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VOL.18|士業・専門家|「専門的には問題ありません」経営としても同じ?

「専門的には問題ありません」

専門家へ相談したとき、
「問題ありません」という言葉を聞くことがあります。

安心する言葉です。

法律上、問題ない。
税務上、問題ない。
会計上、問題ない。
労務上、問題ない。

専門家が確認したうえでそう言っているなら、その専門分野では大切な判断材料になります。

では、その言葉を聞いたあと、
「それなら、会社として進めても大丈夫だ」
と考えても同じでしょうか。

「問題ありません」には、範囲がある

たとえば、ある投資を検討している会社があったとします。

専門家へ確認すると、「税務上は問題ありません」と言われた。

これは、

税務という専門領域から見れば問題がない
という意味です。

でも、その投資を実行したあと、

資金繰りはどうなるのか。
毎月の固定費は増えないか。

回収まで何か月かかるのか。
その間に別の支払いが重ならないか。

人員は足りるのか。
需要は続くのか。

これらまで、

「税務上問題ありません」
という一言が保証しているわけではありません。

専門家の答えが間違っているのではなく、
見ている範囲が違います。

専門家は、自分の専門から答えている

これは、むしろ自然なことです。

司法書士なら、登記や法的手続き。
税理士・会計士なら、税務や会計。

社会保険労務士なら、労務や社会保険。
金融機関なら、融資や返済可能性。

それぞれ、
自分の専門領域から会社を見る。

だからこそ、専門家として価値があります。

問題は、その答えを受け取る経営側が、

「専門分野で問題がない」

「経営全体として問題がない」

を、同じ意味として受け取ってしまうことです。

正しい答えが、良い経営判断とは限らない

たとえば、「借入できます」
という答えがあったとしても、

それは必ずしも
「今、この会社が借りるべきです」
という意味ではありません。

「法律上可能です」
という答えも、必ずしも

「今、その契約を結ぶべきです」
という意味ではありません。

「税務上問題ありません」も、
必ずしも

「その投資は経営として妥当です」
という意味ではありません。

それぞれの答えは正しい。

でも、

専門分野での正しさと、
経営全体としての判断は別のものです。

では、経営者は何を見る?

ここで、「専門家を信用しない」
という話にはなりません。

むしろ逆です。

専門家から得た情報を、
経営判断の材料の一つとして、正しい位置に置く。ことが大切です。

たとえば、専門家から

「問題ありません」と言われたら、

その次に見るのは、
何について問題がないのか。
です。

法務なのか。
税務なのか。

労務なのか。
資金なのか。

そして、その専門的な答えを、

売上、利益、資金、人、現場、顧客、時間などと重ねたとき、

経営全体では、どんな景色になるのか。

ここは別に考える必要があります。

「問題ありません」を、結論にしない

専門家の言葉は、
経営判断を助ける重要な材料です。

ただし、その言葉自体を、
そのまま経営判断の最終結論にする必要はありません。

専門家が、
専門分野の境界まで見る。

経営者が、
会社全体を見て決める。

この位置関係が分かれていると、
専門家の意見を、より有効に使えるようになります。

最後に

「専門的には問題ありません。」

その言葉を聞いたとき、安心すること自体は、おかしくありません。

でも、そのあとに一つだけ。

何について、問題がないのでしょうか。

そして、

その答えを経営全体へ広げても、同じでしょうか。

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