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田舎出身の若者が、都会の駅員となり奔走する

田舎で生まれ育った私は、高卒で鉄道会社に入社し駅員としての生活をスタートさせた。
つい先日まで東京に来たこともなかった田舎者に「◯◯に行くにはどうしたらいいか」とか、「◯◯ってどこですか?」とか、「◯◯って何ですか?」といった質問が飛んでくる。

…全くわからない(笑)

しかし答えないと仕事にならない。お客さまに失礼である。

勤務中は、先輩駅員や上司の仕事を見て真似る。先人が作ったマニュアルを読み込む。便利ツールを活用する。
ひたすら調べて勉強した。
休みの日も電車に乗ったり、駅周辺をうろうろして実際に見て情報を得た。

駅員の勤務は、基本的に泊まり勤務である。

勤務スケジュールの例
【1日目】
08:30 出勤
09:00 勤務開始(前任者から引継ぎ)
10:00 電話対応・遺失物対応
11:00 改札
12:00 昼食
13:00 改札
14:00 納金準備
15:00 電話対応・遺失物対応
16:00 夕飯作り
17:00 電話対応・遺失物対応
18:00 夕飯
19:00 締切準備
20:00 締切(券売機・精算機・チャージ機などの売上金を回収する)
21:00 電話対応・遺失物対応・構内掲示物などの管理
22:00 駅構内清掃
23:00 電話対応・遺失物対応
24:00 改札・終車対応
25:30 営業終了(入浴・仮眠)

【2日目】
06:00 起床
06:30 勤務開始(朝ラッシュ対応)
08:00 引継ぎ準備
08:30 後任者に引継ぎ・勤務終了
09:00 退勤

ざっくりこんな感じである。
基本的に駅の勤務は、23時間30分。
終車が出て(留置完了)から終電後の構内巡回や他駅の巡回報告を受け、線路閉鎖をして業務終了となる。
大体この時間が25:30くらいである。
そこからお風呂に入って寝るので、結局就寝するのは26:30とかになる。
実質4時間の仮眠を経て、明け勤務。
駅の場合、基本的に起きるのが仕事。
起きてしまえばこっちのもん。

朝ラッシュで忙しくしている改札やホームを眺めながら「今日も大変だなぁ…」と思う。

ラッシュが落ち着いたころ、駅員は帰宅するのでラッシュとは無縁である。

日常業務で多いのはやはり遺失物・精算(乗り越しなど)・券売機や改札機の対応である。

遺失物は、多岐にわたる。雨の日はとんでもない量の傘が届く。
精算は、「どうやってここまで来たの?」というルートをたどる者もいて飽きない。
券売機は買い方や、券詰まりが多い。
改札機は、ICカードをタッチできてないだとか、きっぷを入れてないだとか取り忘れただとか、もうそれはそれは想像しきれないくらいの事象が起きる。
それら一つ一つに対し、丁寧に・迅速に・正確に対応することが求められる。非常に難しい仕事である。

仕事は大変だけれど、駅は「もう一つの家」のような感覚がある。
一緒に働くメンバーは家族のよう。
助役は親父。
先輩はお兄ちゃん。
アルバイトの人は兄弟のような、友達のような感じである。
非常に楽しく過ごせるので、出勤が苦じゃないのがいいところ。(諸説ある)


駅員が最も忙しいと感じる時期がある。
それは、春。
「定期の多発」である。
新学期になると、学校から通学証明書をもらった学生が通学定期券を求め、駅に押し寄せる。
とんでもない数の学生たちを相手し、とんでもない金額の定期券を発売する。
その対応にあたるのは、当務の駅員ではない。
前日の朝から働いて、本来の勤務を終えた「居残りの駅員」なのである。ご存じだっただろうか。

4時間の仮眠を経て、勤務を終えた人間が、その日の夜まで対応する。休憩なんてもんはない。
しかし、忙しすぎてあっという間に時間が過ぎるので意外と楽しい。
帰宅後は、記憶がない。

観光地があったので、GWなども大変忙しい。
その時も同じく、いろんな駅から明けの人間が応援に駆け付ける。
人海戦術である(笑)
これも同じく、前日の朝から働いていた人間が、夜まで居残って対応する。

書き忘れたが、夜まで残った駅員は、帰宅してまた翌朝出勤して泊まり勤務をする。
そうやって、鉄道員の勤務サイクルに体が慣れていくのである。(一種の洗脳?)

鉄道員の勤務サイクルに慣れてしまった私は、おそらく普通の勤務には戻れないだろう…。
それくらい、魅力的であり、中毒性がある。

そんな生活をしながら、1年が経つ頃。
車掌登用試験の案内が来た。

車掌への道。である。


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