その日、社会的信用は置いてきた|イヤイヤ期、服を着せても脱ぐ朝
子育てしていた頃の記憶って、びっくりするくらい薄れていく。
昨日の夕ごはんと同じくらい思い出せないのに、なぜか――
イヤイヤ期だけは、くっきり高画質で残っている。
今となっては、こどもの「イヤ!」も
「あらあら、かわいいわねぇ☺️」で済ませられるけれど、
当時の私は――
毎日が軽めの修行だった。
今日はお当番の日。
公民館のサークルで、少し早めに行って絵本の読み聞かせをする予定。
こういう「絶対に遅れられない日」に限って、
子どもは本気を出してくる。
服を、着ない。
大人ならありえない。
まずはオムツを隠すためのパンツ👖は履いてほしい。
履かせる。
脱ぐ。
じゃあせめてTシャツだけでも。
着せる。
脱ぐ。
柄が気に入らないのかと思い、別のTシャツにチェンジ。
着せる。
脱ぐ。
「蚊に刺されるよ!」
脱ぐ。
「お願い、着て…」
脱ぐ。
「もう出ないと間に合わないよ。着て!!」
脱ぐ。
……。
会話になっているようで、
まったく成立していない。
最終的にどうなったかというと、
オムツ一丁+ヘルメット。
冷静に考えてほしい。
防御力は上がっているのに、社会的信用はゼロである。
完全にアウトである。
通報案件である。
しかしこちらは緊急事態。
背に腹はかえられない。
そのままオムツ一丁の我が子を
自転車の前に乗せて、公民館まで全力疾走。
(なお、電動ではない。己の脚力のみである)
途中、ふと思う。
「ブランケットで包めばよかったな…」
いや待て。
オムツ+マント。
それはそれで、
別ジャンルの変態が爆誕するだけでは?
今なら笑える。
でもあの頃の私は、必死だった。
そして今日もどこかで、
戦っている親がいる。
心の底から、エールを送りたい。
がんばれ。服は、きっといつか着る。
……外では。たぶん。
ご覧くださりありがとうございました。
