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AIに仕事を増やさせない

コラム「AIと、手元の作法」(4/X)


週次レビューで、やることより「やらないこと」を決める

生成AIに「来週やるべきことを挙げて」と頼めば、いくらでも出してくれます。便利ですが、タスク管理としては少し困ります。私にはすでに、やることがあります。そこへAIが新しい仕事を次々と足してくれたら、管理しているのか増やしているのか分からなくなります。

そこで週次レビューでは、AIに仕事を考えさせるより、仕事を選別させることにしました。

三つの場所を突き合わせる

土曜の朝に一週間を振り返ります。そのあとClaudeを呼ぶと、三つの場所を見ます。一つ目はノートアプリのObsidianで、毎日1枚ずつ作られるノート(デイリーノート)やプロジェクトのノートに残った未完了の項目です。二つ目は、これから2週間のカレンダー。三つ目はタスク管理アプリのTodoistで、ここにはすでに実行すると決めた仕事が入っているので、同じ仕事が見つかれば新しい候補から外します。

つまり、記録として残っている「やるかもしれないこと」、未来に予定されている「何かが起きる日」、すでに実行すると決めている「やること」。この三つを突き合わせます。

予定を、そのままタスクにはしない

ここで一つルールを決めました。予定そのものはタスクにしません。

「火曜日、Aさんと打ち合わせ」は予定です。Todoistに「Aさんとの打ち合わせに出る」と登録しても意味がありません。カレンダーを見れば分かるからです。一方、「Aさんとの打ち合わせまでに資料を確認する」なら手を動かす必要があり、これはタスクです。

この区別をAIにも守らせています。予定があるからといって、予定の数だけTodoを増やさない。予定から逆算して、事前に人間が何かをする必要があるときだけ候補にする。ここでAIは、未来の予定を人間の行動へ翻訳する役目をします。

事実と、AIの提案を混ぜない

もう一つ分けているものがあります。一つは、Obsidianのノートに私が手で書いた未完了の項目。Markdownでは行頭に - [ ] と書くとチェックボックスになるので、チェックの入っていない行を拾います。もう一つは、カレンダーを見てAIが「これは事前準備が必要ではないか」と推測したものです。前者はすでに人間が一度タスクとして書いたもので、後者はAIの提案です。同じ表に混ぜると区別がつきません。

そこで出力を、ノート由来とカレンダー由来の提案という二つの表に分けています。後者は、私が明示的に承認するまでTodoistへ登録されません。AIが見つけたことと、人間が決めたことの境界を残すためです。

登録しなかった理由を残す

初回は19件をTodoistへ登録しました。ノートから16件、カレンダーから提案されたものが3件です。

ただ、実際に使ってみて、登録した19件と同じくらい重要だったのが、登録しなかったものでした。なぜ見送ったのかを、週次レビューの末尾に残しています。もう終わっている。別のタスクに含まれている。時期が早い。情報が足りない。翌週、同じ候補が上がってきたとき、その理由を読み返せます。先週の自分が何を考えていたかを、もう一度ゼロから考え直さなくてよい。

タスク管理なのに、残しているのはタスクだけではありません。判断の履歴です。

AIは見落としだけでなく、不整合も拾う

三つの情報を一度に見ると、人間が別々に眺めているときには気づかないものも出てきます。実際、ホテルの予約が2日分重複している可能性を指摘されたことがありました。AIが何か新しい知識を持っていたわけではなく、別々の場所にあった情報を同時に並べたことで矛盾が見えただけです。

これは生成AIのかなり実用的な使い方だと思います。答えを聞くのではなく、自分の持っている複数の事実を、一度同じ机の上へ広げてもらう。そこから判断するのは人間です。

うまくいったせいで、元データが減った

運用を始めてから、予想していなかったことも起きています。私は「実行するものの正本はTodoist」と決めました。この分担がうまく機能すると、デイリーノートにToDoを書かなくなります。思いついたら早い段階でTodoistへ移すからです。すると、週次同期が拾うObsidian側の未完了タスクが減ってきました。

仕組みが成功したために、その仕組みが読む元データが痩せ始めたのです。

最初に作った仕組みは、運用が変われば前提も変わります。自動化は一度作ったら終わりではなく、人間の行動が自動化に適応すると、今度は自動化のほうを作り直す必要が出てきます。この点は、もう少し使ってから考え直すつもりです。

タスクを増やすAIではなく、編集するAI

生成AIには、何かを作らせる使い方が目立ちます。文章を作る。企画を作る。タスクも作れます。けれど自分の仕事については、AIに無限に提案してほしいとは思いません。

必要なのはむしろ逆で、すでにあるものを集め、重複を消し、予定と行動を区別し、今やる必要がないものを落とし、人間が一度下した判断を翌週へ渡すことです。これは生成というより編集です。AIに仕事を考えてもらうのではなく、仕事を増やさないためにAIを使う。いまのところ、私にはそのくらいの距離がちょうどよいようです。

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