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【妄想喫茶】会社はどう回るのか編 第6話

「その責任、誰のもの?」


※この作品はフィクションであり、AIとの共同制作による創作です。
実在の企業・人物とは関係ありません。
ここで語られる内容は一つの見方に過ぎません。
深夜のコーヒーと同じく、少し苦くて、少しだけ考えたくなる―
―そんな時間をお楽しみください。



カラン、とドアベルが鳴った。
夜は静かで、少しだけ空気が重かった。
常連はコートを脱ぎながら席についた。
今夜は少し疲れた顔をしていた。
「マスター、"責任の押し付け合い"って……」
少し間を置いた。
「よく見ますよね」
マスターは豆を挽きながら、静かに頷いた。
「見るね」


グラインダーに豆を落とす。
刃が噛む、一定の音。
「トラブル起きた時とか」
少し苦笑しながら。
「"それ自分じゃないです"ってやつ」
マスターは少しだけ笑った。
「あるね」
「なんでああなるんです?」
「"責任の位置が曖昧だから"」
「曖昧……」
「誰が決めたのか、誰が持つのかがはっきりしてない」
「なるほど」


お湯が落ちる。細く、静かに。
外で風が一度だけ通り抜けた。
「でも、曖昧なままでも回る時ありますよね」
「小さいうちは回るね」
「小さいうちは?」
「人数が少ないと、誰かがカバーする」
「なんとなくで回る」
「そう」
「じゃあ、大きくなると?」
「回らなくなる」
「うわ……」
「曖昧なままだと、誰も動かなくなる」
「責任取りたくないですもんね」
「そう」


カップが置かれた。湯気が細く立つ。
常連は一口飲んだ。苦みが先に来て、遅れて甘みが追いかけてくる。
「なんか、会社って……」
少し言葉を探しながら。
「"責任の空白"ができると止まる感じですね」
「いいところに来たね」
「やっぱり」
「誰も持たない責任は、進まない」
常連は何も言わなかった。
その言葉が、静かに沈んでいくのを、ふたりとも感じていた。


「じゃあ、いい状態って?」
「"責任の位置が見える状態"」
「見える……」
「誰が持ってるか分かる」
「それだけで変わります?」
「かなり変わる」


外で風が少し止んだ。
「でも、それって……」
少し考えながら。
「見せたくない場合もありません?」
「あるね」
「責任重いし」
「そう」


店内が、少し静かになった。冷蔵庫の唸りだけが、低く続いていた。
「なんか、だいぶ見えてきました」
「いいところまで来たね」
少し間が空いた。
「でも、この話って……」
「うん?」
「"責任が強い人に集中する"こともありません?」
「いいところに来たね」
「やっぱり」
「次は、"責任の偏り"の話にしよう」
マスターは新しい豆を取り出した。棚の前で少し手が止まる。それから静かに、少し重めのものを選んだ。
偏りの話は、空白の話より、もう少しだけ個人的になる。
そのことを、マスターは最初から知っていた。


湯気が、ゆっくりと立ち上る。
夜は、まだ続く。


(続く)


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