vol.1 RIZIN LANDMARK 14 in SENDAI
RIZIN LANDMARKは、ナンバーシリーズ(リングファイトで)の大会が開催されにくい地方都市のアリーナなどで行われる金網(ケージファイト)の大会です。
今回は宮城県・仙台で開催されました。
LANDMARKシリーズは単なる地方大会ではなく、地域密着型の興行としての役割も担っています。
地元選手の活躍や、その地域ならではの盛り上がりを感じられるのも魅力のひとつです。
今回も例に漏れず、SNSなどでは「カードが弱い」という声を見かけました。
しかし、それは大晦日大会や超RIZINと比較しているからではないでしょうか。
今大会には、お互いに負けられないフライ級タイトルマッチがありました。
さらに、パンクラス二階級制覇チャンピオンのISAO選手と矢地祐介選手の対戦、ヘビー級トーナメント出場権を懸けた重要な一戦、そして元谷友貴選手やRISEの元チャンピオンたちも出場しています。
まさに様々な団体やバックボーンを持つ選手たちが集う、RIZINらしいカードだったと思います。
RIZINとしてもそうですが、選手一人ひとりからも大会を盛り上げようという熱量が、会見やSNSを通じて伝わってきました。
そして今回は計量オーバーが2名も……。
さらに、犬に噛まれたことで契約体重変更となったカードもあり、結果的に注目を集める出来事もありました。
それでも、決して見どころの少ない大会ではありませんでした。
「カードが弱い」と感じる人は、もしかすると選手の知名度だけで判断しているのかもしれません。
各選手が背負っている背景や物語まで知ると、この大会の価値はまったく違って見えてきます。
前置きが長くなりましたが――
今回のRIZIN LANDMARK 14 in SENDAIは、間違いなく“神興行”でした。
PPVでリアルタイム観戦できて本当に良かったと思います。
今回は珍しく本戦が8試合のみ。
その中でも特に印象に残った試合について感想を綴っていきます。
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第2試合 直樹 vs. 黒井海成
まず印象に残ったのは、直樹選手の入場です。
キッズダンサーに囲まれ、仮面を被ってダンスをしながら登場する姿は、どこか須藤元気を彷彿とさせる演出でした。
いつか大きな会場で、さらにスケールアップした入場を見てみたいと思わせる存在感がありました。
独特の世界観やキャラクター性、そしてあの雰囲気。
個人的には弥益ドミネーター聡志選手にも通じるものを感じます(笑)。
試合は序盤、黒井選手がテイクダウンを奪い優勢に進めます。
腕十字を狙う場面もあり、直樹選手にとっては苦しい展開でした。
しかし流れを変えたのは首相撲からのヒザ蹴り。
この一撃で形勢を逆転すると、そのままTKO勝利。
劣勢から一気に試合をひっくり返す、非常にインパクトのある勝利だったと思います。
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第3試合 冨澤大智 vs. 加藤瑠偉
冨澤選手は独特の自信があります。
試合前の会見やインタビューでの発言を聞いていても、「もしかしたら勝つのではないか」と思わせる力がありました。
一方の加藤選手も実力者です。
エンセン井上氏率いるチーム大和魂の出身で、紆余曲折を経ながらも高い実力を持つ選手として知られています。
そんな両者の対戦でしたが、結果は冨澤選手のTKO勝利。
正直、ここまで完勝するとは思っていませんでした。
冨澤選手の発言は色々と揶揄されることもありますが、この日の試合は結果で証明した一戦だったように感じます。
ファンが多い一方で、誰からも好かれるタイプではない。
負ける姿を見たいと思われたり、何かと批判されたりする。
しかし、そうした選手が結果的に人気を集め、大会を盛り上げていくのもまた事実で、格闘技の面白さでもあると思います。
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第5試合 ベイノア vs. 芳賀ビラル海
個人的に今大会のベストバウトでした。
現GRACHANチャンピオン・芳賀ビラル海選手と、元RISEチャンピオン・ベイノア選手による一戦。
前日計量では芳賀選手が100gオーバーとなりましたが、両陣営の合意により71.10kg契約で実施されました。
1R、ベイノア選手が左ハイキックでダウンを奪うと、芳賀選手も左フックでベイノア選手にヒザをつかせるなど、一進一退の攻防が続きます。
そして迎えた2R。
ベイノア選手は三日月蹴りで意識を下に散らした直後、再び左ハイキック。
これが完璧に炸裂しました。
芳賀選手は失神し、大の字でダウン。
極真空手をベースとするベイノア選手らしい、見事なKO勝利だったと思います。
芳賀選手は本来グラップリングを得意とする選手です。
前戦で敗れており、今回のRIZIN参戦は再び与えられた大きなチャンスだったと思います。
しかし、そのチャンスを計量オーバーという形で自ら危うくしてしまいました。
