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KDE Plasma 6.6 Beta 2公開、新ログインマネージャーの光と影

Linuxデスクトップの選択肢として根強い人気を持つKDE Plasma。その次期バージョン6.6の2回目のベータが公開された。新しいログインマネージャーなど意欲的な機能が並ぶ一方で、ある決断が静かな波紋を広げている。

KDE Plasmaの最新開発版、6.6 Beta 2が1月27日にリリースされた。バージョン番号は6.5.91。2週間前の最初のベータに続く今回が最終ベータとなり、安定版は2月17日に予定されている。バグ修正とポリッシュの段階に入ったことを意味するが、今回のリリースには構造的な変化が含まれている。

今回のリリースで最も注目すべきは、3つの新しいコアモジュールの追加だ。

Plasma Login Managerは、長年使われてきたSDDMディスプレイマネージャーの後継として開発された。SDDMをフォークして作られたこの新しいログインマネージャーは、壁紙プラグインとの統合、システム設定からの直接管理、そしてマルチモニター・HDR・HiDPI環境での初期設定体験の向上を目指している。Fedora 44(2026年4月14日リリース予定)が全KDEバリアントでこのログインマネージャーを採用することをFESCo(Fedora Engineering and Steering Committee)が承認した。すでにArch LinuxやCachyOSの2026年1月リリースでは、新規インストール時のデフォルトとして採用されている。

Plasma Keyboardは、Wayland環境での使い勝手を重視した新しい仮想キーボード。従来のMaliitキーボードを置き換え、タッチデバイスやタブレットモードでの入力体験を改善する。

Plasma Setupは、OEM向けや初回起動時のセットアップウィザード。新しいPCを購入したときに表示されるあの画面を、Plasma流に再構築したものだ。

機能面での改善も多岐にわたる。スクリーンショットツールのSpectacleにはTesseractベースの光学文字認識(OCR)機能が追加され、キャプチャした画像から直接テキストを抽出できるようになった。画面録画では特定のウィンドウを除外する機能も実装され、デモやチュートリアル制作時のプライバシー保護に役立つ。

Wi-Fi接続がQRコードで可能になった。ネットワークウィジェットに追加されたボタンからQRcaアプリを起動し、コードをスキャンするだけで長いパスワードを入力する手間が省ける。Wi-Fiパスワードはシステム全体でroot所有の場所に保存されるようになり、セキュリティとアクセス性が向上した。

Intel Lunar Lake以降のグラフィックスでは、アダプティブシャープニング機能をサポート。画面全体のシャープネスをシステム設定から調整できるようになる。ただし、この機能にはLinuxカーネル6.19以降が必要だ。

Wayland周りの改善も充実している。KWinウィンドウマネージャーにはX11 RandRエミュレーションが実装され、レガシーなXWaylandアプリケーションとの互換性が向上。per-DRM-planeカラーパイプラインのサポートにより、色精度と視覚的忠実度が最適化された。スクリーンミラーリングの信頼性も向上し、kscreen-doctorを使ったカスタムスクリーンモードの管理も可能になった。

アクセシビリティでは、Wayland環境で**「スローキー」機能**がサポートされた。キーを押してから入力が認識されるまでの時間を調整できる機能で、運動障害のあるユーザーにとって重要だ。ズーム効果には新しいモードが追加され、ポインタを物理スクリーンの中央に固定できるようになった。色覚異常を持つユーザー向けの補正フィルターも改善されている。

環境光センサーを搭載したデバイスでは自動輝度調整が利用可能に。サンドボックス化されたアプリがUSBデバイスへのアクセスを要求できるUSBポータルの実装、ゲームコントローラーの操作をシステムアクティビティとして認識しスリープを防ぐ機能、絵文字セレクターでの優先スキントーン設定など、日常の使い勝手を向上させる改善が数多く含まれる。

しかし、光があれば影もある。

新しいPlasma Login Managerは、systemd-logindに完全に依存する設計となっている。これにより、systemdを使用しないLinuxディストリビューション(Void Linux、Gentoo OpenRC、Devuanなど)、そしてすべてのBSDオペレーティングシステムでは動作しない。KDE開発チームは2025年12月にFreeBSDサポートを明示的に削除するコミットを行った。

KDE開発者のDavid Edmundson氏はコミットメッセージで、「non-logindバックエンドをサポートするための労力は膨大だ。我々は非常に小さなチームであり、この贅沢を許容できない」と説明している。Redditでの議論では別の開発者が「最終的には、BSDやニッチなディストロのサポートを切りたいわけではない。しかし、大多数のユーザーにとって最高の体験を提供することを優先せざるを得ない」と付け加えた。

誤解のないよう強調しておくと、KDE Plasma自体はFreeBSDや他のBSD上で引き続き動作する。影響を受けるのはログインマネージャーだけであり、SDDM、LightDM、GDMなど他の選択肢は依然として利用可能だ。FreeBSD KDEポーティングチームのAdriaan de Groot氏は、「FreeBSD 15.0以降では別のディスプレイマネージャーが必要になる」と認め、LightDMへの移行などを検討している。

この決定はオープンソースコミュニティ内で議論を呼んでいる。GNOMEも2025年にsystemdへの依存を深める方針を明言しており、LinuxデスクトップがLinux固有技術への依存を強める傾向は明らかだ。The Registerは「FreeBSD貢献者はXfceなど別のプロジェクトに力を注いだ方がいいかもしれない」と辛辣なコメントを残している。一方で、「systemdはLinuxエコシステムの現実であり、限られたリソースで最高の体験を提供するための合理的な判断だ」という擁護の声もある。

Beta 2ではKWinに多数の修正が入り、Waylandの動作、DRMバックエンド、入力処理、仮想デスクトップ管理における安定性が向上した。Plasma System MonitorのUI改善、xdg-desktop-portal-kdeの画面共有・デバイスアクセスダイアログの整理、Plasma Mobileのロック画面認証とUIサイジングの問題修正、そしてPlasma Browser IntegrationへのWaterfoxサポート追加なども含まれる。

KDE Plasma 6.6は、Waylandへの完全移行を見据えた重要なリリースになる。新機能の数々は、デスクトップLinuxの成熟を示すものだ。一方で、クロスプラットフォーム互換性という理想と、開発リソースの現実の間で、オープンソースプロジェクトが直面するジレンマも浮き彫りになった。

最高の体験を追求することと、すべてのユーザーを取り残さないこと。その両立は、思いのほか難しい。

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他参照

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