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函館とGLAYと私~30周年を迎えたバンドのライブを初めて見た話

函館とGLAY

私は生まれも育ちも函館で、いまは千葉県に住んでいます。
たまに函館の実家に帰省するたびに町の店は空き店舗になり、建物は更地になり、町が寂れていっています。どこの地方都市も似たような状況だとは思いますが、かつて賑わっていた時代を知っているだけになんともさびしいですね。

イカも取れなくなり人口も急速に減り、市の指定ゴミ袋は値段が高く、暗い話が多い函館で数少ない明るい話題がGLAYです。彼ら自身が故郷の函館をとても大事にしてくれていることもあり「函館にはGLAYがいる」というのが多くの市民の心の拠り所になっていますし、GLAYゆかりの場所や店、食べ物等を求めて多くの人が函館を訪れてくれています。今の函館の産業は観光・水産・GLAYです。

GLAYが函館でライブをやる時は市内の宿が全部埋まるから大変と、私の親はやれやれといったニュアンスで話をしていましたが、どこか誇らしげです。
函館には自称「TERUの親戚」や自称「JIROの知り合い」などがそこら中にいますが、まあとにかくGLAYの4人に関しては函館で悪い噂を聞かないです。

函館の商業施設にあるGLAYのレリーフ

ファンの方たちには申し訳ないのですが、正直に言うと若い頃の私は「GLAYとかダサい」と思っていました。「売れてるものはダサい」という、若い時にありがちなしょうもないイキりですね。同郷のバンドがCDのセールス記録や20万人ライブなど、次々と偉業を成し遂げていくのをすごいなあと遠くから眺めてはいましたが、自分とは一生交わることがないだろうと思っていました。

なんかGLAYっておもしろそうじゃね?

夏はだいたい北海道のRISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO(以下RSR)に行っているんですが、RSR界隈には自主的におもしろいことをしている人たちがたくさんいて、承認欲求や自己顕示欲みたいな打算じゃなくただ単に自分がおもしろいからやっているという愉快な人たちがいます。

その一部にはGLAYを愛好する人たちがおり、毎年謎の理論から「今年のRSRにはGLAYが間違いなく出る!」と確信して「GLAY出演待ったなし」とX上で主張を繰り広げる一派がいます。そこから「グロリアス関数」や「TERUの入射角」という概念が生まれました。

GLAYとRSRの両方を好きな人たちの話からGLAYのおもしろいエピソードを知り、さらにはGLAY界隈にも自主的におもしろいことをしているファンの人たちがたくさんいるのを知って「なんかGLAYっておもしろそうじゃね?」と、興味を持ちました。既に30周年を迎えたバンドにです。人は「なんかおもしろそう!」と感じたときにそこに近づこうとするのだと思います。

自分も年を取り、函館の人たちに多くの喜びをもたらしてきた彼らのことをいつからか地元の誇りと思うようになりました。RSRに出演待ったなしかどうかはともかく、一度は生で見てみたいと思うようになるまでそれほど時間はかかりませんでした。

初めてのライブへ

30周年の最後は東京ドームでもライブやるんだ、すごいな、さすがにもうチケットなんて残ってないんだろうなと思いながらローソンチケットかeplusか何かのサイトを見ました。
チケットふつうに売ってる!
注釈付きの見切れ席みたいなやつだけどまだ買える。なんでもいいや一生に一回くらい見に行ってみようと東京ドームのチケットを購入しました。

そんなに曲も知らないけどどうにかなるだろう、というくらいのぬるい客として参加したのですが、全然どうにかなりました。というか「あ!この曲知ってる!」の連続です。

スマホ・ネイティブ世代の若い方からすると信じられないかもしれませんが、インターネットがまだ普及していなかった時代はみんなやることがないから夜はテレビを見て過ごしていました。

なので地上波テレビの影響力というのはすさまじくて、テレビCMやドラマのタイアップ曲は必ずヒットしていたし、歌の番組もたくさんありました。人気アーティストのCDが当たり前のように100万枚、200万枚売れていた時代です。

そんな時代だったので、ある一定以上の世代の人なら誰もが知っている曲というのがたくさんあります。その頃に強力なライバル達と売り上げランキングで鎬を削っていたのがGLAYであり、私のような素人でも知っている彼らの曲がたくさんあります。

2025年5月31日(土) 曇り時々雨 東京ドーム

当日。みんな黒い服だろうなーと想像していたのですが、行ってみたら「あれ!?あんまり黒くない!まあまあ黒いけどそうでもない!」と勝手にびっくりしていました。お客さんの黒服率ならサカナクションのライブのほうが高いです。グッズとかは別にいらないよなーいらないいらない・・気がついたら腕にGLAYのぴかぴか光るやつが巻かさっていました。

開演の30分前

座席はまあ、注釈付きチケットなので覚悟はしていたのですが一塁側の3階のステージ真横という、なかなか厳しい位置です。でも大型スクリーンがステージ正面だけじゃなく横にもついてる!ありがたいなあGLAYは手厚いなあと早くも感心しました。

ぼーっと座って開演を待っていると係の人がすーっと寄ってきて「下の階の空いている席にご案内できます」とのこと。え、じゃあぜひ、と振り替え席のチケットをいただき移動したら、だいぶ横は横なんですがステージもしっかり見える角度の1階席で、思いがけずステージに近い席になりました。安いチケットなのにすいません。ありがたいなあGLAYは手厚いなあ(2回目)。

開演が17時と早いのも良いですね。宿泊まではできないので日帰りで参加したいという遠方からの人達も少なくないと思います。1時間違うと終演後その日のうちに帰宅できる範囲がずいぶん変わりますからね。

