山根景志の調べもの トバ湖は、人類が滅びかけた跡地かもしれない
山根景志です。
スマトラ島のトバ湖について調べていて、想像していたより話が大きくなったので書きます。行ったことはありません。
最初は、東南アジア最大級の湖という説明を読んだだけでした。写真を見ると、山に囲まれた青い湖で、真ん中に島がある。風光明媚な観光地に見えます。
ただ、成り立ちを調べたら、そういう話ではありませんでした。
湖ではなく、火口
トバ湖はカルデラ湖です。噴火でできた巨大な窪みに水が溜まったもの。
問題はその規模でした。
湖の長さが100キロ近く、幅が30キロほどあるという記載を見ました。真ん中にあるサモシール島も、シンガポールより大きいという説明を見かけます。
これが全部、一回の噴火でできた穴だということになります。
トバ・カタストロフ
その噴火が起きたのが、およそ7万4000年前とされています。
この噴火が非常に大規模で、噴出した火山灰が地球の広い範囲を覆い、太陽光がさえぎられて気温が下がった。数年から数十年にわたる寒冷化が起きた、という説明を見ました。
そして、これによって当時の人類が激減したという仮説があるそうです。
トバ・カタストロフ理論と呼ばれているもので、この時期に人類の人口が数千から1万程度まで減り、絶滅寸前まで行った、という内容でした。
現在の人類の遺伝的な多様性が他の類人猿に比べて少ないのは、このとき一度population が絞られたからだ、という説明も見かけました。
正直、これを読んだときは半信半疑でした。話が大きすぎます。
仮説であること
そこで、もう少し調べました。
分かったのは、この理論には反論もあるということでした。
噴火があったこと自体は地質学的に確かなようです。灰の層が広範囲で見つかっている。
ただ、それが人類の激減を引き起こしたかどうかについては、異論があるとのこと。噴火の前後で人類の活動が途切れていない証拠が見つかっている、という研究の話も出てきました。
つまり、噴火は事実で、人類への影響は議論の途中。
自分はこの区別が大事だと思いました。紹介記事の中には、人類が絶滅しかけた湖、と断定的に書いているものもあります。読んだ人はそう信じてしまう。
なので自分が書くときは、そういう説がある、という書き方にとどめます。
バタック人
湖の周辺にはバタックと呼ばれる人々が住んでいます。
特徴的なのが家の形で、屋根の両端が反り上がって、船のような形をしているという記述を見ました。写真で見ると、確かに独特です。
キリスト教徒が多い地域だという説明も見かけました。インドネシアの中では珍しい部類に入ります。
サモシール島には伝統的な村が残っていて、石の椅子や墓が見られるとのこと。
観光地としての現在
インドネシア政府が観光開発に力を入れている地域だという記述がありました。
一方で、湖の水質の問題を指摘する声もあるようです。養殖が盛んで、それが水質に影響しているという話でした。ここは詳しく追えていません。
行くとしたら
まずアクセスを調べる。スマトラ島の北部で、メダンという都市から陸路になるようです。バリやジャワとは別の旅程になります。
滞在型で行く。移動に時間がかかる場所に、見るだけで行くのはもったいない気がします。サモシール島に泊まる人が多いようでした。
7万4000年前の話を頭に入れて行く。目の前にあるのが火口の跡だと知っているかどうかで、湖の見え方が変わるはずです。
風景の写真から入って、地質と人類史の話になりました。断定できない部分が多いので、そこは正直に書いておきます。
山根景志

