シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE 倍速では楽しめないひと晩
鑑賞:2026年6月@アップリンク吉祥寺
岸井ゆきのさん、ジンホアさん、真壁幸紀さんが登壇する舞台挨拶つき上映で拝見。キレイ、かっこいい。素敵です。
東京と台湾を舞台にしたオフビートな作品。吉本ばななの短編集『ミトンとふびん』(谷崎潤一郎賞)の中から、真壁幸紀さんの監督・脚本・編集で映画化。
母を亡くし喪失感を抱えた岸井ゆきの(ちづみ)が、友人のライブに誘われて訪れた台湾で、日本人の父と台湾人の母を持つツェン・ジンホア(シンシン)と出会う物語。

出だしから好印象なのは、主人公がやたらと眠ること。旅先でもよく寝る。配信ドラマでは合致しない間延びしたような時間から始まります。ゆったりとした会話劇で、時間の使い方がとにかく贅沢です。たぶん倍速で見たら、意味がない。喪失感というのは、冗長にも思える実時間で見せてこそ表現できるのでしょう。忙しく働いていたと言いながら、仕事をやめて、ゴロゴロ横になっているのは、心情が表れています。
友人のバンドがアジアツアーをやっているということで、誘われて台湾へ向かいます。映画はとても長く時間をとっていますが、設定としては旅先の一晩の話です。不思議となつかしさを感じる台湾の街と、現地で出会ったシンシンとの会話がエッセンスです。
シンシンが、普段は渋谷に住んでいて、たまたま台湾に戻っていたという設定や、普段は日本語が話せない俳優ジンホアさんが、かたことの日本語でセリフを話すのが受け入れられるかどうかで、評価が分かれるような気がします。
岸井ゆきのさんとジンホアさんを、儚くも美しくスクリーンに映し出す作品でした。
▲岸井ゆきのさん主演、今泉力哉監督作。
