病院行ったら医者の方が重症だった
職場の健康診断で肺に異常があると言われた帰り、私と河原先輩は回転寿司に来ていた。
私はお通夜状態だが、河原先輩は
「炙りサーモンバジルチーズ」を注文した。
後輩の命がかかっているのに、そんなご機嫌な寿司を頼むなんてどうかしている。
「古い病院だから機械の故障かもしれないじゃん?だって、私、三回もレントゲン撮り直したんだよ」
河原先輩はレントゲンを撮り直したことにご立腹だった。
思い返せば酷い病院だった。
待合室で待っている時に顔面蒼白の松葉杖のおじさんが廊下をよろよろと歩いているのを見た。
「大丈夫かな?」と思っていたら、診察室で再会した。
おじさんは医者だった。
明らかに治療を必要としている人間サイドが白衣を着ていることに私は不安を覚えた。
案の定、河原先輩はレントゲンを三回も撮り直す羽目になった。
スタジオアリスだって、そんなに撮り直さないだろう。
一方の私はレントゲン室で三十分放置された。
レントゲンの器具を抱き締めて待機する方式だったので、最後の方は情が湧いた。
「私達。世界に二人っきりになったみたいね」
レントゲン器具は何も言わない。
私は泣いた。
多分、医者も看護師も私の存在を一旦忘れたのだと思う。
「再検査したら、絶対に大丈夫だよ」
何の根拠もなく河原先輩はそう言って、炙りサーモンバジルソースにかぶりついた。
「でも、この肺の部分にはしっかり白い影があるんです!これは何なんでしょうか?」
医者から渡されたレントゲン写真(めっちゃデカイ)を掲げると河原先輩は盛大にむせた。
「しまえ!食欲が失せる!」
酷い!酷すぎる!私はしくしく泣きながら
「まるごとハンバーグ握り」を食べた。
「でもさ、◯◯ちゃんは一ヶ所だけど木村さんは三ヶ所も肺に白い影が見付かったらしいよ」
「……木村さんかわいそうに(抑えきれない笑顔)」
一ヶ所の私より、三ヶ所の木村さんが居る。
それは私をとても安心させた。
その後、ちゃんとした病院にレントゲン写真を持参すると医者に大爆笑された。
「ひぇ~!レントゲン写真持ってるよ~!」
と腹を抱えて笑っていた。
普通は医者にレントゲン写真をそのまま渡されることはないらしい。
再検査の結果は何の問題もなかったし、なんなら木村さんも何の問題もなかった。
何なんだあの病院、二度と行くものかと心に決めた。
まだ通っている河原先輩によると、医者が松葉杖のおじさんから、日本語があまり話せないフランス人に変わったらしい。
腹の虫が収まらず、だが小心者なので。
Google口コミの最低評価にグッドを押しておいた。
※実話をベースに笑えるの書いてます※
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