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【シロクマ文芸部】夜店から #現代ファンタジー #微ホラー #イモリの黒焼き

夜店から逃げ出したイモリを追って、店番の青年は夜市を走る。
日も暮れたというのに空気は熱を持ち、昼間の陽炎めいた影を呼ぶ。ゆらゆらと揺れる異形の間をちょこまかと走るイモリは可愛らしいが、こちらも商売なので逃がすわけにもいかないのだ。

(イモリの黒焼きなんて、効果は迷信みたいなものなんだけどね)

イモリを土器で蒸し焼きにした黒焼きは、精力剤や惚れ薬として知られている。
漢方と呼ぶのも怪しい、民間療法の類である。しかし効果を信じる者は後を絶たず、需要は高い。

(すまないイモリ、医療従事者である前に商売人でなければ食っていけない、そんな世の中を恨んでくれ)

なんとも世知辛い世の中だ。
唯一の救いはーーイモリにとっての災難は、人にとっては眉唾ものでも、正しく効果効能を示すモノもいる事だろう。

「あ、」

唐突に。
ぬ、と伸びた八本指の手がイモリを鷲掴む。逃げ出そうともがくイモリを潰さぬよう、しかし決して離さない塩梅はお見事だ。

「ありがとうございます、莠コ螟�様!」

見慣れた異形の手常連さんに、青年の顔が満面の笑みとなる。が、その笑顔はすぐ引き攣り、苦々しいしかめっ面へ取って代わる。

ーーグチャッ

「ああちょっと、お支払いの前に召し上がるのはご法度ですよ」

何よりうちはテイクアウト専門です。消費税とか面倒だよね。



以上、541文字。こちら参加させて頂きました。

イモリって税制上は食材扱いで良いのかな。

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