しんどさの正体は、翻訳だった
ずっと、理由のわからないしんどさがあった。
生活が崩れているわけでもない。
大きな不幸があったわけでもない。
それでも、人と関わるほど、頭が疲れた。
話したあと、どっと消耗する。
自分の感覚が、少しずつ乱れていく。
「私が弱いのかな」
「要領が悪いのかな」
長い間、そう思っていた。
⸻
話しているのに、話が進まない関係があった。
今の話をしているはずなのに、
いつの間にか、別の話にすり替わる。
こちらが感じている“今”は受け取られず、
相手の基準や過去の話が重なってくる。
だから私は、
そのままでは話さなかった。
言い換えて、
例を足して、
背景を説明して、
感情を薄めて、
わかりやすく整理してから伝えた。
いつも、頭の中で
翻訳をしていた。
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その翻訳は、無意識だった。
「そういうものだ」と思っていた。
でも、あるとき気づいた。
私は、
“翻訳しないと成立しない関係”と
長い時間、関わり続けていただけだった。
相手が悪いわけでも、
私が未熟だったわけでもない。
ただ、
そのままの言葉が通らない関係だった。
⸻
翻訳は、想像以上にエネルギーを使う。
自分の感覚を一度止めて、
相手の理解しやすい形に組み替える。
それを、何年も、何度も繰り返していたら、
しんどくならない方がおかしい。
頭がフル回転する理由が、
やっと言葉になった。
⸻
今はもう、はっきりしている。
私は、
わかってもらうために努力しすぎていた。
だから、やめた。
説明しない。
納得させない。
翻訳しない。
そのままの言葉で通じないなら、
距離を取る。
それだけ。
⸻
関係を切ったわけじゃない。
人を否定したわけでもない。
ただ、
自分の神経を守る位置に戻っただけ。
翻訳をやめたら、
静かさが戻ってきた。
しんどさの正体がわかった今、
もう同じ消耗は繰り返さない。
⸻
もし、
話すたびに疲れる関係があるなら。
それは、
あなたの弱さじゃない。
もしかしたら、
ずっと翻訳させられているだけかもしれない。
その翻訳、
やめてもいい。
静かに、自分を守っていい。
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