ユンディ・リの奏でるベートーヴェン
ユンディ・リとは、2000年のショパン国際ピアノコンクールの優勝者です。ブーニン以来優勝者が2度いなかった久々のコンクールの優勝者で、中国人ピアニストです。近年のスキャンダルもありましたが、最近はモーツァルトの楽曲などで復活を遂げました。
一時期、その演奏が荒れていたような時期もありましたが、モーツァルトの演奏は素晴らしいです。想像するに過酷な状況であったと思うのですが、こうして復活したことがファンとして何より感慨深いです。コンクール優勝後から演奏活動を行っていて、2度ほど地元に来た時に演奏を聴きに行きました。その感動は今でも忘れません。
当時もモーツァルトをプログラムの中に組み込んでいたのですが、その演奏は完璧でした。他にもユンディ・リの代名詞ともいえるショパンのアンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズがとても印象的でした。アンコールでの中国民謡サンフラワーもそこで初めて聴いて感動しました。まさにユンディ・リが演奏するためのような美しい曲に心うたれました。それからショパンのノクターン9-2は、私はあまりこの曲が好きという訳でもないのですが、ユンディ・リが演奏するこの曲には心奪われました。
今回は今から10年以上前に収録したベートーヴェンのピアノソナタについて書いてみたいと思います。「悲愴」「月光」「熱情」です。3大ソナタだけでなく、個人的にはテンペストも弾いてほしかったです。
最初にユンディ・リのベートーヴェンソナタを聴いた時「!??」となりました。何だか苦悩を表現するというよりは、明るいベートーヴェンだな、と感じました。そして美しい音色で少し華やかすぎるのではないかと感じで拒絶反応を起こしてしまいました。ですが、最近改めて聴き直してみて、この感じのベートーヴェンはなかなか良いのではないかと思うようになりました。
私が一番長く師事していたピアノの先生は、ベートーヴェンは難しいと仰って、私にはベートーヴェンは1度も選曲して下さいませんでした。当時、師事する先生を変えてベートーヴェンを弾いたところ、全然弾けてなかったからだと思うのですが。(苦笑)師事する先生によっても曲の好みは変わってくるのだなと思いましたが、最終的に師事した先生は本当によく指導して下さったと感じています。バッハも教えて下さったし、楽典やソルフェージュやリズムに関しても一通り教えて下さいました。自分である程度弾けるようになって、月光やテンペストの楽譜を買って少しだけ弾いたりしました。
話がそれてしまいましたが、ベートーヴェンの楽曲は、そんな意味でも私にとっての想い出の曲です。
ユンディ・リの演奏するベートーヴェンは、明るいベートーヴェンで、私はユンディ・リはモーツァルトのほうが向いていると当時は感じました。しかしながら、自分自身、病気を経てユンディ・リのベートーヴェンを聴いた時、華やかで美しいベートーヴェンもありだなと感じました。病気と共にある私は、もう苦悩とか深刻な感じの音楽はご遠慮したいと感じているのです。そんな時、ユンディ・リの演奏するベートーヴェンは華やかだけどひたむきであり、真面目に音楽と向き合う演奏は本当に美しく、演奏する姿もまた美しく、音は心に響きます。「熱情」も素晴らしいです。「月光」は第2楽章のロンドが私は好きです。激しい第3楽章も好みです。「悲愴」も美しいです。
改めてユンディ・リの演奏する姿を観て、あぁ、やはり私はピアニストはユンディ・リが良いなと改めて感じた最近です。好みは色々と分かれると思いますけれど、彼の演奏するベートーヴェンも良いです。そして、やっぱりユンディ・リのショパンは極上だなと私は思います。
