連載記事 無機質な日々の中で 第4回
今日も一日雨だった。
ゆううつだった。
第3回で予告していた通り、「偽善者たち」の続きをお送りします。
「偽善者たち」続編
中学校に入学したとき、僕はもう学校に行くことに疲れていた。
両親の冷たさは変わらず、家では父の酒の匂いと母の罵声が日常だった。
「なんでそんなこともできないの?」
「もう、ほっといて!」
登校の朝は、スクールバックを肩にかけるだけでも戦いだった。
通学路では、すれ違うクラスメイトの視線が痛く、無意識に背中を丸めて歩く。
「お前、まだあっちのクラスにいるの?」
笑い声が背後から響くたび、胸が締め付けられる。
授業中も孤立は続いた。
グループ作業では、誰も僕に話しかけず、机の隅でノートを眺めるだけだった。
特別支援学級にいることが、友達にとっての笑いのネタになっていた。
「おい、山田、また落書きしてんのか?」
無力感と羞恥心が交錯し、僕は小さくなって耐えるしかなかった。
放課後、教室を出ると、男子たちがつかみかかってくることもあった。
スクールバックを投げつけられ、背中を押され、泣きながら逃げる日々。
父に訴えても「やり返せ」、母に言っても無関心。
救いはどこにもなかった。
家に帰ると、父は酒に酔い、手のひらや膝蹴りで僕を叩いた。
母は横で無言、時には罵った。
「うるさい、疲れてるのよ、あっち行って」
僕は泣きながら、姉の存在が憎らしく思えた。
食事を与えられない夜もあり、孤独と空腹に震えながら眠った。
高校に入る頃、家の夫婦不仲が明らかになり、僕の心はますます不安定だった。
母方の祖父母宅に逃げ込むこともあった。祖父母は敬虔なクリスチャンで、温かく迎えてくれた。
成績は相変わらず振るわず、教師からは「定時制か通信制しか進学先はない」と言われる。
祖父母の勧めで、僕は全寮制のキリスト教学校に進学した。
寮生活は厳しかったが、初めて自由を感じられる場所だった。
同級生や先輩、後輩との関係の中で、少しずつ心の安定を取り戻していった。
高校2年の冬休み、母が突然離婚を宣言した。
僕は強制的に承諾させられ、数日後には寮に戻った。
未来への希望は絶たれ、絶望だけが残った。
寮の部屋で、僕は過量の薬を口にした。幸い命に別状はなかったが、精神科に2週間入院することになった。
そんな中、女子の後輩三島に出会った。
小柄で明るい性格の三島は、授業でも休み時間でも僕にべったりで、何かにつけて話しかけてきた。
「先輩って、本当にイケメンだよね!」
「先輩って頭いいですよね!」
三島は勉強中もそばに寄り添い、時には肩に手を置いたり、背中に軽く触れてくる。
最初は戸惑ったが、その純粋な信頼と無邪気さは、孤独だった僕の心に少しずつ安らぎを与えた。
放課後は、一緒に図書室で勉強したり、寮の食堂で並んで食事をした。
帰り道も一緒で、他愛のない話や冗談を交わす。
「先輩、今日の数学の問題、どうやったら解けますか?」
「わあ、先輩の説明って分かりやすい!」
笑顔で見つめられるだけで、胸の奥がじんわり温かくなる。
孤独と不安に押しつぶされそうな毎日の中で、後輩の存在は、僕にとって唯一の小さな希望だった。
しかし、家の問題や母の干渉、学校での孤立は変わらず、安心できる場所は少なかった。
それでも、後輩がそばにいてくれる限り、心の奥に光を感じることができた。
それでは。
