曲は「Beast of Burden」。
前回のライブでも演奏したナンバー。新郎である先輩がキース・リチャーズのようにカッティングを刻み、僕がロン・ウッドのパートを受け持って、オブリガートを絡めていく。そんな設定で盛り上げるはずでした。
会場での音合わせは、何の問題もなくスムーズに終了。
「よし、本番もバッチリいけそうだ」
アンプのツマミのレベルをメモしようと思い、僕はギターストラップを肩にかけたまま、愛器のギブソンES-335(サンサンゴ)を背中側へと回しました。
そして、そのまま前屈みになった、その瞬間。
ストラップがするりと外れ、僕のES-335は、ヘッドからまっ逆さまに床へと落ちていきました。
「ごん。」
何が起きたのか分からないままギターを拾い上げると、ネックの5フレット目あたりに、生々しいヒビが入っていました。完全に折れています。
「ウソ!?」
本番直前に、何より大切なギターを自分の不注意で壊した。その事実をすぐに受け入れることができません。
しかも、本番はもうすぐ始まります。
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