見出し画像

海辺のバス停に、夏が座っていた 平磯

夏の午後、
舗装の割れた道を抜けると、
海に近い小さなバス停があった。

ベンチの木は、潮に焼けて白く乾いている。
座ると、背中にざらりとした感触が残った。

時刻表の紙は波風に晒され、
角がめくれ上がり、日に焼けて色を失っていた。

遠くの水平線は、白くかすんで見えた。
蝉の声と、波の音が重なりあい、
時間はゆっくりと溶けていった。

バスは遅れていたのか、
そもそも来るのかもわからなかった。

けれども、待つことそのものが、
海と同じくらい確かな出来事に思えた。

あの午後の停留所に座っていたのは、
わたしと、波音と、夏の匂いだけだった。



くうほ|hopeful buddy

#くうほの海 #hopefulbuddy #夏の記憶 #波音と光 #静かな時間

いいなと思ったら応援しよう!