それでもベイノア選手はペナルティなしの公式戦として受けることを選択。まさに漢気を見せました。
RIZINから与えられたチャンスを掴み切れず、さらにベイノア選手からももう一度チャンスをもらった形です。
だからこそ芳賀選手も、その想いに応えるように真っ向から打ち合いを選択したのではないでしょうか。
もちろん勝負ですから、どんな戦い方を選んでも自由です。
しかし、この日の芳賀選手からは「勝つだけではなく、自分の価値を示したい」という覚悟が感じられました。
結果として敗れはしましたが、会場を沸かせる素晴らしい試合を見せてくれました。
RIZINという舞台は、強さだけでなくチャンスをどう掴むかも問われる場所なのだと、改めて感じさせられる一戦でした。
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第6試合 酒井リョウ vs. 貴賢神
こちらも貴賢神選手が1.2kgの計量オーバー。
酒井選手は無差別級でも試合経験のあるDEEP元メガトン級暫定チャンピオンです。
それでも酒井選手は試合を受け、こちらも公式戦として実施されました。
まさに酒井選手の漢気を感じる決断だったと思います。
ヘビー級GP出場権を懸けた重要な一戦。
勝敗だけでなく、その先にある未来を左右する試合だからこそ、両者の覚悟が伝わってきました。
結果は貴賢神選手がパウンドによるTKO勝利。
とにかく一発一発の重さが画面越しにも伝わってくるような迫力でした。
ヘビー級ならではの恐ろしさを感じた試合だったと思います。
そして、ヘビー級トーナメントの残り1枠が誰になるのか。
今後の発表も非常に楽しみです。
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第7試合 元谷友貴 vs. トニー・ララミー
試合前、トニー・ララミー選手は犬に噛まれた影響で抗生物質を服用しており、減量が難しくなったことで契約体重変更となりました。
しかし、そんなアクシデントを感じさせないほど終始アグレッシブでした。
あの元谷選手に何もさせないほどの勢いで攻め続け、コンディション面の不安を吹き飛ばすようなパフォーマンス。
正直、「本当に犬に噛まれた選手なのか?」と思うほど元気に見えました。
元谷選手も必死に対応していましたが、それ以上にララミー選手の勢いが際立った試合でした。
結果はララミー選手の判定3-0。
内容的にも完勝だったと思います。
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第8試合 RIZINフライ級タイトルマッチ
扇久保博正 vs. 神龍誠
そして最後は、なんといってもメインイベント。
フライ級タイトルマッチです。
ゴングが鳴ると、神龍選手は扇久保選手からのグローブタッチに応じることなく試合開始。
その姿勢からも、この試合に懸ける思いが伝わってきました。
神龍選手は扇久保選手の大振りなパンチを冷静に見切り、バックを取って長時間コントロール。
一方の扇久保選手も、普段以上に打撃でプレッシャーをかけながら前進し、勝負を仕掛けます。
しかし神龍選手は左ヒジのカウンターで扇久保選手の頭部をカットし、出血を誘発。
ドクターチェックに追い込む場面もありました。
その後もタックルからのテイクダウンを重ね、試合を支配。
判定3-0で勝利し、第3代RIZINフライ級チャンピオンとなりました。
試合後のマイクも感動的でした。
神龍選手は、
「扇久保、先生、あなたのことを嫌いだったし、いろいろあったけど、あなたのおかげで強くなれました。ありがとうございました」
と感謝を伝えます。
そして父親をケージへ呼び込み、獲得したベルトをプレゼント。
最高のフィナーレだったと思います。
東北初開催のRIZINイベント。
チャンピオンとして大会を盛り上げようとする扇久保選手の覚悟も、試合を通して十分に伝わってきました。
そして何より、この試合の煽りVが素晴らしかった。
試合後の扇久保選手のYouTubeライブ配信でも本人が語っていましたが、泉谷しげるさんの『春夏秋冬』が本当に良かった。
今日で全てが終わるさ
今日で全てが変わる
今日で全てが報われる
今日で全てが始まる
今日で二人の因縁が終わり、
今日、新しいフライ級チャンピオンが誕生し、
そしてRIZINフライ級戦線も新たな時代へ進んでいく。
試合後インタビューで扇久保選手は、
「なりたい自分になりたかった」
と語っていました。
チャンピオンとして防衛するだけではなく、フィニッシュで勝ちたかった。
倒して勝ちたかった。
だからこそ、いつも以上に前へ出て、リスクを背負いながら戦ったのだと思います。
結果としてベルトは失いました。
それでも、この試合で見せた覚悟や生き様は、多くのファンの心に残ったのではないでしょうか。
私にとってRIZIN LANDMARK 14 in SENDAIは、間違いなく神興行でした。
地方大会だからこそ見える選手たちの物語。
そして、その物語が最高の試合によって完結し、また新たに始まる。
そんな格闘技の魅力が詰まった、忘れられない大会となりました。
