スーパーあんこ星人、妻よりガンダム【新婚編】
結婚して間もない頃。
大きな地震がありました。
私は一人で家にいて、
しかも停電。
アパートの中で、
ただ不安な時間を過ごしていました。
そんなとき——
仕事中の主人から、電話がかかってきました。
「大丈夫か?」
そう言われて、
ああ、心配してくれてるんだって、
正直、嬉しかったんです。
でも——
なぜか、電話を切らない。
(え、そんなに心配してくれてるの?)
(ちょっと嬉しいんだけど…)
なんて思っていた、そのとき。
受話器の向こうから、
小さな声が聞こえました。
「……ガンダム」
え?
「ごめん、ちょっと聞こえないんだけど」
そう言うと、主人は普通に言いました。
「ガンダム、大丈夫かなと思って」
——そう。
主人は、ガンダムが大好きなんです。
当時も、作ったプラモデルが
棚にたくさん並んでいました。
私は思わず、その棚を見て
「うん、大丈夫。全部ちゃんと並んでるよ」
と答えました。
すると——
「ああ、よかった!!!」
その日いちばんの大きな声で、
そう言ったんです。
(そんな声、出るんだ…)
と、びっくりするくらい。
そして、
「ああ、じゃあ」
と、すぐ電話は切れました。
——つまり。
私の安否ではなく、
ガンダムの安否確認だったわけです。
ちなみに後日、友人にこの話をしたら、
「うちも同じ地震のとき、電話きたよ」 と。
そして開口一番、
「熱帯魚は無事か?」
だったそうです。
(子ども3人いるのに)
無事だと伝えたら、
すぐ電話を切られたそうです。
優先順位はどうなんでしょうか。
電話を切ったあと、私はふと棚を見ました。
きれいに並んだガンダムたち。
——ちょっとだけ、
ドミノ倒しみたいに
パタパタっとやってみたくなりました。
でもその瞬間、
なんとなく、ガンダムと目が合った気がして。
今回は、やめておきました。
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