『愛せない親を介護できますか?』虐待と差別を乗り越えた兄妹が出した「家族の正解」
【第3回】プロとしてのアドバイス、そして訪れた穏やかな日々
Aさんの心に寄り添うため、幼い頃に両親から何をされ、どんな思いをしてきたのかをすべてお話ししていただきました。
それは、言葉を失うほどの精神的虐待の数々でした。
最近よく耳にする「毒親」という言葉。支配的で自己中心的な親や、過保護・偏愛によって子どもの人生を縛る親などを指します。
しかし、どんな親であっても等しく老いていきます。その親とどう向き合うか、介護すべきか否かは、本当に大きな問題です。
外からは円満に見える家族でも、親子関係の真実は当事者にしかわかりません。周りが何と言おうと、「家族で話し合って出した答え」がすべて正解だと私は思っています。そして、親が亡くなった後も、子どもの人生は続いていくのです。
親への感情と、現実に起こっている介護への関わり方は、切り離して考えて良いものです。
憎しみが増し、自分が壊れそうだと思ったら、「距離を置くこと」「関わらないこと」を恐れないでください。
心を押し殺したままの介護は、決してあなたの為になりません。あなたは幸せになっていいし、自分の人生を最優先にしていいのです。
そこで私は、Aさんが無理なく関われる限界(線引き)を一緒に考えました。
「顔を見るのも触れるのも嫌なのか、少しなら手伝えるのか」
そして、地域包括支援センターに、過去の虐待や兄妹関係の複雑な事情をすべて包み隠さず話すようおすすめしました。一人で抱えず、行政と繋がりながら「できること」の範囲を明確にするためです。
「これだけ世話をすれば、いつか分かってくれる」という期待は、応えが得られなかった時に自分をさらに深く傷つけます。
Aさんと何度も話し合い、お兄さん夫婦とも連携した結果、ある介護プランを立てました。
母親がデイサービスやショートステイで不在の時間を狙ってAさんが実家に入り、片付けや掃除、おかずの作り置きといった「非対面のサポート」に徹することにしたのです。
一方でお兄さん夫婦は、実家の売却手続きや施設探し、費用の負担を引き受けました。
役割を分担して半年後、ようやく母親の入所施設が見つかりました。
母親の認知症は進行が早く、入所する頃には子どもたちの名前もおぼろげになっていました。
しかも、あれほど短気だった母親が、Aさんに穏やかな笑顔を見せるようになったのです。
「多分、もう私のことが分かっていないんでしょうね」とAさんは静かに笑いました。
施設入所から2年後、母親は肺炎で息を引き取りました。
葬儀の後、Aさんからご連絡をいただきました。
「やっと胸を張って、自分の人生を生きることができそうです。」
電話の向こうのAさんは、心からの笑顔を見せてくださいました。
――家族の介護はとても大変なことです。辛い過去があるなら、なおさらです。
① 一人で抱え込まないこと
② 相談することを恥だと思わないこと
③ 自分が関われる範囲(線引き)を決めておくこと
④ 家族やきょうだいで情報共有し、役割分担をすること
助けてくれる人や専門家は必ずいます。あなたの人生を一番に大切にしながら、決して無理はしないでくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
《今回のまとめ 第3回》
あなたの人生を、一番大切にするために。
全3回にわたり、Aさんのエピソードを通じて「複雑な事情を抱えた親の介護」についてお届けしてきました。
外からは見えない親子関係の葛藤は、誰にも分かってもらえず、一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、過去にどんな辛い記憶があろうとも、「あなたが自分の人生を最優先にすること」「幸せになること」を諦める必要は絶対にありません。
心を押し殺したままの介護で共倒れになってしまう前に、ぜひ今日お伝えした4つのメッセージをぜひ心に留めておいてくださいね。
「介護から逃げるのは悪いこと」と思わないでください。
適切な距離を取り、周囲の手を借りることは、お互いの尊厳を守るための前向きな選択です。あなたを助けてくれる人や専門家は、必ず近くにいます。
ひとりで悩まず、まずは心を軽くしませんか?
「うちの家族の場合はどうなんだろう…」
そう思い悩んでいる方は、決して少なくありません。
私はこれまでにも様々なご事情を抱えたご家族の相談に寄り添ってきました。
【このようなお悩みはありませんか?】
✢過去に辛い思いをさせられた親の介護。どうしても前向きになれず、顔を見るのも苦しい…。
✢きょうだいが非協力的で、自分一人に介護の負担や実家の片付けがのしかかっている…。
✢行政やケアマネジャーに、家族の複雑な人間関係や過去の事情をどこまで話していいか分からない…。
これらはすべて、実際に多くの方が直面されている切実な悩みです。
どのような複雑な背景であっても、私はあなたに寄り添い、包み隠さずお話をお伺いします。「こんなことを相談してもいいのかな…。」と悩む必要はありません。
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