【アラフィフのこれから】白いジャケットを着るということ
20代の頃、とある研修に参加したときのことです。
真っ白なジャケットを、さっそうと着こなしている女性の講師がいました。
「わ、かっこいい」と思ったのと同時に、「でも、すごい人っぽいな」と思ったことを、今でも覚えています。
当時の私にとって、白いジャケットは少し特別な服でした。
白は目立つ。人の視線を集める。だからなのか、白いジャケットを着るのは、自分に自信があって、堂々としていて、前に立つ人。そんなイメージがありました。
今振り返ると、それは私が長く人事の仕事をしてきたこととも関係していたのだと思います。
人事は、自分自身が目立つ仕事ではありません。私はずっと、前に出ることよりも、誰かや組織を支えることを大事にしてきました。社員の前で自分が必要以上に目立つことも、どこか避けてきた気がします。
だから、真っ白なジャケットを着ることには、抵抗がありました。白いジャケットは「私はここにいます!!」と存在を示す服のように見えていたからかもしれません。
そんな私が最近、また白いジャケットに目を向けるようになりました。
新しく関わることになった職場には、白いジャケットをとても自然に、素敵に着こなしている女性たちがいます。その姿を見ているうちに、「私もこんなふうに着てみたいな」と思うようになったのがきっかけです。
そして今、私自身の立場も変わりました。会社をつくり、自分の看板を自分で背負って仕事をするようになりました。
もちろん、人事として企業に関わるときは、その会社の価値観やトーンを大切にします。でも経営者として仕事をする以上、自分が何を大切にし、どんな仕事をし、何を届けたいのかも、自分の言葉で伝えていかなければなりません。
いつまでも誰かの後ろにいるわけにはいかない。そう考えると、今の私にとって白いジャケットは、単なる服ではなく、前に立つ覚悟を一緒に背負ってくれるものになりました。
そして今日。私は真っ白なジャケットを着て、空港を歩いています。やっぱり白は目立ちます。すれ違う人の視線も感じます。でも、不思議と昔ほど居心地は悪くありません。むしろ、少し背筋が伸びる。
白いジャケットを着て、RIMOWAのスーツケースを引きながら空港を歩く自分を見て、「これも、昔の私がなりたかった自分の一部分なのかもしれない」と思いました。
20代の私は、白いジャケットを見て、「自信のあるすごい人が着るもの」だと思っていました。でも今は、自信があるから着るのではなく、着ることで背筋が伸びて、前に立つ自分を引き受けていくこともあるのだと思います。
何十年も前、遠くから眺めていた白いジャケット。ようやく今、「私も着ていいかな」と思えるようになりました。
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