ライブを見て思ったこと

ほぼ時間通りに開演。天井近くの席までびっしりお客さんで埋まっています。30周年を迎えて今なお東京ドーム2DAYSを埋めるGLAYの力・・!でも不思議と東京ドームの空間が大きく感じないんですよね。バンドの貫禄というか存在感というか。「彼らならこのくらいの会場で当たり前だろ」感。

メガヒット・アーティストの単独ライブを見る機会が今まであまり無かったので、見るもの全てが新鮮です。メンバーがステージに登場したときの歓声が桁違いにすごい。わぁこれがGLAYチョップ!(両手を挙げて前後に動かすやつ)お客さんみんながやっててまるで波のようですごい。演出も派手ですごい。TAKUROの脚が長くてすごい。とにかく驚きの連続でした。

右前の男性はなぜかずっと泣きながら聞いてます。左の女性はずーっといい姿勢でGLAYチョップをしています。後ろの若い男性2人は元気に歌っています。ずっと双眼鏡で見ている人もいますしオリジナルの踊りをしている人もいます。みんな自由です。自由に楽しんでいるのがいいなと思いました。

ライブの途中で何回も銀テープが飛んだのがおもしろかったです。しかも同じような場所にテープがワサっと固まって落ちていくので笑ってしまいました。メンバーが山車みたいな乗り物に乗って近くまできてフリスビーをお客さんに投げるというすごいサービスがあって驚きです。後ろの方のお客さんも間近でメンバーを見ることができてすごい。ありがたいなあGLAYは手厚いなあ(3回目)。

アンコールでのゲストはYUKIでした。急に登場した瞬間、悲鳴のような歓声が上がりましたね。GLAYにとっては一番付き合いの長い盟友であり戦友でしょう。30周年を祝うには最も適任かと思います。TAKURO、HISASHI、JIROの演奏、YUKIのボーカル、ナレーションがTERUで山親爺のCMソングをやるという大変な事態に北海道民は歓喜です。ただ、意外とドームのお客さんの反応は薄かったような気がします。全国CMではないので仕方がないですね。

函館から東京に出てきてずっとバンドで第一線で頑張ってきた者。
函館から東京に出てきてバンドが無くなった後も頑張ってきた者。
函館を出ていろいろあって千葉からぼんやり東京ドームに来た私。
あの場所で一瞬だけ同郷のスターたちと人生がクロスしたような不思議な気持ちでした。ひょっとしたらあの日の東京ドームには、もう二度と会うことも無い昔の地元の友人もいたのかもしれないなとも思いました。

GLAYの4人の言動を見ていると彼らは本当にファンを信じ、お互いメンバーを信じ、そして自分たちが作った音楽を信じているのだなと感じます。ひょっとしたら根底にあるのは函館という田舎町で生まれ育った人間特有の「人を疑わない」という気質なのかもしれませんが、とにかくファンに対して真面目だし優しい。ファンを幸せにしたくてしょうがないという気持ちをひしひしと感じます。

アイドル的な人気が高かったこともあって過小評価されている気がしますが、演奏のレベルも高いですしボーカルもよく声が出ていて素晴らしいです。何よりも曲がいい。歌いたくなるような名曲が次から次へと繰り出されます。単純に楽しいです。TAKUROから「あなたたちもGLAYです」と言われ、ドームに集まったみんながGLAYのメンバーになったので(ジェフ習志野:2025年5月31日 GLAY加入)TAKUROが作った未発表のデモ曲を聞くことになりました。ある意味メンバーでの制作会議ですね。とても良い曲でした。

古い楽曲でも古臭く聞こえる曲とそうでもない曲があります。昔の歌謡曲やグループサウンズなどは今聞くと時代を感じますね。いわゆる「懐メロ」です。一方で、古い作品なのに今聞いても古びていない曲もあります。何が違うのか。歌唱法や録音環境などいくつかの要素がありますが、やはり重要なのは編曲ですね。曲の耐用年数は編曲が決めます。普遍性というと大げさですが、時代に左右されず鑑賞に堪えるのがGLAYの曲であると感じました。佐久間正英さんが編曲に携わっていた時代の楽曲は特にそれを強く感じます。

帰りの電車で考えていたこと

外に出たら20時を過ぎていました。17時開演だったのでちょうど3時間。水道橋駅から乗った帰りの総武線の電車はドーム帰りのお客さんでいっぱいです。楽しかったねえ。すごかったねえ。あの曲やったねえ。みんなニコニコしていてよかったです。

バンドに限らずですが、人間いつどうなるかわかりません。バンドがこの先どうなるかもわからないですし、見る側のこちらだって明日どうなるかわかりません。私くらいのゆるい意気込みの人でも、気になるものは見られるうちに見ておいたほうがいいです。感染症による緊急事態宣言であらゆる興行がなくなってしまったことも少し前にありましたからね。その時代の表現者を生で見ることができるのは偶然同じ時代に生まれた者だけの特権です。

仲違いで空中分解してしまったバンド。
大きな過ちで社会から消えてしまったバンド。
メンバーが世を去ってしまったバンド。
今までたくさん見てきました。バンドを続けていくというのはとても難しいことなのでしょう。30年も続いたというのは本当にすごいことです。

TERUはライブでこの先40周年、50周年への展望も語っていました。彼らも気づけばもう50代です。この先も長く活動していってくれることを願わずにはいられないGLAYの初ライブ体験でした。見ておいて良かった。RSRにもぜひ出てほしいです。
GLAY出演待ったなし。

函館空港のGLAYのショップのところ (2024年12月撮影)

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