🌸毎日が初恋 第1話🚢いよいよ出港
―16の寄港地で66歳の女が恋をした物語―
第1話 横浜港「覚悟」の船出
※この物語はフィクションです。
66歳。
私は今から、世界一周の船に乗る。
約109日間。
横浜港を出て、地球をぐるりと回り、また横浜へ帰ってくる。
本当に無事に帰ってこられるのだろうか。
楽しみ。
不安。
そして、少しの怖さ。
それでも、ここまで来た。
もう乗るしかない。
覚悟を決めて、行ってきます!
大きな荷物を抱えて港へ向かった。
すると、笑顔のポーターが近づいてくる。
「お預かりします」
私の重たい荷物を、ひょい。
身のこなしが、なんともスマート。
素敵♥
あれ?
まだ船にも乗っていないのに、もう心が動いた。
いよいよ出港。
港には音楽が流れ、クルーたちが堂々と歩いてくる。
そして――
ドーン!
大きなドラが鳴った。
おおお。
いよいよだ。
胸が高鳴る。
ドラを鳴らすクルーを見る。
堂々とした歩き方。
立派な体格。
そして……
なんとも愛らしいお腹♥
《いいお腹してるなぁ》
世界一周の感動的な船出を前にして、見るところはそこなのか。
船に乗り込み、デッキへ出た。
岸壁には、見送りに来てくれた家族や友人たちがいる。
「行ってらっしゃーい!」
「元気でねー!」
「楽しんできてー!」
私も大きく手を振る。
「行ってきまーす!」
船が、ゆっくりと岸壁を離れていく。
それでも、みんな手を振っている。
どんどん小さくなっていくのに、まだ振っている。
私も振る。
見えなくなるまで振る。
いつまでも、手を振る姿が愛おしい……。
やがて横浜の街が遠くなった。
私は、この先109日間を共にする大きな船を見上げた。
雨の日も。
風の日も。
眠っている間も。
この船が私を運んでくれる。
まだ見たことのない世界へ。
そして、いつかまた横浜へ。
船体に向かって、小さく声をかけた。
「よろしくね。ちゃんと私を横浜まで連れて帰ってね」
66歳。
世界一周、最初の恋は――
これから地球を一緒に回る、この船だった。
さあ、出港。
🌞 今日も、最高な一日を。
つづく。
🌸週一配信🌸
ピースボートクルーズ🚢121号から1年経ち、今改めて思うのは沢山恋をしてきたな〜と。そんな日々をフィクションとして、皆様に楽しんで貰えたらと書いていきます。
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