54歳の誕生日は、四国を一周した
JR四国「バースデーきっぷ」で見つけた、大人の旅の楽しみ方
「今年の誕生日、何をしよう。」
54歳になった今年、自分へのプレゼントに選んだのは物ではありませんでした。
旅です。
しかも以前から一度使ってみたかった、JR四国の「バースデーきっぷ」。
誕生月だけ購入できる特別なきっぷで、四国の特急列車が乗り放題。グリーン車も利用できます。
せっかくなら、この切符を使って四国を一周しよう。
そう決めた瞬間から、今年の誕生日は特別なものになりました。
まだ四国じゃない。でも、もう旅は始まっている。
今回の目的は四国。
でも、せっかく西日本まで行くなら鳥取にも寄りたい。
そんな欲張りな計画から旅は始まりました。
夜行バスで米子へ到着。
レンタカーを借り、まず向かったのは皆生温泉。
夜行バスで固まった身体を朝風呂でゆっくりほぐします。
「旅に来たな。」
そう思える瞬間です。
その後は大山へ。
みるくの里でソフトクリームを食べ、昼は牛骨ラーメン。
倉吉では白壁土蔵群を歩き、その夜は三朝温泉へ。
河原風呂に浸かり、美味しい料理をいただき、地酒を味わう。
まだ四国にも入っていないのに、この時点で十分満足していました。
バースデーきっぷ、いよいよ出番
翌日、高松駅。
みどりの窓口で受け取った一枚の切符。
いよいよ今回の主役です。
ここから3日間、
高松。
徳島。
高知。
宇和島。
八幡浜。
松山。
新居浜。
四国を時計回りに巡ります。
利用した列車は、
うずしお。
剣山。
南風。
しまんと。
宇和海。
しおかぜ。
どれも名前を聞くだけで旅情があります。
グリーン車は「贅沢」ではなかった
若い頃は、
「グリーン車に乗るなら、そのお金で美味しいものを食べたい。」
そんな考えでした。
でも今回は違います。
座席にゆったり腰を掛ける。
コーヒーを飲みながら景色を眺める。
瀬戸内海が見える。
山が近づく。
知らない駅を通り過ぎる。
その時間そのものが旅でした。
目的地へ向かう時間まで楽しめる。
これがグリーン車の一番の価値なのかもしれません。
四万十川より気になったもの
今回、一番緊張したのは絶景ではありません。
トイレです。
窪川駅から宇和島駅まで走る予土線。
乗車前に知った事実。
「この列車、トイレがありません。」
約2時間半。
頭の中は、
「大丈夫かな。」
そればかり。
幸い江川崎駅で15分ほど停車。
無事にトイレへ。
ようやく心から四万十川の景色を楽しめました。
予土線は日本でも屈指のローカル線。
でも私にとっては、
「四万十川の絶景」と「トイレを我慢した思い出」がセットになった路線です。
予定どおりにいかない。それが面白い。
高知では日曜市へ向かった朝に雨。
楽しみにしていた朝食は予定変更。
絵金祭りでは歌舞伎小屋の弁天座の空調が故障。
列車も遅れる。
宇和島では目当ての鯛めし店も予約できない。
でも、その代わりに入った「ほづみ亭」が最高でした。
旅って不思議です。
予定どおりだったことより、
予定外だったことの方が、よく覚えています。
鉄道だけでは行けない景色
新居浜ではレンタカーを借りました。
向かったのは旧別子銅山・東平地区。
細い山道を慎重に登ると、「東洋のマチュピチュ」と呼ばれる景色が広がります。
鉄道では行けない。
だから車を使う。
最近は、そんな「いいとこ取り」の旅が好きです。
鉄道にも魅力がある。
車にも魅力がある。
どちらかにこだわるより、どちらも楽しめばいい。
そんな旅のスタイルが、自分には合っています。
スーパーは、その町の博物館
旅先で必ず寄る場所があります。
それはスーパーです。
観光地では見かけない魚。
地元だけのお惣菜。
その土地のお酒。
そして買い物をする地元の人たち。
スーパーを歩くと、その町の日常が見えてきます。
ホテルへ戻り、地酒を飲みながら、その日を振り返る。
豪華な夕食もいいけれど、私にはこの時間が一番のご褒美です。
道後温泉では入らなかった
松山では道後温泉へ行きました。
でも今回は入浴しませんでした。
温泉街を歩き、商店街を眺め、街の空気を楽しむ。
それだけで十分でした。
「また来よう。」
そう思える旅のほうが、次の楽しみにつながります。
全部を一度で味わい尽くさなくてもいい。
そんな旅も悪くありません。
この切符がくれたもの
今回の旅で一番印象に残ったのは、
グリーン車でも、
温泉でも、
鯛めしでもありません。
「急がなくてもいい。」
そう思えた時間でした。
若い頃は、一つでも多く観光地を回りたいと思っていました。
今は違います。
列車に揺られる時間。
温泉でぼんやりする時間。
スーパーを歩く時間。
ホテルで地酒を飲みながら、その日を振り返る時間。
そのすべてが旅です。
JR四国のバースデーきっぷは、乗り放題の切符ではありませんでした。
時間を贅沢に使うための切符。
私には、そんな一枚でした。
誕生日に、自分へ旅をプレゼントする。
もし誕生月に四国を訪れる機会があるなら、ぜひ一度使ってみてください。
きっと目的地だけではなく、その道中まで忘れられない思い出になるはずです。
